資生堂CSR

支援からパートナーシップへ

寄付付き商品を販売する「コーズマーケティング」(コーズリレーテッドマーケティング、CRM)から、ビジネスモデル自体に社会性や地域性を加えたソーシャルビジネスが増えています。

日本流のコーズマーケティングは、CSR側からもマーケティング側からも非常に注目されるものの、なかなか単発の寄付モデルから脱却できず、社会的インパクトまで満足につながっていないという課題もあります。

また、東日本大震災からもうじき4年半ということで、企業のフィランソロピー的(慈善活動)なコーズマーケティングでの支援から、地域を巻き込んだビジネスモデルにどのようにつなげられるか、が大きなポイントになりそうです。

そこで、今回は資生堂の事例を紹介します。簡単にですが、その成り立ちを探ってみます。

資生堂のコーズマーケティング

家田さんらの取り組みは、「知恵椿」と呼ばれる社内提案制度において12,000件の中から表彰対象となる3件の一つに選ばれた。震災直後から寄付や無償の美容サービスなど様々な形で復興支援に関わってきた同社だが、「社会貢献型ビジネス」の経験は乏しく、「現地にとってのウイン(WIN)と企業にとってのウィンを考えるのが難しかった」と家田さんは振り返る。
【資生堂】「利益を生む社会貢献」で長期支援

ビジネスアイディアコンテストとの絡んでいた、ということでしょうか。ストーリー展開が特に素晴らしいので、お時間があればぜひ引用記事も読んでみてください。

他の企業でも社内ビジネスアイディアコンテストに、コーズマーケティングやソーシャルビジネスのビジネスモデルが出てきているのを耳にします。

従業員と企業とのエンゲージメントを含めて、僕はこの社内コンテストは、CSRや社会貢献の社内浸透の切り札になるのでは、と最近感じています。CSRを“ジブンごと”化するには圧倒的な手法であると。

イントレプレナー(社内起業家)促進をすることで、企業と社会・地域を結ぶ多様なアイディアが生まれることは非常に良いことです。

参考:未来椿活動|資生堂

資生堂のCSR評価

資生堂のCSR評価は世界的にも高いです。

例えば『今年のランクインはリコー、資生堂、花王–「世界で最も倫理的な企業」』という記事にも書きましたが、世界を代表するランキングにも入っています。東洋経済CSRランキングでは、社会性評価がとても高いものの、財務面で今一歩という所でややランキングは低かったですが。

CSR・ダイバーシティ推進活動の裏にある、女性人材の本音とは』という記事でも触れた通り、日経の「女性が活躍する会社BEST100」では堂々の1位。昨今注目される領域での1位なだけに、流石といった所。

そのせいか、新卒や女性からの人気も高い様子。CSR活動はリクルーティングに大きな影響・印象を与えると日々言っていますが、まさにその通りになっているようです。(参考:働き方と社会貢献に関する4調査

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コーズマーケティングに関する情報をまとめた記事は以下の通りです。ご参考まで。

コーズマーケティングの課題と問題点から、未来の仕組みを考えてみる
コーズマーケティングはソーシャルビジネスであるべき3つの理由
CSRコンサルタントが選ぶ、CSR・コーズマーケティング事例の良記事10選
善意に頼りすぎないコーズマーケティング2事例
・コーズマーケティング成功事例は価格ギャップをなくすこと?

まとめ

資生堂のCSRは非常に評価が高いです。

アニュアルレポート(統合報告書)の評価も高いですし、ダイバーシティ推進なども積極的に取り組んでいる印象があります。

ただし、色々な報道や記事を見る限り、順風満帆というわけでもなく色々な試行錯誤の結果、今に至っているようでして、何事もチャレンジし、少しずつ進めて行くのしかないのかなと、当たり前のことに改めて気付いた次第です。

BtoC企業や消費財メーカーは、資生堂をCSR先進事例としてベンチマークしてみるのは良いかもしれませんね。