“CSR担当者”という専門職は、そもそも存在するのか?
記事タイトルから、かなり偉そうですみません。
別に、大手企業のCSR担当者の方を罵倒したいのではなく、改めて考えてみようという、今回のお話です。
「“CSR担当者”という専門職は、そもそも存在するのか?」。この問いの答えの一つは「存在し得ない」かと。ではなぜか。
CSRアジアの面白い記事から引用させていただき、複数の切り口から考察してみます。
CSR担当者は本当に専門職?
サステナビリティという専門職は比較的新しい。短期間で、社内にサステナビリティ責任者が配属され、サステナビリティの業績改善に取りかかることになった。しかし、法務、会計、人事といった他の部署に比べればその数は少なく、サステナビリティ責任者へのサポートも限られている。
(サステナビリティという専門職はうまくいっていないのか? )
10年以上、サスティナビリティ(CSR)担当をしているというビジネスパーソンは、日本に何人いるのか?というレベルだと思う。
法務、会計、人事などの伝統的(?)な部署であれば、ベテランと呼ばれる、専門畑で10〜30年している人もいるでしょうに。
そう考えると、CSRに関する知識や経験がないまま部署異動してくる人がほぼ全員なのでしょうね。NGO出身のCSR担当者は日本では皆無でしょうし。
だとすると、CSRの専門的な知識や、CSR活動のノウハウなどは、皆無の従業員がほとんど。お世辞にも、専門職とは言えません。
サステナビリティという専門職の職務内容に基準はなく、サステナビリティ責任者が何をすべきか社内でもあまり理解されていない。サステナビリティ責任者は企業のサステナビリティ戦略が社内全域で実践されるようすべての部署に働きかけをすることにより企業を導いて行く役割を持つ。その際、企業の経営陣の関わりは必須であり、本来であれば事業が有意義な影響をもたらしているかきちんと確認しなければならない。
しかし、残念ながら現実にはサステナビリティ責任者の多くはCEOとは接触せず、偶然に会ってもすぐに忘れられがちだ。現実にはサステナビリティという専門職がうまく機能していないのかもしれない。既存のサステナビリティ責任者に出来ることは「ビジネス慣行のあちこちをちょっといじる」ことぐらいかもしれない。
(サステナビリティという専門職はうまくいっていないのか? )
上場企業や大手企業(未上場)でも、ここ数年で部署ができたとか、未だにアクションしきれずにいるとかいう企業も多いですよね。
各種統計(経団連資料、CSR報告書発行数、ウェブコンテンツ作成数など)を見ると、上場企業4,000弱のうち1,500社程度がしている模様。他の2,500社は取り急ぎ放置。そう放置(笑)。
経営者及び役員との定期的なCSR関連会議って、そもそもほとんどないのかもね。そもそもここ数年でCSR部やCSR委員会、経営企画や事業推進などの担当部署ができたばかりという企業もいくつもありますからねぇ。
もろもろ含めて、これからということだとは思ってます。
CSR部における課題と未来
僕は、いくつか会社の立ち上げに関わり今でも色々仕事をしていますが、社員数人のところでも「まっとうな経営」を目指し、倫理規定みたいなものがある企業があります。CSRを大げさに考えるのではなく、まずは、身の回りからというのはCSRの基本だと思ってますので、そういった形でCSR推進をしています。
で、上場企業や大手企業の場合の「CSR部(関連部署)」はどうしていくべきなのか。
以前、いくつか記事にまとめていますので、お読みいただき、参考にしていただければと思います。
▶1社あたり4億円以上の支出! 経団連「社会貢献活動実績調査結果2013」
▶ブラック企業の皆様お気をつけ下さい。今月は「過重労働重点監督月間」です。
▶前代未聞のコンテンツやんか! ヤフーのCSRサイト「CHALLENGE」
▶CSR格付け・CSRランキングは、健全なCSR活動を阻害しているかも
▶社会貢献・CSR担当役員はどう選出する?CSOの役割を考える
▶CSR部こそCSR以外のことにも目を向けるべき!?CSR部の問題点と未来の形
▶CSR部の大きな矛盾?経営におけるCSR・社会貢献の問題点とあり方
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「サステナビリティという専門職」については、企業によっても捉え方が様々です。推進企業はCSR担当役員がいるくらいですから。機能しているかどうかは不明ですが。
あとは、企業のCSR部長みたいな人が、社外の講演会やセミナー講師をしているのを時々見かけます。別に何しようと構いませんが、自社のCSRがテキトーなくせに、CSRを他社のCSR関係者に偉そうに語るのはいかがなものでしょうか。
自社をまずは、名実共にCSR推進企業にすることが最優先で、書籍執筆とかセミナー講師している場合でもないような気が最近します。
CSRに関わるイントラプレナー(社内起業家)の存在は素晴らしいと思いますが、「サスティナビリティという専門職」についてはまだまだ課題が多いようで、僕も出来る限り色々な企業の支援をさせていただき、より良き企業・より良き社会のために貢献できればと思います。