社会に選ばれるためには

今回の読書メモは「社会が選ぶ企業」(KPMGジャパン、日本経済新聞出版社)です。

中身はというと、いわゆる統合報告に関する話です。最新事例をふくめて、KPMG式の統合報告における考え方が紹介されています。いわゆるCSR的な報告に関する話はあまりありません。SDGs、ESG、社会的責任、統合報告などがテーマになっています。

本書では「Intangibles(見えざるもの)」「Materiality(マテリアリティ)」「Responsibility(レスポンシビリティ)」「Outcome(アウトカム)」の4つが、持続的成長の達成するためのキーワードとしています。加えて、それぞれが単体で良いだけではだめで、これらを有機的に結びつけ、社会的課題解決に貢献し、財務的・社会的な価値な生み出す企業であるべきだと。

色々な事例を含めてまとめられているのですが、個人的にはプロローグにあった『15年もの間、「見えざるもの」に関わりを有してきた我々が得た気付きの一つは「本質は何も変わっていない」ということでもあるのだ』というフレーズ。結局そういうことなんですよね。

全体としては、自分の思考法の整理とかに役立ちそうと感じたことかな。

残念だったのは、結局タイトルの意味がわからなかったことでしょうか。書籍内では「ステークホルダーと表記するだけではたりない」といっているのに、では本書のタイトルの「社会」って誰?と思うと、何も記述されてないように感じました。社会ってかなり広いから「社会と表記するだけではたりない」をツッコンだのは私だけではないはず。

それはさておき、特に投資家や評価機関を意識した情報開示に興味があるCSR担当者に、オススメの書籍かと思いました。

社会が選ぶ企業

自社の見えない資産までをどう評価し、表現・アピールすればよいのか。ステークホルダーとの関係をどのように構築すべきか。激変するグローバル社会のなかで生き残っていくために必要な考え方を提供します。