CSRマーケティングという視点

先日、後発だからこそできることは? 「い・ろ・は・す」ヒットの秘密という、
CSRマーケティングの現場の記事を読んで思う所がありメモ。

いろはすの場合は、まさにCSRマーケティングという点で興味深いです。
CSRマーケティング的というのは、
企業としてCSRのミッションから導きだされたビジネスではなく、
プロダクトアウト型、つまり、商品開発や商品企画がすでに決まっていて、
(この場合、「ミネラルウォーター」を作ると決まっていた点)
そこから販売マーケティングがスタートした点です。

大抵の場合、またCSR界隈(?)では、プロダクトアウト型は発展しないと言われてます。
商品がそもそもあって、「何かCSR的なマーケティングできないかな?」レベルでは到底、
CSRミッションを達成できないことが多いからです。

プロダクトアウト型は、企業が販売活動を行う上で、
企業側の都合(感性・思い入れ、技術など)を優先するやり方。
現代には合わない“作ってから売り方を考える方法”とも言えます。

では、なぜ、成功したのか。ちょっと考えてみましょう。

いろはす

発売1年前の平成20年5月、研究開発、製造、営業部門などから約30人を集め、チームを立ち上げた。ヒットにつながる商品開発の糸口を探ろうと、市場分析を行ったたところ、ある興味深い調査結果が出た。それは、「ミネラルウオーターをよく飲む人に、環境活動への興味を持っている人が多い」ということだった。
(日本コカ・コーラのマーケティング本部バイスプレジデントの福江氏)

やっぱり、リサーチは重要です。

経営思想家のドラッカーは「市場を創造せよ」と言いますが、
まったくニーズのない所にマーケティングはできません。

商品の包装(今回で言えばペットボトル)がエコだからと言って、
それだけ売れる理由にはなりませんよね。

エビデンス(科学的根拠)も重要だけど、一番は、
「エコを体験できるか」をどのように表現するかが重要だと思います。

みんな社会貢献に興味津々!CSR・社会貢献関連の意識調査まとめ
東日本大震災から2年で変わった、社会へのつながりと消費意識調査5選

“わかりやすく”とは何か

開発がスタートして約半年後、全国の清涼飲料の卸業者を集めた発表会を開き、新商品のミネラルウオーターを披露した。発表会前日の夜、開発リーダーの福江さんは、ボトルをタオルのように“絞る”潰し方を何度も練習した。発表会の壇上で、空のペットボトルを手で軽く絞ってみせると、会場からは大きな歓声が上がった。期待以上の反応だった。 「絞るという行為で、“エコ”を視覚化することに成功した。ようやく自信が持てた」。福江さんはヒットを実感した。

現在(2013年6月)、エコをうたうペットボトルは増えているように思います。
しかし当時は、少なくともなかった。それが差別化要因の一つなのかもしれません。

あとは、「わかりやすい」というのはコミュニケーションにおいて非常に重要ですよね。
エコ、ロハス、エシカル、何か”ソーシャルなこと”は結果がわかりにくいものが多いです。

社会的に意義があっても、わかりやすくないと伝わらない。
このわかりやすくというのが、かなり難しい。


【い・ろ・は・す】「植物生まれのプラントボトル」篇

例えば、上記のムービーに「植物生まれはおかしい」という“グリーンウォッシュ”の指摘があったそうです。
理由は、植物由来の成分が半分にも満たないにも関わらず、
植物由来の成分が大多数を占めるようなクリエイティブだったからということです。

世界は曖昧で溢れている?環境ラベル虚飾“グリーンウォッシュ”を解決する2つの方法

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「わかりやすさ」を表現できたのはとても素晴らしいと思います。
現状、他のメーカーはそれができていないようにも思います。

グリーンウォッシュのクリエイティブの問題もありましたが、
コカコーラさんは、デジタル・マーケティングやCSRコンテンツが充実している、
素晴らしい、CSRコミュニケーション実践企業の一つです。

「わかりやすさ」というヒントを、ぜひ、
あなたの会社のCSRコミュニケーションでも実践してみてはいかがでしょうか。

コカコーラの参照記事
世界の女性をエンパワーメントするCSRプログラム!コカコーラ「5by20」
善意のいたずらでハッピーになれる?コカコーラのCSR系ムービー「Crazy for Good」
コカコーラのCSRコンテンツが“メディア化”しとる!CSRコンテンツの未来考察