サステナビリティトレンド

サステナビリティトレンドを学ぶ

サステナビリティ・コンサルタントと名乗ってお仕事をさせていただいていると、よくいただく質問として「おすすめの情報収集方法を教えてください」もしくは「安藤さんはどうやって情報収集をしていますか」というものです。

サステナビリティ関連の話は、国内外で常に進展しており日々の情報収集がかかせません。しかし、ビジネス全体でいえばまだまだニッチな分野であり、専門メディアや雑誌、SNSはあまり多くありません。そのために、情報収集の仕方に課題を抱えるサステナビリティ推進担当者の方も多いようです。

サステナビリティトレンドを学べる情報収集方法は、2022年夏に出版した拙著『未来ビジネス図解 SX&SDGs』で公開しているのですが、執筆時(2022年春)から変化があったので今回最新情報に置き換えて改めて記事にまとめます。原則として「日本語・無料」のものをピックアップしています。すべてのサステナビリティ情報を網羅しているわけでもないのですが、毎日でなくてもよいので定期的にチェックすることを、強く、強くおすすめします!

1. X

安藤光展|@Mitsunobu3
・官公庁のXアカウント

15年以上、サステナビリティ情報をあらゆるツールで収集してきましたが、私が最も有効なツールとして感じているのは「X(Twitter)」です。多くのビジネスパーソンにとっては、情報発信ツールというよりも情報収集ツールとしての価値があるでしょう。サステナビリティ各分野の専門家もいるのでフォローしてもいいし、キーワードで検索して最新情報をピックアップしてもよいでしょう。

ただ、日本語アカウントで、自社関連情報以外のサステナビリティ情報を積極的に発信するものはほぼありません。では網羅的に最新情報をピックアップするにはということですが、手前味噌で恐縮ですが、私のXアカウントをフォローするだけで、最新情報から各種レポート、調査などを知ることができます。特にPRや運営にリソースをさいてはいませんが、フォロワーが徐々に伸びているので、それなりにフォローする価値を感じてもらえているのだとは思います。

あとは、一般的なニュースメディアや、官公庁(経済産業省、環境省、金融庁など)のアカウントをフォローするといいです。特に官公庁のサステナビリティに関する情報は、ガイドラインや事実上の対応義務化項目などに関する情報も多く、確実にチェックしておきましょう。

2. ブログ

・安藤光展|サステナビリティのその先へ(当ブログ)
水上武彦|水上武彦のサステナビリティ経営論

こちらも手前味噌で恐縮ですが「サステナビリティのその先へ」は当ブログです。2009年8月からスタートして2024年で15周年(丸15年)となります。日本で、独立系の専門家と言われた数多くの人がブログ書いてましたけど、もう皆無です。1つのテーマで15年間ブログを書き続けている人間は他のジャンルでも少ないのかもしれませんね。自分では他では描かれないテーマもわりと取り上げていると思っています。参考までにどうぞ。というかもう読んでますけど。

「水上武彦のサステナビリティ経営論」は、サステナビリティ・コンサルタントの水上さんの個人ブログです。以前、独立系のレポート制作会社に勤められてた時に会社のアカウントで個人ブログを書いてましたが退職で閉鎖、大手監査法人に転職されてから個人で所属する団体アカウントでまた書き始めて、その後に独立されながらも運営されています。実名顔出しの貴重な個人ブログです。サステナビリティ経営全般の話です。

3. ニュースサイト

ESGジャーナル
オルタナ
日経ESG
サステナブルブランドジャパン

サステナビリティ関連ウェブメディアを紹介します。最近は有料サイトも増えていて、予算のない企業での登録は難しいですが、上記を定期的にチェックするだけでもそれなりに最新情報をチェックできます。特にESGジャーナルは海外情報も多く、また更新頻度も高いのでお気に入りのメディアです。広告入れてもいいからぜひ継続してもらいたい…。オルタナは界隈では有名なメディアです。一部有料記事もありますがほとんどは無料で読めます。日経ESGは本誌との連動記事が多い印象。

4. 官公庁

経済産業省
環境省
金融庁

企業の監督官庁の最新情報もチェックしましょう。SNSでも情報発信していますが、サイトでもあらためて月に1回は気になるレポートや研究会の資料をチェックしましょう。なお官公庁ではありませんが「日本取引所グループ|JPX ESG Knowledge Hub」もサステナビリティ関連の情報がよくまとまっています。更新頻度は少ないですが対応義務化の話もあるので定期的にチェックしましょう。JPXでは「JPX ESG LINK」という、全上場企業のニュースリリースまとめサイトも運営しており、企業動向チェックにすごく役に立つので、こちらも合わせてチェックしましょう。

5. 監査法人/シンクタンク

最近の大手監査法人や大手シンクタンクでは、サステナビリティ関連の調査レポートや論文を定期的に発表しています。レポートの品質も非常に高く、これが無料で公開されているのは非常にありがたいです。大手監査法人はKPMG、PwC、EY、デロイトトーマツ、およびそれらの関連会社から、毎日のようにサステナビリティに関するレポート等が発表されています。国内の銀行系シンクタンクなども良質なサステナビリティ関連レポートを出してます。

シンクタンクでは「宝印刷D&IR研究所|調査研究報告」などがオススメです。研究員による調査レポートや外部有識者による寄稿などのコンテンツもあります。こちらのコンテンツには私が何度か記事寄稿をさせていただいています。

6. コミュニティ

サステナブル・コミュニティ

550名を超える登録者がいる、無料で参加できる国内最大級のサステナビリティ関連コミュニティ「サステナブル・コミュニティ」です。同名の社団法人が運営しており、私も理事として参加しています。オンラインでのコミュニケーションが中心となっていますが、オンライン/オフライン問わずさまざまなネットワーキングイベントや勉強会が定的に行われています。完全なビジネスライクなものではなく、ややカジュアルな場となっています。

私もそうですが「本音」とか「真実」とか、SNSでは発言しにくいこともあり、セミクローズドな勉強会だからこそ聞ける話が多いものです。要は、本当に役にたつ情報はメディアではなく人が持っている、ということです。ですので前述のメディア等で最新情報を確認しつつも、人を経由してより良質な情報を取得するとよいでしょう。年間数十万円の予算が取れるなら、ビジネスライクなコミュニティはたくさんあるので、そちらを検討してもよいでしょう。

7. セミナー

2020年以降、オンラインでの無料セミナーがものすごく増えました。今までのサステナビリティ関連セミナーは首都圏等での対面型がメインだったので、地方の企業はアクセスしにくかったですが、無料のオンラインセミナーは日本のどこからでも参加できるので便利ですよね。

もちろん、有料のセミナーのほうが質が高い傾向にありますが、情報収集という意味では、無料セミナーでも十分な場合が多いです。無料セミナーは、サステナビリティ・コンサルティング事業をする企業が主催する場合がほとんどなので、参加者は企業のサステナビリティ推進担当者等が主な対象となります。

8. 参考:書籍

無料ではないですが、書籍も重要な情報源です。書籍は通常、1つのテーマに対して著者となる専門家が類書や論文を何十冊も読み、情報をまとめながら編集者などの第三者が調整したコンテンツであり、優良な情報がまとまって掲載されています。

ニュースサイトやブログは最新情報はあるものの、それぞれのページで単独で存在しており、1テーマを深掘りするには閲覧が不便だったりします。また編集・校正が入っていない場合も多いので、品質に課題がある場合もあります(当ブログもですね…誤字脱字すみません)。ですので、書籍とうまく区分できると、より有効な情報収集となりそうです。特に初学者はいきなりセミナー等に参加したり、初手からコンサルティング発注をしてもついていけないこともあるので、まずは書籍から入るとスムーズに展開できる場合も多いでしょう。

まとめ

このブログでも何度も書いていますが「正しい知識がなければ、正しい意思決定はできない」です。正しい情報収集は競合に勝つ武器にもなります。特に、ルールが常に変わるサステナビリティ界隈では、ある程度タイムリーな情報収集も必要です。

最近は、サステナビリティ界隈でも優良な情報を得ようとすると有料のサイトやサービスが必要になることもありますが、まだまだ無料でも質の高い情報を取得することもできます。今回まとめた、特にウェブサイトなどはブックマークして損はないのでチェックしてみてください。これらを定期チェックするだけで相当キャッチアップできることは保証します。

情報発信するアカウントも定期的に入れ替わっているので、またタイミングをみて定期更新していきたいと思います。それでは良い情報収集を!

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