企業のボランティア支援は何だったのか
先日、東日本大震災の復興支援系の勉強会に参加してきたのでそのメモを。
会の運営が若干グダグダ(苦笑)でしたが、内容はとても興味深いものでした。誰もが知る大手企業2社のプレゼン、その企業への質問を考えるというワークショップ、という構成の勉強会。
メモなので、箇条書きの部分ありますが、あなたの新しい気付きがあると思いますので、チェックしていただければと思います。
大手建設会社の事例
ボランティア活動には、お金は出ないので企業として東日本大震災の被災地にボランティアは出せなかったそうです。仮にお金が出ても、「ボランティアをしながら仕事を探す」というな感じだったそうです。
他社と協力して被災支援商品(アメみたいなやつ)を作ったり、年に何回が被災地の缶詰メーカーの商品を売ったり、企業というか、個人の方の活動が大きくなったようなイメージ。
つまり、会社としては、ボランティアに交通費・宿泊費は出せないけど、営業の一環であれば、補助できると。ですので、会社を騙して(様々な企画で、様々な部署から支援を受ける)でも活動を続けた。
言い方は乱暴かもしれませんが、「仕事につながるボランティア」以外でボランティア活動はできなかった。つまり、企業は東北に貢献したいと言いつつも、特に関西以西に本社のある企業は東北での震災は他人ごとなのです。
会社全体としては、積極的な活動ができないので、個人に近い活動になっている気もしました。
大手IT会社の事例
ボランティア派遣をしたが、目立った変化(成果)は出せていないと思う。被災地支援のボランティアは、もう下火。申請は通りにくい?かも。
社員は数千人いるが、ボランティアに積極的な従業員は10%もいない。本社があるアメリカのボランティア・スピリットみたいなものを日本にそのまま移植はできない。
子どもがいる従業員の多くは、ボランティアに行きにくい(行けない)。ボランティアに関するシステム(データベース・社内ウェブサービス)があるが、あまり利用が進んでいないと思われる。
テーマはCSRやボランティアの社内浸透。仕組みやノウハウはあるので、これらを上手く活かしたい。
エグゼクティブの理解が重要とおっしゃっていましたが、成果がわからないし、そもそも成果を計ろうとしない(効果測定しない)状況で、会社としてはOK出しにくいのでしょうね。
社会貢献は可視化・定量化できないとお聞きしましたが、そんなことないと思うけどなぁ。多分、第三者の専門家(僕みたいなやつ)からアドバイスなどをもらったことがないのかもしれませんね。
まとめ
第三者として厳しく言わせていただければ、目標もないし、トップの理解もそこまでなさそうだし、社会的なインパクト、社会貢献活動による社内へのインパクトは、どちらの企業もなかったようです。
会社として数千人の従業員がいても、ボランティア活動をするのは、100〜200人の特定の人たちという事実。1割いないらしいです。僕も、色んな企業の方にお会いしますが、大概、社会貢献活動に参加する従業員は10%以下です。
CSR推進企業と言っても、担当者以外メディア露出ないし、外部の人間には進んでいるように見えても、内部はボロボロ。インパクトの測定もできていない状態。
エグゼクティブのCSR(社会貢献)への関与は必須です。CSR活動がボトムアップだろうが、トップダウンだろうが、最終的にトップが理解していないとCSRは進みません。これは絶対です。トップの理解なしにCSRが進んでいる企業はここ数年で1社も見たことがありません。
効果測定のためにも、まずはCSRや社会貢献活動の「目標・目的」を明確にすることが重要なようです。
そもそもゴールがないマラソンなんて不可能だし、効果測定を“しない”事業活動なんてナンセンスですよね。特に震災復興は、関西・関東に本社をおく多くの企業にとって、直接的なメリットはありません。
下火になっている、関西・関東の被災地支事情もあるようですが、ボランティア・社会貢献・CSRといったワードを超えて、企業益になる企業活動に昇華できるとベストですね。
あとは、“社会に良い事は数値化できなくてもいい”ではなく、ともかく可視化。社内の社会貢献担当者以外も納得しちゃうようなプログラムを作って、社内予算を引っ張るくらいの意気込みが求められているのかもね。
御社では、今でも震災復興の活動をしていますか?
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