人間会議2013年夏号

2013年6月6日発売の、社会貢献系哲学誌「人間会議2013夏号(宣伝会議)」に、
「古典に学ぶCSR」という寄稿をしましたので、その宣伝を(笑)

僕の寄稿も“東洋思想とCSR”に興味がある人もない人も読んでもらいたいのですが、
今回の特集が普通に面白かったので紹介します。

書籍のテーマは、トップが語る座右の書。
有名企業社長、有名大学学長の座右の書についての特集です。

専門誌の部類ではありますが、本書はそこまで難しい話しは出てきません。
経営者や大学学長の経営哲学が垣間見える内容となってます。

CSR的な?座右の書

非常に興味深いのが、有名企業社長や大学学長などの「座右の書」は、
クラシカルな題材のものが多いということでした。

論語、老子、武士道、坂の上の雲、二宮尊徳、日本人の経営者の書籍などなど。
もちろん、経営者と大学学長とはその傾向が異なる。

本書の後半では、論語に関しての様々な視点での気付きがいつもあります。
僕の記事「古典に学ぶCSR」も“論語とCSR”の話しです。
また、イスラムや仏教に関する特集も。

クラシカルであるが、本質を見極めている古典たちが語る“知”は、
現代社会にも有効な知的ライフハックでもあります。

今のCSRにおける課題の多くも、これらの“クラシカルな知”からヒントを得ることができます。
数百年前、数千年前の考え方が現代の僕らの世界ヒントをくれるのは、
何か、人間はどこまで知を広げられたのか疑問をもちますが、
まぁ、それはそれ、ということでしょう。

僕は以前から、
「CSRに関する良い書籍はありますか?」という質問に「論語です」と答えています。

論語の重要概念としては「仁、義、礼、智、信」があり、
5常と呼ばれ、論語の中で最重要な軸となっており、
とくに「仁、義、礼」は仏教や儒教の倫理観を示す重要な概念なのです。

コンプライアンス、ガバナンス、コミュニケーション、コミュニティデザインなどなど、
CSRに関する様々な課題解決のヒントになること間違いありません。

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経営哲学が創るCSR

僕は、CSRや環境経営のアカデミックな知識はほとんどありません。
独学でケーススタディや書籍、CSR担当者、CSRコンサルタント、
もちろんクライアントなどとの出会いの中で学び、
自分なりのメソッドを開発・提供してきました。

しかし、渋沢栄一、石田梅岩、二宮尊徳というCSR思想家と、
仏教、陽明学、朱子学などから学ぶ経営哲学など、
東洋思想とCSRはとても密接な関係があると考えています。
そして、それらはCSR経営の実務でも役に立ちます。

CSR、CSVなどの最新研究は、
海外の経営学や経営思想を中心として語られるものですが、
(それが悪いとは言いませんが)結局上記の経営哲学の焼き回しだったりもします。

日本文化ってすごいですね。海外より随分先に、
CSRにおけるコミュニティ・デザインの思想が進んでいたのですから。

そして、世界中のすべてが大きく変化する現代。
人間や物事、そしてCSRの根本を解き明かそうとする中で、
経営哲学や経営思想の熟成はかかせません。

手法、つまりCSVしようぜ!というレベルの議論ではなく、
そもそも現代日本のビジネス・シーンにおいてなぜCSVやCSR的価値観が必要なのか、
それらの課題の”WHY”という問いを突き立てることが大切になってきてます。

CSRに関する、改善手法は巷のセミナーや書籍などでもカバーできますが、
自分自身、自分の経営する企業の哲学は、そんな所には落ちていません。

僕らの“心”は僕ら自身でしか見つけられないのではないでしょうか。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

人間会議(宣伝会議)に寄稿させていただいたのは今回が初めてです。
一応連載(多分)という形ですので、9月号でもあなたに「CSRと東洋思想」の、
ちょっとしたライフハックのネタを提供できると思います。

書籍の宣伝(ステマじゃないよ、本人執筆なんだからねっ!)っぽくなりましたが、
ここまで、今っぽく「CSRと経営哲学」をまとめた本はないかもしれません。

東洋思想や日本文化とCSRに興味がある人はぜひどうぞ〜!