サステナブルマーケティング

サステナビリティとマーケティング

サステナビリティは本当に儲かるのか。誰も言わない世界の真実を教えます。「儲かることもあるし、儲からないこともある」です。(出落ちです)

サステナビリティが事業活動である以上、経済的リターンは必須であります。そうなると、特にBtoC企業の場合は、サステナブル・マーケティングに俄然興味が湧くわけでございまして、私のような人間にも相談がくるのであります。新規事業やイノベーションの文脈でも、大手企業を中心にサステナブル・マーケティングが盛り上がってきています。

私はマーケティングが専門ではないのですが、BtoC企業のステークホルダー・エンゲージメントの支援も行うため、サステナにつながる消費者動向を常にチェックしています。そこで、その情報収集の中で見つけた調査を本記事で紹介します。文脈としては、エシカル消費/サステナブル消費からSDGs消費までさまざまな調査をピックアップしました。サステナブル・マーケティングの参考になるであろう調査をぜひチェックしてみてください。

※サステナブル・マーケティングは、CSR/CSV/ESG/SDGs分野のマーケティング全般を指すこととします。

サステナブル・マーケティング関連調査

ミンテルジャパン

サスティナビリティの問題に最も責任があるのは誰かということになると、消費者はさまざまな問題において、企業に最も責任があると答えます。世界の消費者の約半数(48%)は、リサイクルされるパッケージの量を増やす責任は企業にあると考えていますが、責任は消費者にあると考えているのは4分の1(25%)、政府にあると考えているのは5分の1(20%)に過ぎません。
ミンテル 「サスティナビリティバロメーター」で16か国の消費者行動の分析を発表

電通・電通総研

・【社会課題に関心を持つきっかけ】日本は「ニュース・記事」が56.0%、ASEANは「SNS投稿」の方が高い
・【サステナビリティのイメージ】欧米同様に「地球環境」51.8%、「循環型社会・サーキュラーエコノミー」29.2%が上位に入る
・【消費意識】日本は「公的な意義」より「私的な満足度を優先」が61.6%。日本では消費は「私的な満足度を優先」の割合が高まり、「公的な意義を優先」が減少した。
電通と電通総研、2010年に続き「サステナブル・ライフスタイル意識調査2021」を12か国で実施

電通

エシカルな商品・サービスを提供することで、売り上げはもちろん、社会的責任を果たしている企業としてのイメージ向上にもつなげることができます。今回の調査結果を見ても、全体の54.0%が企業イメージの向上につながると回答。中でも40~59歳女性の数値が最も高く、64.0%にも上ります。
企業のビジネスチャンスはどこにある?消費者が実践したい「エシカル消費」とは

電通

・消費者のエシカルな商品の購入条件は「価格」と「商品メリット」への納得感。エシカル消費を促進するためには、適正な価格設定と根拠のある説明が有効となる。
・新型コロナウイルスの影響でエシカル消費をより意識するようになった人は約3割。
電通、「エシカル消費 意識調査2020」を実施新型コロナの影響で、約3割がエシカル消費をより意識

日本経済団体連合会

・コロナ禍の健康と暮らしの安全、安心に向けた取組み
・多様な働き方に合わせた場所や空間、ワークスタイルの提案
・「巣ごもり消費」等の生活の充実に向けた提案
・デジタル取引、コミュニケーションの変化等に合わせた利便性の提供
・リアルの場所、体験ならではの価値の提供
コロナ禍を受けた消費者の行動や意識の変化と企業の取組み~サステナブルな消費の推進に向けて~

コンデナスト・ジャパン

Luxury GenZの特徴の1つとして、SDGsへの関心の高さもうかがえます。SDGsへの関心度合いについて、Luxury GenZは特に「関心があり、積極的に取り組んでいる」「関心があり、ある程度取り組んでいる」「関心があり、取り組んでいないが今後取り組みたい」と答えた人が全体のおよそ6割を占めました。彼らはSDGs関連トピックへの関心度が高く、一般的なZ世代と比較すると25.54ポイントの差をつけました。
コンデナスト・ジャパンがZ世代ラグジュアリーブランド意識調査を実施 「Luxury GenZ」 は一般のZ世代に比べ、およそ5倍以上のラグジュアリーブランドアイテムを購入!

メンバーズ

・約7割が気候変動配慮商品を購入したい一方、実際に購入したのは3割弱
・購買経験者は3割にとどまるものの、継続的な購入希望は9割を超える
・約6割が企業の関連情報発信を「分かりにくい」と回答し、購買行動に繋がりにくい実態
気候変動と企業コミュニケーションに関する生活者意識調査

日本生活協同組合連合会

・過半数がエシカル消費に関心があると回答。エシカル消費をできない・しづらいと感じる場合、一番の理由は「価格が高い・経済的な負担が増える」(36.2%)。
・新型コロナ感染拡大後、15.5%がエシカル消費への意識が「強まった」「やや強まった」と回答。その理由は「家で過ごすことが増え、暮らし方を見直すようになったため」(54.3%)が最多。
エシカル消費意識調査 結果発表:過半数が「エシカル消費」に関心があると回答するも「価格・経済的負担増」(36.2%)が取り組みへの壁に

EY Japan

・消費者の大半(64%)は、自らの消費行動が環境に及ぼす影響を重視したいと考えていますが、同時に、60%が消費する際には値段に見合うだけの価値があるかどうかにも注目するとしています。
・サステナブルで環境に優しい商品を以前より購入するようになったと回答している消費者は今や全体の31%を占めているほか、64%が社会の利益となるなら行動パターンを変えてもいいと考えています。
・消費者の過半数(56%)がサステナブルな行動をとるのは主にそれが節約になる場合であると回答しています。
EY Future Consumer Index: 全世界の消費者の68%がサステナビリティ問題の解決を企業に期待

博報堂

・「社会問題に積極的に取り組む企業に就職・転職したい」男性10-20代・女性10代で約4割。
・「いますぐ社会問題や環境問題に取り組まなければ手遅れになると思う」と回答した人は65.9%
博報堂「生活者のサステナブル購買行動調査2021」レポート

CCCマーケティング

関連するワードの認知率(「内容まで知っている」+「聞いたことはあるが内容はよくわからない」)は、認知率が高い順に、「エコロジー」76.0%、「SDGs」52.2%、「ロハス」51.8%、「サステナブル」50.6%、「フェアトレード」46.8%、「エシカル」21.8%、「ESG」17.8%、「倫理的消費」17.8%でした。
~第一弾の研究発表は「エシカルに関する実態調査」~食を中心とした生活者のエシカル消費に関する研究開発&発表をしていく「エシカル消費研究会」を設立

日本インフォメーション

・「エシカル消費」の実施者は全体で4割。ただ「価格やポイントがお得なら買う」が多数を占め、サステナブルな取り組み自体に付加価値を感じる層は1割未満。
・「エシカル消費」をしない理由 は、「特になし」が最も多く半数弱。次いで、「どの商品がエシカル消費につながるか分からない」「価格が高い」が上位。
SDGsって何? エシカルな消費活動の実態調査

チーターデジタル

・58%の消費者が倫理上の理由(環境、企業、政治的価値)からお気に入りブランドを乗り換えている
・27%のグローバル消費者が「データを責任をもって取り扱うブランドにロイヤルティを抱く」と回答
チーターデジタル、6ヶ国5,065名を対象とするデジタル消費者トレンド調査レポート2021を発表
58%の消費者が「倫理上の理由でお気に入りブランドを乗り換えている」と回答

マッキンゼー

・Z世代の54%がサステナブルな形で生産された衣料品を探しており、また46%が古着を好むと回答している。これらの数字はいずれも、ミレニアル世代やX世代を大幅に上回っている。
・各国において、この世代では60%から80%が、メーカーやブランドは「自社の商業活動における環境的責任を担うべき」と考えている。しかし、Z世代がサステナブルに対する意識が高いことは、プレミアムな価格を許容することにつながらない。
アジア太平洋地域のZ世代は他の世代とどう違うか

ソーシャルプロダクツ普及推進協会

・何らかのソーシャルプロダクツ(フェアトレード商品・オーガニック商品・エコ商品・寄付つき商品・地域や伝統に根ざした商品・障害者支援商品・復興支援商品)を購入している生活者は35%でした。また、50.2%の生活者が、将来的にソーシャルプロダクツを購入していきたいと回答しています。
エコやオーガニック、フェアトレードなど 人や地球にやさしい商品の市場規模は1兆円超

楽天インサイト

日々の買い物で「消費において重視する点」を聴取したところ、上位3つは「値段」(77.3%)、「品質」(66.3%)、「機能」(54.4%)となった。また、「生産地」(27.3%)、「環境に配慮していること」(17.6%)、「生産・運営している企業」(14.7%)、「生産者や生産過程がみえること」(12.4%)など、「エシカル消費」にあてはまる点を重視する回答は3割未満にとどまった。
『「SDGs」の認知度は約50%。「エシカル消費」の経験は7割以上、最も多かったのは「地産地消」』

ジャストシステム

SDGs を認知しているマーケターに、マーケティング施策にSDGs を採り入れるべきと思うかを聞いたところ、「そう思う」と答えた人は32.3 %、「やや思う」人は43.8 %で、あわせて76.1%が採り入れるべきと考えていることがわかりました。
マーケターのSDGsへの取り組みに関する実態調査

所感

いくかの調査でも言及がありますが、消費行動として「企業は環境配慮をしなければならないが、それが理由で高くなる商品は買わない」という身も蓋もない話があります。個人としても、残念ながらこれは相当に納得してます。

私もサステナビリティが重要と言っている立場ですので、できるだけ消費はサステナブルな(ESG課題への対応と配慮が適切な)商品を買いたいと思っていますが、デザイン・価格を考慮すると買えるものが少ないのです。(とにかく類似品に比べて高すぎる!)特にそこまで意識や行動が高くない家族の全員が納得できるプロダクトが少ないのが難しいところです。

本記事で紹介したもの以外のデータも含めてですが、サステナビリティの意識が高まっている一方で、「価格の許容性はゼロ」な点は、以前から指摘されていますが、全方向のステークホルダー配慮をして、価格を従来品と同じというのは不可能な気もします。(それだけ多くの企業は外部不経済を生み出しているということ)

でも、以前は、エシカル商品は数がそもそも少なく「予算がある人たちの嗜好品」的な側面もありましたが、大手企業もサステナブルな商品・サービスを開発・提供してきており、レッドオーシャンになった結果、価格もこなれてきたイメージはあります。

少しでも価格が高いなら環境負荷の低い商品を選ばない。これは複数の調査で示される傾向ですが、これを良い方向で考えれば、同じ価格で提案すれば環境負荷の低い商品を選んでもらえるということになります。価格競争力のあるサステナブルな商品がでてきたら、いよいよ世界が変わるフェーズに入るのかなと思いました。これからのサステナブル・マーケティングは、今までよりもっと面白くなりそうです。サステナブルの夜明けぜよ!

まとめ

消費者動向から、マーケティング視点のサステナビリティなど、さまざまな調査を紹介しました。やはり価格は大きなポイントになりそうですね。

そういえば、ひと昔前にあれほど流行った「CSV(共有価値の創造)」「コーズマーケティング」ですが、ほとんど見られなくなりましたね。パーパスの潮流を考えれば、多くの企業にとっては小手先の戦略だったCSVやコーズマーケティングから、ビジネスモデルや経営の根底となるパーパスから、サステナビリティを考える時代に、この10年で移行したのかなと。

BtoB企業では、ほとんどサステナブル・マーケティングの言及はないと思いますが、企業間取引において、商品・サービスのサステナビリティ側面は重要です。最近はCO2・スコープ3の問題もあり、ESG先進企業では取引先に環境負荷低減を求めるようになってきたし(しないと自社の評価が下がる)、BtoBでも環境配慮商品は、十分な競争要因となるでしょう。ぜひ検討してみてください。

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