持続可能な調達
今回の読書メモは「ESG投資時代の持続可能な調達」(冨田秀実、日経BP社)です。きました。2018年ベストオブCSR調達本。発売週に買って読んでしまいました。
ISO20400やISO26000にも関わってきた著者だからこその解説は非常にわかりやすいです。一部専門用語が連発される部分もありますが、基本的には初級者にも大枠は理解できるでしょう。
最近のCSR/ESG評価では、サプライチェーンマネジメントに関わる項目がたくさん入っています。リスク認識とその対応がCSRの本丸であると言わんばかりです。SDGsに関しても、具体的なオペレーションの多くはサプライチェーンマネジメントだったりしますよね。
原材料や部品などの調達先であるサプライヤーが、森林破壊などの環境問題や児童労働などの労働問題を起こしていたとしたらどうなるか。買い手企業は、「それは社外の問題だから当社に責任はない」などという言い訳はもう通用しなくなっている。CSRでいう「加担」などの概念です。これを頭ではわかっているけど実際にどうしたらいいか悩んでいる人多いと思います。本書はそのヒントになります。
ちなみにタイトルにESG投資と入ってますが、すべてが投資家目線という話ではなく、CSR/サステナビリティ担当者でも非常に勉強になると思います。大学の先生のCSR/ESG関係の書籍は毎年、ボチボチ出版されているのですが、現場よりの話の書籍は意外に少ないので、とても勉強になります。
個人的に副題の「市場価値はサプライヤーとの付き合い方で決まる」はグッときました。企業サイドが「価値向上」というワードを使うとき、すごく恣意的な感じがしますが、自社だけの価値と勘違いして発言している人が多いんですよね。CSRでいえば、企業は単独で存在しているのではなく、サプライチェーンがビジネスの最小単位として存在しています。その“常識”を知っていれば、事の重大さはご理解いただけると思うのですがなかなか…。まぁ、何にしても、最新のサプライチェーンマネジメントを知るためにも本書を購入することをお勧めします。ちゃんと読めれば、コンサルいらなくなっちゃうかもよ。
CSR調達の担当者だけではなく、大手企業で一通りCSR活動をしてきて次の一歩を考えている担当者、製造業のCSR担当者などは読んだ方がいいと感じました。知らない、では済まない世界を理解することができるでしょう。
ESG投資時代の持続可能な調達
「なぜ今、持続可能な調達なのか」「具体的にどう実践すればいいのか」「世界のグローバル企業はどうしているのか」──。本書は、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が広がる現代において重要性を増す「持続可能な調達」について、その意義から具体的な実践方法まで分かりやすく解説する。