サステナビリティGPIF

GPIFが評価するサステナビリティ開示事例

GPIFの動向はみんな気になりますよね。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、世界最大級の年金運用機関として知られていますが、2025年3月にはサステナビリティ投資方針などを発表し、そのスタンスをより明確にしています。

昨年もまとめましたが、そんなGPIFの株式運用機関が評価するサステナビリティおよびESG情報開示事例をまとめてご紹介します。見逃してしまっている情報もわりとあると思いますのでご参考までに。

優れたTCFD開示

運用機関19社から「優れたTCFD開示」として44社が選ばれ、そのうち4機関以上から高い評価を得た企業は5社ありました。

■4機関以上の運用機関から高い評価を得た企業
・三菱UFJフィナンシャル・グループ
・アサヒグループホールディングス
・⽇⽴製作所
・伊藤忠商事
・商船三井

サステナビリティGPIF

出所:GPIFの国内株式運用機関が選ぶ「優れたTCFD開示」(2025/1/27)

優れた統合報告書

4機関以上:伊藤忠商事、野村総合研究所、日立製作所、ソニーグループ、味の素、積水ハウス、荏原製作所、三菱UFJフィナンシャル・グループ
3機関:アサヒグループホールディングス 、コンコルディア・フィナンシャルグループ、三井物産
2機関:INPEX、双日、旭化成、レゾナックホールディングス、積水化学工業、富士フイルムホールディングス、AGC、オムロン、日本電気、ウシオ電機、NISSHA、アシックス、東京エレクトロン、第一生命ホールディングス、東京海上ホールディングス、九州電力
※複数の運用機関に評価された企業を抽出

サステナビリティGPIF

出所:GPIFの国内株式運用機関が選ぶ「優れた統合報告書」(2025/3/11)

重大なESG課題

GPIFは、スチュワードシップ活動原則で、重大なESG課題について積極的なエンゲージメントを求めています。内外株式パッシブ運用機関においては、全運用受託機関が、「気候変動」、「ダイバーシティ」、「情報開示」を重大な課題として5年連続で挙げています。一方、アクティブ運用機関は、国内株式と外国株式で認識している重大なESG課題が分かれています。国内株式では、「気候変動」を全機関が3年連続で挙げています。

サステナビリティGPIF

出所:GPIF「2024/2025年 スチュワードシップ活動報告」(2025/3/31)

サステナビリティ投資方針

GPIFは、2025年3月31日に策定した「サステナビリティ投資方針」を踏まえ、「スチュワードシップ責任を果たすための方針」、「スチュワードシップ活動原則」、「議決権行使原則」について、関係する箇所を改訂しています。新たに「サステナビリティ投資方針」を作成するなど、GPIFとしてサステナビリティ/ESGをいかに投資に組み込むかの姿勢が明確に開示されました。「スチュワードシップ責任を果たすための方針」の改訂など、2025年3月31日に複数の方針等が公開されているので、関係者の方は確実に確認しておきましょう。

サステナビリティ投資方針
スチュワードシップ責任を果たすための方針

まとめ

2025年3月末にまとめて色々開示されたので、チェック漏れがあった方はしっかり確認しておきましょう。ESG投資が専門というわけではないのですが、個人的には効果測定プロジェクトの行末が気になっています。

>>効果測定プロジェクトの概要と分析結果

GPIFやJPXの動きは、日本のESG投資や企業のサステナビリティ推進の基本対応を知るために最重要要素でもあるので、年1度は確実に動向確認しましょう!

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