サステナビリティ開示義務化

開示義務化の内閣府令が公布!

2023年1月31日に、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告を踏まえた、改正「企業内容等の開示に関する内閣府令」が公布されました。これにより有価証券報告書でのサステナビリティ関連情報が開示義務となり、情報開示の新しい時代の到来となります。

>>金融庁(2023/1/31)|「記述情報の開示の好事例集2022」の公表(サステナビリティ情報等に関する開示)
>>金融庁(2023/1/31)|「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案に対するパブリックコメントの結果等について

今後、様々な企業・団体から解説記事がでると思いますが、一旦、まとめます。

主な改正内容

■サステナビリティに関する企業の取組みの開示
 (1)サステナビリティ全般に関する開示
   1.サステナビリティ情報の「記載欄」の新設
   2.将来情報の記述と虚偽記載の責任及び他の公表書類の参照
 (2)人的資本、多様性に関する開示
 (3)サステナビリティ情報の開示における考え方及び望ましい開示に向けた取組み
■コーポレートガバナンスに関する開示

金融庁(2023/1/31)|「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案に対するパブリックコメントの結果等について より抜粋し引用

開示義務化の課題

サステナビリティ界隈の方は、金融庁発表の改正案(2022年11月)を見ていたと思うので、案から大きな変更はないし、おおまかな部分は理解できているでしょう。今回のポイントは、開示の事例集が同時に発表されたこと、パブリックコメントの回答が発表されたこと、などでしょうか。パブコメ回答はかなり実務的な話が多く参考になるかと思います。

企業側としては、課題はいくつもあると思います。一つは「開示時期」でしょう。今までサステナビリティ情報開示は、たとえば3月決算の会社なら、6月までに有報の開示があって、9月まで統合報告書やサステナビリティレポートの開示を行うというスケジュールが多かったです。

これは一部とはいえ、6月の有報までにある程度のサステナビリティ情報をまとめなければならなくなりました。特に今年に限っては間に合わないと思うので、昨年のデータ等を活用することになりそうです。ちなみに「施行日以後に提出される有価証券報告書等から早期適用可」なんて文言もありますが、いや無理でしょ。これに関してはサステナビリティレポートの活動報告とはワケが違うので、早期適用なんかしないでしょ。

他には「有報の統合報告書化」でしょうか。金融庁で好事例集を発表していますが、有報を従来の統合報告書のスタイルでまとめている会社もいくつもあります。簡潔にいえばグラフィカルになっています。私の印象ですと、有報は規定どおりのテキストと数字が中心の開示媒体という認識ですが、独自の図解やらグラフなどが多く入ることで横比較しにくくなり、読みにくくなる印象です。これどうするのが正解なのさ?

他にも実務的な課題はたくさんありますが、思いついたらまたブログ記事にします。再掲しますが金融庁のリリースを必ずチェックしてください!

>>金融庁(2023/1/31)|「記述情報の開示の好事例集2022」の公表(サステナビリティ情報等に関する開示)
>>金融庁(2023/1/31)|「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案に対するパブリックコメントの結果等について

まとめ

一旦、速報的な形でサステナビリティ情報の開示義務化についてまとめてみました。有報やIRが専門ではないので、一部素人意見で恐縮ですが、現段階の話を整理しました。先週に発表された内閣府令のすべてを読み込めているわけではないですが、金融庁のお手紙をよく読んで、自社や関係会社(顧客含む)がどのように対応するか、よくよく考えて行動しましょう。

私は、独立当時ほとんどいなかった「CSRコンサルタント」(いまは「サステナビリティ・コンサルタント」)と名乗ってから今年で14年くらいたちますが、欧米の流れを見ていて日本でも絶対に法制化されると思っていました。この予想は当たりましたね。10年以上かかりましたが。思えば遠くに来たものです。

2023年にまずは開示義務化ということですが、今後は実務においてもなんらかの形で規制が強化されるはずです。まずは情報収集しましょう。

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