CSRマーケティングとは何か

僕にCSR研修のご相談で多いのは、CSR全般の話しともうひとつ「どうやったら儲けるのか?」ということ。

本稿は「CSRマーケティングの3つの注意点」として、その注意すべきポイントをまとめてみます。今っぽく言えば、共創マーケティングとは共感マーケティングと言われる領域でもありますね。

そもそも、マーケティングとは何か。ドラッカー氏がマーケティングの定義を確定させたとも言われていますが、彼によると「セリングをなくすこと」がマーケティングだそうです。

つまり、「買わないことを選択できる第三者に、喜んで自らの購買力と交換してくれるものを提供する活動」であり、こちらから売りに行かなくても買ってくれること。また「顧客というものをよく知って理解し、製品が顧客にぴったりと合って、ひとりでに売れてしまうようにすること」ともしています。

つまり、CSRマーケティングとは「CSR活動における価値創出により、製品が顧客にぴったりと合って、ひとりでに商品やサービス売れてしまうようにすること」といったイメージでしょうか。

CSRマーケティングの3つの注意点

1、フレームワーク

例えば、フレームワーク「3E」がります。「3E」とは、「Emotion(感情・気持ち)、Experience(体験・経験)、Engagement(約束・絆)」の頭文字をとった、僕の作ったフレームワークです。

この3つのポイントに注視することで、考えやアクションが整理されていきます。

CSR活動を通じたマーケティングは通常のマーケティング活動とは異なり、その社会性や企業価値が大きく影響してきます。

その中で「3Eフレームワーク」のような枠組みをうまく利用し、定性的な評価だけではなく、定量的評価の枠組みとして利用するとよいでしょう。

参照
知っておいて損はない!CSRマーケティングの決定版、共感マーケティングメソッド「3E」
企業価値をはかれ!競争優位性を明確にするCSRフレームワーク「VRIO分析」
CSRコミュニケーションに戦略性をもたらすフレームワーク「SMART」と「SUCCESS」

2、コーズマーケティング

コーズマーケティングとは、コーズ(大義名分)にフォーカスしたマーケティング手法。主に、社会課題解決に貢献できる「寄付付き商品の販売」を指すことが多いです。

難しいのは、インパクト測定です。企業としては、成果報酬の寄付なので損は大きくないのですが、最終的に寄付する金額があまり大きくないことがほとんどのようです。

数十万・数百万円をNPOに寄付しただけ終わり、というようなものをマーケティングとするのはちょっと浅知恵なのではないでしょうか。

企業も顧客も、無理なく、継続的にできる仕組みを作りたいですね。もしCSR研修としてするのであれば、事例紹介だけではなく、実際にマーケティング・プログラムを作るワークショップ形式が良いでしょう。知識だけでは、会社も社会も変わりませんから。

参照
・コーズマーケティング成功事例は価格ギャップをなくすこと?
CSR広告制作におけるコンテンツマーケティングの3つのポイント
今年のまとめ!CSR・コーズマーケティングの事例・記事12選

3、エシカル

エシカルとは倫理観のこと。ビジネスエシックスは企業倫理と訳されます。

話せば長くなるのですが、エシカルをマーケティング戦略とすることは、オススメできません。“エシカル”はして当然のことだからです。

商品・サービスが魅力的であり、付加価値としてエシカル的な見せ方はできるとは思います。ただし、日本語のエシカルは基本ファッション関連の領域でしか出てこない話題ですので、他の業種ではそのままCSRマーケティングとしたほうがよいかもしれませんね。

以下の参考記事を必ずお読み下さい。

参照
エシカルな企業ランキング!? 「世界で最も倫理的な企業2014」
ソーシャルグッドでエシカルなウェブマガジン総まとめ18選[2013年版]
トレンドだけでは社会貢献にならない!エシカルビジネスにおける3つのポイント

まとめ

本業でCSRを行う。これこそが最大のマーケティングである。こんなことを言っている人がいます。

間違ってはいないし、それを目指すことは素晴らしいことだと思います。その反面、儲けにくい領域の社会問題は見逃されてしまい、企業にメリットがあっても社会にメリットのないCSR活動がばかりが増えてしまう可能性もあります。

社会にとって必要な活動でも、企業の利益に貢献しないのであれば、それはマーケティングとは、そもそも呼ばないわけです。

CSRマーケティングは当たり前?「第四の消費」(三浦展)
▶CSRが戦略的マーケティングのカギになるのか?「コトラー8つの成長戦略」

こういった危惧もあって、マーケティングよりの考え方である「CSRからCSV」慎重論がでてくるわけです。

最新CSV事例から学ぶ、マイケルポーターの“CSRからCSV”待望論
「CSRからCSV(Creating Shared Value)へ」は、なぜ間違いなのか

御社のパートナーになる企業のCSR論が正解であり正義とされると思いますが、CSRの基礎的な考え方や文脈を最低限、CSR研修などで学んでから、マーケティング戦略の社会化を狙ったほうが、企業にも社会にも利益が多い気がします。