女性管理職比率の対応・開示状況は
先日発売となった東洋経済新報社「CSR企業白書2023」(2023年4月発売)で、昨今注目される「女性管理職比率ランキング」があったので紹介させていただきます。
ご存知の方も多いですが、サステナビリティ界隈では何年も前から注目度が高かった指標の一つが「女性管理職比率」です。女性管理職比率は、2023年4月より有価証券報告書での開示義務化項目(サステナビリティ情報開示義務化)ということで、より注目度が高まっています。有報で開示義務化をされる前からサステナビリティ情報開示として開示はされてきていますが、また重要性が一段階上がった印象です。
企業の開示事例などは、人的資本開示の文脈でいろいろケースが挙げられているのでそちらでチェックいただくとして、そもそもの女性管理職比率が高い企業ランキングデータはありません。私の知る限りでは東洋経済だけです。
そこで本記事では「女性管理職比率」「女性役員数」「女性部長数」のランキングトップ企業を紹介します。ぜひ、今後の活動および開示のベンチマーク企業として参考にしてみてください。なおデータ提供を目的としていないので数値は省いています。
情報開示:「CSR企業白書2023」にESGトレンドに関する記事寄稿をしています。
女性管理職比率ランキング・トップ30
1. ABC Cooking Studio
2. 東横イン
3. スタジオアリス
4. ミュゼプラチナム
5. ニチイ学館
5. ファンデリー
7. コンヴァノ
8. ハウスオブローゼ
9. ハーバー研究所
10. ミアヘルサホールディングス
11. パソナグループ
12. アクシージア
13. ポピンズ
13. 船井総研ホールディングス
15. IBJ
16. アイスタイル
17. 住友生命保険
18. ファンケル
19. ウィル
20. ソラスト
21. エフビー介護サービス
22. マクアケ
23. ゼネラルパートナーズ
24. 翻訳センター
24. イオンファンタジー
26. リニカル
27. エーアイ
27. ASIAN STAR
29. アニコムホールディングス
30. サイボー
出所:東洋経済新報社(2023)「CSR企業白書2023」
女性役員数ランキング・トップ30
1. アサヒグループホールディングス
2. 日本電信電話
3. セブン&アイ・ホールディングス
4. パソナグループ
4. Zホールディングス
6. アインホールディングス
7. SOMPOホールディングス
8. 東横イン
8. ニチイ学館
10. SBI新生銀行
10. りそなホールディングス
12. MS&ADインシュアランスグループHD
13. 資生堂
13. ケーズホールディングス
13. 学研ホールディングス
16. 日立製作所
17. ローソン
17. キリンホールディングス
17. 丸井グループ
17. 東京海上ホールディングス
17. 第一生命ホールディングス
17. 大和証券グループ本社
17. 三井住友フィナンシャルグループ
24. ファンケル
24. ソニーグループ
24. カルビー
24. BIPROGY
24. NTTデータ
24. ANAホールディングス
24. インテージホールディングス
24. 積水ハウス
24. シミックホールディングス
24. エーザイ
出所:東洋経済新報社(2023)「CSR企業白書2023」
※役員:取締役・監査役・執行役・執行役員の合計
女性部長数ランキング・トップ30
1. 日本電信電話
2. みずほフィナンシャルグループ
3. りそなホールディングス
4. 東横イン
5. Zホールディングス
6. 電通グループ
7. SOMPOホールディングス
8. NEC
9. 日立製作所
10. アサヒグループホールディングス
11. 三菱UFJフィナンシャル・グループ
11. 三井住友フィナンシャルグループ
13. 参天製薬
13. 日産自動車
15. セブン&アイ・ホールディングス
16. トランスコスモス
17. 関西みらいフィナンシャルグループ
18. 富士通
19. MS&ADインシュアランスグループHD
20. 大日本印刷
21. イオン
22. リクルートホールディングス
23. 東芝
23. ソフトバンク
23. ソフトバンクグループ
26. 花王
26. パナソニック・ホールディングス
28. パソナグループ
28. ゆうちょ銀行
30. コンコルディア・フィナンシャルグループ
出所:東洋経済新報社(2023)「CSR企業白書2023」
雑感
管理職比率は、ホールディングス(主要事業会社ではない)や事業会社単体など、計測方法が企業ごとに異なるように見えますが、上位のようなランキングとなっています。ESG総合評価が高い企業は少なく、逆相関があるのかくらいではあります。ただ対応と開示の説得力が高く、ベンチマークとして参考になると思いますのでチェックしてみてください。
もちろん、女性管理職比率が高ければ高いほどいいのかというと、そうではないと思っていまして、それこそ女性管理職比率が100%になると男性が一人もいないことになり、それはそれで多様性がないよねとなります。なので単純に最大化すれば良い指標ではないものの、開示義務化にもなりましたし、多くの企業にとっては最大化すべき指標として存在するのもまた事実で、がんばっていきましょうね、という話です。
比率は中堅中小企業が上位に来ますが、実数となるとやはり組織規模が大きい企業がランキング上位にきます。女性役員数ランキング、女性部長数ランキング、もなかなか興味深いです。女性管理職数を増やす取り組み事例を考えると、これらの企業の活動を参考にするのもよいかもしれません。
開示義務化となると、ほかにも「男女間賃金格差」「男性の育休取得率」などもあります。きちんと方針を決めて、労働環境の整備を行なっていきましょう。このあたりはテクニカルに操作できる情報ではないため、活動の差が明確に出て興味深いです。
まとめ
本記事では女性管理職比率ランキングを中心に、いくつかのトップ企業を紹介させていただきました。
特に女性管理職比率の開示義務化で、今後もさらに注目度が上がる領域です。2023年度以降も、積極的な取り組みをしていきましょう。というか、そもそも、女性に選ばれる企業であることが前提です。無理矢理な推進施策に辟易して、優秀な女性が逃げる(退職する)企業が増えるのではないかと邪推したりしています。
細かい数値等を確認したい方は「CSR企業白書2023」をチェックしてみてください。なお1冊2万円するので、購入には勇気(根性?)が必要です。
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