レピュテーションリスクマネジメント

不祥事は、決して「対岸の火事」ではありません。

ネットユーザーが選んだ2014年のワースト謝罪会見、1位は「理研・小保方氏」 ――企業はマクドナルド、ベネッセ、朝日が上位に・宣伝会議調べ』という調査があったのでシェアします。

CSRにおいては、慈善事業(社会貢献活動)も重要ですが、ブランド毀損も含めた被害総額が大きいのは不祥事などのリスクの問題です。

今一度、「レピュテーションリスクをマネジメント(管理)する」という考え方を整理しておきましょう。

ワースト謝罪会見

編集部が危機管理の専門家の監修のもと選んだ、2014年1月~10月に発生した企業・個人の不祥事15事例のうち、印象に残った出来事を3件まで選択してもらったところ、1位は「理化学研究所 小保方晴子氏の不正論文問題」(67.4%)に。
「野々村竜太郎元兵庫県議の政務調査費不正使用問題」(47.6%)、「佐村河内守氏 ゴーストライター使用問題」(36.6%)と続き、小保方晴子氏、野々村竜太郎氏、佐村河内守氏という2014年の注目人物3人の謝罪会見がトップとなった。
このほか企業の例としては「マクドナルド 使用期限切れの鶏肉使用」(35.0%、4位)、「ベネッセコーポレーション個人情報流出問題」(31.8%、5位)、「朝日新聞 慰安婦問題、「吉田調書」関連記事取り消し問題」(25.6%)と続いており、2014年の企業不祥事の“三大事件”と言えそうだ。
ネットユーザーが選んだ2014年のワースト謝罪会見、1位は「理研・小保方氏」 ――企業はマクドナルド、ベネッセ、朝日が上位に・宣伝会議調べ

2014年は、マクドナルド・ベネッセ・朝日新聞がスリートップだそうです。様々なメディアでその様子が報じられたので、まだ記憶にある方もいると思います。

僕が注目したのは、先月末の「ペヤング異物混入問題」も含めて、BtoC企業であるということ。「被害の当事者」の絶対数が多かっただけに、嫌悪感を示した人も多かったのが、より話題拡大に拍車をかけたこともあると思います。

もちろん、BtoB企業は不祥事が起きないというわけではないのですが、ステークホルダーの絶対数が少ないだけに、そこまでマスメディアに追求されないというのはあるでしょう。

レピュテーションリスクはBtoC企業の方が高いと思われ、CSRとしてというか、全社的な対応が求められています。どの謝罪会見でもそうですが、「私たちは悪くない」って思っても言ってはいけませんね。まずは徹頭徹尾、謝罪すること。そして全力で原因追及し、事故のプロセスを開示すること。

隠してもいつかバレます。1週間か30年かはわかりませんが。隠してバレたほうが被害が格段に上がります。なぜ隠したんだと。CSR報告はリスク開示であるといつも言っていますが、まさにここ。リスクを開示しないことが一番のリスクですから。

あなたも、何か失敗をして言い訳ばかり(もしくは失敗を隠す)の部下とか取引先とかムカつくでしょ?それと同じです。

参考:消えたペヤング、何を間違えてしまったのか いまだに原因が特定されないのはナゼ?

加担によるレピュテーションリスク

「ヨドバシカメラは、パレスチナ西岸地区内のイスラエル入植地で製造されている家庭用炭酸水製造機ソーダストリームを販売し続けています。また、パレスチナ人の移動の自由を奪うイスラエル軍検問所における生体認証システムを開発・納入しているヒューレット・パッカード社のパソコンやプリンターを販売しています。さらにヨドバシカメラは、イスラエル軍・警察の通信システムや、入植地におけるレーダー監視システムを供給しているモトローラ・ソリューションズの入庫管理システムも利用しています。パレスチナの封鎖・占領に直接・間接にかかわっている企業が、ヨドバシカメラを通じて何も知らされていない消費者から利益を得ているのです」
ヨドバシカメラ前で43日間の抗議-日本企業も人事ではない「パレスチナ占領加担」リスク

この「加担」という概念はCSRでも非常に重要です。自分たちは悪くなくても、悪いことをしている人を支援していれば非難されます。身近な例で言えば、「飲酒運転の幇助(ほうじょ)」とかでしょうか。

飲酒運転の罰則は、運転した人だけでなく、「運転手が飲酒をしたという事実を知りながら同乗する」などの人も罪に問われるということです。「運転者はあいつで、俺は酒を飲んでない!」と言っても罰せられる可能性が高いということです。

「デューディリジェンス」や「サプライチェーンマネジメント」という概念を理解し、リスクヘッジしておかないと、この例のようなレピュテーションリスクにさらされることになります。

ただし、そんなこと言ったら何も販売できんがな、という部分も少なからずあります。まさかの想定外の利用がされるプロダクトなんて世の中たくさんあるでしょうし。なんにせよ、まずは、こういうこともあるということはしっかりと把握しておきましょう。

CSRにおけるコーポレート・レピュテーションとは何か。課題は山積みですが、一つ一つリスクをつぶしていくしかないですよね。

まとめ

CSRのサプライチェーンと加担に対する意識は、日本企業は低いと言えるでしょう。

CSRだけではないですが、商品を作って売れば終わりではなく、「原材料の調達先、製造プロセス、販売の公正さ、消費者課題」というよりプロセスの情報開示が重要になってきています。

なんにせよ、レピュテーションリスクの最も大きな振れ幅は「事故後の初動」です。間違っても「自分たちは悪くない」ということを“言っては”いけませんね。マクドナルド、ベネッセ、朝日新聞、ペヤング(まるか食品)、はいずれもそこを間違えました。

先輩たちの反省をふまえつつ、CSR部もコンプライアンスや広報部署に丸投げではなく、会社一丸となって対応できるよう、部署間連携を取っておくべきでしょう。

ちなみに、以前問題を起こしたマルハニチロは「CSR報告書2014(特別版)」という事故の詳細を書いたCSRレポートを出しています。内容はともかく、この姿勢は評価すべきでしょう。マクドナルドさん・ベネッセさんの来年のCSR報告書がどのような内容になるのか非常に気になる今日この頃です。

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