市場を創造する、ということ
世界の人口の三分の二はインターネットにアクセスすらできない。
地球上の誰もがインターネットをつながれたら、どんなにすてきなことだろうか。
「internet.org」は、世界の残り3分の2にインターネットアクセスを提供することを目標として集まったテクノロジー企業、非営利団体、地域コミュニティ、専門家の世界的な共同体です。
Internet.orgパートナーとは、SNSの現・覇者のFacebook、通信のエリクソン、半導体のメディアテック、ウェブブラウザのオペラ、IT企業のサムソン、モバイル通信のノキア、ワイヤレスのクアルコムの7社です。
いわゆるIT系の超有名企業ばかりが参加しています。
とても社会貢献的なプロジェクトですが、どちらかといえば、将来的な顧客層を開拓するソーシャルビジネスとも言えます。
まさに企業の社会的な役割を認識し、活動をするプロジェクトであり、参加企業のCSR活動としてとても意義のあるものとなっています。
3分野で解決策
Internet.orgパートナーは、ツール、リソース、ベストプラクティスを共有することにより、手頃な料金、効率、ビジネスモデルという3つの分野で解決策を探すとのこと。
1、手頃な料金
誰もインターネットへのアクセスと食料/医薬品の二者択一を迫られるべきではありません。
Internet.orgパートナーは、データネットワークのコスト削減と、インターネットへのアクセスがないコミュニティのアクセス向上を実現するための技術を共同で開発します。
2、効率
テキストメッセージを送る、ウェブサイトを開くなど、データ通信には帯域幅が必要であり、帯域幅は世界の多くの地域で不足しています。
Internet.orgパートナーは、データ圧縮の向上とデータネットワークとサービスの効率向上のためツールとソフトウェアに投資します。
3、ビジネスモデル
数十億人をネットワークでつなぐのは大規模な地球的取り組みであり、実現するには継続的な技術革新が必要となります。
デベロッパー、携帯事業者、ハードウェアメーカーなどが共同で、インターネットへの新しいアクセス手段の提供を奨励する仕組みを模索しています。
internet.org
Every one of us. #ConnectTheWorld
マーク・ザッカーバーグ氏のインタビュー
Mark Zuckerberg aims to put the entire world online|CNN
まとめ
いかがでしたでしょうか。
キレイごと“だけ”では社会貢献はできません。
力(資本力・技術力)をもった多ジャンルの企業が集まり、ソーシャルビジネスを推進することで、世界を変えられるかもしれません。
ただ一つ、残念なことがあるとすれば、こういった世界的なCSRやソーシャルビジネスの枠組みに日本企業が皆無であること。
資本力や技術力であれば、日本にも秀でている企業はあるはずです。
裏で打診があったのかどうかは知る由もないのですが、非常に残念であり、数年後、この仕組みが確立した時、より一層世界と日本の差ができてしまう気がしてなりません。
マーケティングの大家ピータードラッカーは「市場を創造せよ」と言いました。
まさに、その通りであり、それを将来ビジネスにしていくと明言していますし、今後のインパクトも非常に気になります。
今、流行ののCSV的な発想ですね。素晴らしいと思います。
「internet.org」のウェブサイトは、日本語化されてますので、一度そのスケールをご覧下さい。
御社のCSR活動の参考にはならないと思いますが、ご参考までに。CSRは「ビックピクチャーを描け!」が重要ですね。
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