CSR関連本

2018年もCSR/サステナビリティ関連の様々な本・書籍が出版されました。

書籍は、日本全体では年間で約1万冊も発行されていますが、CSRはビジネスカテゴリとしてはニッチなので関連書籍といっても数十ない程度です。それを踏まえた上でですが、今年は以前にも増して「ESG」「SDGs」に関するものが多かったように思います。とにかくESGとSDGsに関する書籍は確実に増えています。大阪万博も決まりSDGsは来年も盛り上がりそうですね。

近況では、CSVをタイトルにした本は流石に減ってきています。その概念が重要であることに変わりはありませんが、推進団体もグッと減り、CSV単体の話はこのまま減っていくのでしょう。今後はSDGsの文脈で語られることになるでしょう。

サステナビリティというタイトルの本ですが、いまのところほとんどないです。このあたりを詳しく知りたければ、Amazonや楽天などのオンライン書店でキーワード検索をするとよいでしょう。

さて、そんな2018年ですが、当ブログで読書メモをしてきたものを含めて、CSR関連のおすすめ本をまとめたいと思います。

CSRおすすめ本

CSR担当者になったばかりの方は、CSR活動のテクニカルな書籍や、CSRの総合解説本を探しがちですが、ビジネスパーソンとしての教養といいますが、ベースになる倫理観みたいなものを先に学んだ方が、そのあとに知識が入ってきやすいように思います。これは何年も前から同じなので、当ブログでも時々紹介していますが、まずは、以下の3冊を買いましょう。ベストセラー中のベストセラーなのでどこでも売っているはずです。

1、論語と算盤


・渋沢栄一「論語と算盤」(守屋淳 翻訳、ちくま新書)

CSRの本質である社会性と経済合理性の落としどころがわかるというか。CSRに関わる人は読んでおきたい名著です。さすがに説明は不要かと思います。孔子の論語も現代語訳版でいいので、原典として確認しておくことをおすすめします。

2、マネジメント


・ピータードラッカー「マネジメント 基本と原則(エッセンシャル版)」(上田惇生 翻訳、ダイヤモンド社)

こちらもCSRの本ではないですが、企業倫理というか組織としての責任とは何か、を改めて考えさせられるものです。ピータードラッカー、マイケルポーター、フィリップコトラー、の3巨人のCSRやCSR的マーケティングの本は、王道なので一度は読んでおきたいですね。

ドラッカーの書は、哲学的であり実務的ではないという批判もあり(要は経営学ではなくポエムであると)、それを否定しませんが、かなり日本人的というか価値観になじみやすいのは間違いありません。他には、ポーターのCSV関連の論文や書籍は目を通した方がいいでしょう。ただ、アメリカのCSR論も、ヨーロッパのCSR論も、ニュアンスはアジアとは違うため腹落ちしにくいのですよ…。

3、CSR企業白書


・東洋経済新報社「CSR企業白書」※年次発行ものです

3冊目は、迷いに迷って「CSR企業白書」に。国内唯一のCSR総合データとランキングです。有識者の様々なテーマについてトレンドを解説している特集ページもありますが、ほとんどは各種CSRランキングについてです。

そもそも、CSR評価が高い企業はどんなところなのか、総合的なCSRの評価項目とは何か、などを知ることができます。世界的には色々な情報プロバイダーやESG評価機関がありますが、国内では唯一なので、まずはこれをチェックする必要があります。ノウハウではないもの、役に立つデータが満載、ということで紹介。

※情報開示:「CSR企業白書2018」には、有識者として寄稿をしています。

CSR関連書籍

以下、今年の読書メモをした書籍です。ご参考までに。

最新CSRデータの決定版!「CSR企業総覧2019」(東洋経済新報社)
IR/ESGを学ぶための本「コーポレートガバナンス・コードの実践-改訂版」(日経BP社)
CSR調達を学ぶための「ESG投資時代の持続可能な調達」(冨田秀実)
企業はCSRで動物を救えるか?「アニマルウェルフェアとは何か」(枝廣淳子)
企業のCSV経営推進へ「コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法」(名和高司)
CSR/SDGsの未来を見つけるための本「近未来予想2025」(早川書房)
CSR担当者が読むべきSDGs企業本「SDGsの教科書」(足達英一郎)
CSRランキングの総集編「CSR企業白書2018」(東洋経済新報社)
統合報告の現状を学べる本「社会が選ぶ企業」(KPMGジャパン)
読書メモ「アカウンタビリティから経営倫理へ」(國部克彦)

著者別

他には、特定の書籍ではないですが「偏りがない」「事例紹介で終わらない」「より本質的」という3要素を満たす本を書ける著者はあまり多くありません。

藤井敏彦さん、関正雄さん、冨田秀実さん、足達英一郎さん、などの本はどれも本質的です。みなさんお会いしたことがありますが、人柄もすてきな方々です。

CSR関連の書籍は、数で言えば、その多くが大学の先生です。おすすめの著者は、國部克彦先生、水口剛先生、谷本寛治先生、などでしょうか。CSR/サステナビリティではなくESG投資や統合報告も含めるとグッと数が増えますが、ここでは一旦割愛ということで。

もちろん、私の書籍もおすすめしたいところですが、CSRを学ぶという観点でいうと、総合的な本はまだ出したことがないので、ここでは紹介しません。私の次回作は総合的な本になりそうなのでご期待ください。

雑感

CSRは普遍的な経営哲学でもあるので、たとえば論語のように、古典から学ぶこともたくさんあります。人間の中身って2,000年たってもたいして変わっていないのでしょうか。

CSR担当者であれば、CSR関連本を読むというのは当然だと思いますが、日本人にはピータードラッカーの「マネジメント」などは、社会的責任の大枠を理解するのに良いでしょうし、クラシカルな経営書も、改めて読むと学びがおおくあったりします。

余談ですが、年数冊程度、執筆者から献本をいただくことがあります。いただいた書籍は必ず目を通すのですが、レベルの低いものは読書メモを書くこともしません。というか、ここ数年はそういう書籍が多くて、いただいても対応に困るものがほとんど。まぁ、難しいですね。といいつつも、私も春に出版予定の書籍の献本をする予定なのですが、送られた方はそう思ってたりして(苦笑)

まとめ

インターネットなんでも情報がタダで得られる時代ですが、本・書籍は、特定の情報をまとめて読めるということで、私も良く活用します。

購入費用もそれなりにかかりますが、コンサルタントはアイディアや情報が売り物ですので、きっちりとインプットして、自身の知識のアップデートをしています。定期的な読書は社会人になった22歳ころからしていますが、今は週1〜3冊程度読んでいます(単行本のみで)。CSRに限らずビジネス全般です。CSR以外のカテゴリの本から学ぶことも多いので。

来年はどんな本に出会えるでしょうか。今から楽しみです。もちろん、自身の書籍執筆もがんばります。