サステナビリティ経営

2024年は渋沢栄一の年に!

2024年7月3日は何の日かご存知でしょうか。そう「紙幣の改刷」です。7月3日より、新しいデザインの千円札、5千円札、1万円札が出回りますよというものです。

すでに各種メディアでPRされていますが、2021年大河ドラマ主人公にして、2024年からの新1万円札の顔となるのが、渋沢栄一(1840-1931)です。「日本近代化の父」と呼ばれ、生涯にわたり約500の企業を育てあげ、また約600の社会公共事業にも関わったとされる人物です。ビジネスパーソンには「『論語と算盤』の人」のほうが馴染みがあるかもしれません。

>>渋沢栄一とは|渋沢栄一記念財団

さて、そんな渋沢栄一の『論語と算盤』ですが、実は、私はとある『論語と算盤』に関する勉強会に参加しており、何年かぶり(何十年かぶり?)に関連書籍を読んでいます。ということで、その中で、これから『論語と算盤』を学び直したいという方向けの書籍をピックアップして紹介したいと思います。

古典は語り継がれる意味があります。私の1冊目の著書なんて10年経つ前に廃盤ですからね。普通の著書は100年も語り継がれることはありません。ではなぜ『論語と算盤』はそこまで愛されるのか。以下の書籍でぜひ確認してみてください。

参考書籍

『論語と算盤』は、日本では最も著名な古典の一つであり『論語と算盤』を冠する書籍は山ほどあり、さまざまな著者の書籍が出版されています。興味はあるけどどれを読めばいいかわからない、という方は以下の書籍を選んではいかがでしょうか。現実問題として「三方よし」よりはサステナビリティ経営を学べると思います。

論語と算盤

渋沢栄一『論語と算盤(角川ソフィア文庫)』KADOKAWA(初版:2008年)

『論語と算盤』は角川ソフィア文庫のものが原典に忠実ということで、1冊は持っておきたいです。読み方も現代的ではないので、読み解くのに相当エネルギーが必要なものの、他の『論語と算盤』はこれを起点に書かれているため、まずおすすめさせていただいています。

『論語と算盤』の原典は、1916年に東亜堂書房より出版されたものです。(参考:渋沢栄一記念財団ウェブサイト)100年以上前に書かれたということで、まさに古典ですね。古典なのに、現代にも通じる経営理論があるというか。

渋沢栄一は、経営学者のピーター・ドラッカーと比較されることもありますが、経営哲学を学ぶという意味ではたしかにピーター・ドラッカー『マネジメント』もおすすめではあります。特に社会的責任に関する言及も多く、サステナビリティ担当向けの古典とも言えるでしょう。

現代語訳 論語と算盤

守屋淳=訳『現代語訳 論語と算盤(ちくま新書)』筑摩書房(初版:2010年)

守屋淳さんの現代語訳版は、文字通り現代語訳で読みやすいです。メインはこれを都度読み返していましたが、角川ソフィア文庫版を知っていると、省略された箇所も多く、あくまで参考文献扱いのイメージです。渋沢栄一を知りたいなら、とにもかくにも、角川ソフィア文庫版と本書を買いなさいよ、としか言えません。

守屋さんの最新版・完全翻訳書『詳解全訳 論語と算盤』筑摩書房(2024/7/1発売)が本日発売のようです。私は予約注文はしたものの、まだ手元に届いていないので中身はわかりません。『現代語訳 論語と算盤』のパワーアップ版と認識しています。こちらも購入検討の余地はありそうです。

超約版 論語と算盤

渋澤健『超約版 論語と算盤』ウェッジ(2021年発売)

渋沢栄一の玄孫(孫の孫)で、日本のサステナビリティ推進政策にも関わる渋澤健さんの超訳版です。健さんの意訳(解釈)があるので、経営哲学書として理解しやすいと思います。本の帯には「100年前にSDGsを提唱!」とあって、さすがに話が大きいように感じますが、言い過ぎではないと思っています。

学習まんが 渋沢栄一

はのまきみ『学習まんが 世界の伝記NEXT 渋沢栄一』集英社(2020年発売)

最後は『論語と算盤』ではなく渋沢栄一自身を学ぶということで、あえて漫画を紹介したいと思います。なんだかんだいって、漫画はストーリーがすっと入ってきますよね。渋沢栄一の漫画版伝記はいくつか出ており、確認できるものはだいたいチェックしたと思います。渋沢資料館の監修も入っているし、実際に読みやすかったので、一旦ここでは上記のものを紹介させていただきます。内容は基本的に同じ(当たり前)なので、どの出版社のものでもそこまで差はないです。絵柄を含めて“ジャケ買い”してください。

まとめ

7月3日以降、新1万円札の顔になるということで、興味関心を持ってくれる人は確実に増えるでしょう。その中から書籍の『論語と算盤』にまでたどりつき、その中の数%でもサステナビリティ経営に興味を持ってくれたらいいですね。

サステナビリティ経営とは、変わらないものと変えるべきものを見極めることもあります。100年前の話なので、現代ではさすがに役に立たない視点も実際ありますが、エッセンスという意味では学びしかない書籍です。

私の日々の支払い(個人も法人も)の9割以上はキャッシュレス決済で、飲み会の割り勘くらいしか現金は使わないため、新しい一万円札と出会えるのはいつになることやら…。家族と協力して近々ゲットしたいとは思います。

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