“CSRからCSV(Creating Shared Value)へ”が成り立たない3つの理由

CSR・CSV

CSRからCSVは成り立たない?

“CSRからCSV(Creating Shared Value)へ”が成り立たない3つの理由。

元・ソニーCSR部長の冨田さんの記事さんの記事がグッときたのでメモ。

CSVからCSRへ

昨今、日本のCSRの源流と言われる「三方よし」や、マイケルポーター氏の「CSV(Creating Shared Value)、共有価値創造」という概念が注目され、みんな大好きな「CSRは死んだ」的な議論が都市伝説のように、噂になっております。

都市伝説はいいとして、なぜか、「CSRからCSVへ」とか、「社会貢献からビジネスへ」というCSRの一部しか捉えていない、オピニオンをよく見かけます。現場としては、理論的なCSRとCSVの差を語るより、一つでも多くの社会課題や経営課題を解決したほうが良いと思うわけです。では、なぜ、CSRはダメでCSVは良いという理論が勃興するのか。ちょっと考えてみます。

CSRはダメだと勘違いする3つのポイント

1、CSR=社会貢献だから

そもそも、CSRや社会貢献というワードを各々がどう定義しているかで、議論の形がまったく変わりますね。

世界的な解釈としては、社会貢献(慈善活動)はCSRには含まれないとし、CSVそのものが、そもそものCSRの意義に近いものであるというイメージです。

極端に言えば、ただの寄付はCSRではないと。もちろん、ただ税金を払うこともCSRではない。

従って、「CSR からCSV」という言い方を用いると、「CSR=慈善寄付と思っている」と見られるだけでなく、「CSR の重要側面であるビジネスのネガティブな社会的影響への対応をしないという宣言」と解釈される可能性すらあるのだ。

もちろん、CSV を積極的に導入しようとする企業は、そのように解釈されるのを望んでいる訳ではないと思うので、多様なステークホルダーの視線を気にするならば、表現には注意が必要である。
CSVからCSRへ

ヨーロッパのCSRにおけるルールが日本にそのままあてはまるとは思いませんが、日本的CSR論とグローバルルールとしてのCSRがごちゃまぜに語られている感じはします。

2、CSRを定義していない

そもそも、CSR担当の方に「CSRって、御社ではどう定義されていますか?」と聞くと、即答できない人が多いです。

仮に、マーケティングです、ブランディングですという回答があったとして、「マーケティングって、御社ではどう定義されていますか?」とツッコむと、これまた即答できない人が多いです。

なんとなく、CSR始めて、なんとなくCSVの方がいいような気がして、中期経営計画になぜかCSVという単語が出てくる、と。だいたいそういう表面上のCSVを語る人たちは、ご本人の論文を読んだ事がなかったりするんだよね。大人なんだから知ったかぶりするなよ。

CSRは、もはや国によっては監督省庁があったり、法律になったりしている、グローバル・ルールの一つなので、本来良い悪いでは語るべきではなく、自社ではそれらをどう捉えてどう対策を練っていくかを議論すべきなのかと。

よくわからない事柄は、人間否定したくなるものです。食わず嫌いも多いのですけどね。

3、CSRを何のためにするかわかっていない

昨日、とある出版社の方(CSRに詳しい人)と話をさせてもらったのですが、「そもそもCSRを何のためにするかわかっていない人たちいますよね」という話題に。

CSRはダメだからCSVしようという人たちに限って、「では、そもそも御社でCSRってどう定義していますか?」とか「ぶっちゃけCSVって何のためにするんですか?」と聞いても答えられなかったりします。

僕がCSRの神様みたいにCSRを定義して広めてハイ終わり、ではなく、CSRでもCSVでもいいけど、自分たちがそれらをどう定義するのかという根本が定まってないので、結局何をすればいいのかわからなくなるんですよね。

例えば、「従業員をハッピーにしたいCSR活動」と「国際取引の時にNGOに叩かれないためのリスクヘッジ的CSR活動」では、する内容がまったく違うことに気付いていないのです。

だから僕がCSVの話を聞いた時は、まずCSVが良い悪いではなく、そもそもそれらのグローバル・ルールは何を指し示すかを考えるべきなのです。またCSVはCSRの定義の一部でしかありません。ですので、日本にある420万社の企業のすべてに当てはめることができないのです。

まとめ

ちょっとごちゃごちゃしちゃったのでまとめます。

「CSRからCSVへ」理論はなぜロジックが破綻しかけているのか。それは、土俵も形も違うものを同じ目線で語ろうとするからです。CSRを勝手に解釈して無知を露呈したり、CSRをそもそも定義しきれていなかったり、CSRの目的をわかっていなかったり、理由は様々です。

以下の記事を参考にしていただき、CSRとCSVの定義を今一度、ご自身の中でしてみて下さい。

参照記事(CSR)
・社会的責任(CSR/CSV)の意味・定義って結局なんなの?
御社のCSRとは誰のため? BtoB企業がすべきCSRの3つのポイント
CSR社内研修の意義とは? 社内浸透教育の重要性を再考した
CSR部こそCSR以外のことにも目を向けるべき!?CSR部の問題点と未来の形
“我が社ならではのCSRの罠”という記事を読んで思った、CSR・社会貢献の本質3つ
なぜ社会貢献はダメなのか?ソーシャルビジネスを進めるべき3つの理由

参照記事(CSV)
CSRコンサルタントが選ぶ、CSR/CSVのおすすめ本・書籍45冊
CSV(Creating Shared Value)事例! 日本企業CSV活動事例5選
持続できないサスティナビリティ・CSRにならないための3つのポイント
思考に歴史あり!マイケルポーターの「FFA-CSR-CSV(creating shared value)」の遍歴再考
マイケルポーターの戦略的CSR、CSV(Creating Shared Value)を考察するための良記事22選
“おもしろいCSR”と、CSV(競争戦略)と、社会貢献について考えてみた

Image by PHOTOPIN



■  運営勉強会のご案内 ■
・国内最大級のCSR担当者コミュニティ「サステナビリティ・トレンド・ネットワーク」(次回定例会:2020/1/15)
・企業評価と情報開示について学ぶ会員制研究会「サステナビリティ評価研究会」