統合報告書15事例
世の中のニーズやトレンドを知るには、「検索数の多さ」を見ると簡単に大枠を知ることが出来ます。
というわけで今回は、2014年に大いに盛り上がった「統合報告書」発行企業の上位検索ランク企業をご紹介します。調査方法はGoogleのキーワードツールやサジェスト機能を使ったまとめです。「企業名 統合報告書」というワーディングです。最近は「企業名 統合レポート」も増えています。
ピックアップした企業の統合報告書は、統合報告書制作プロジェクトにいくつか関わっているのですが、その事例(ベンチマーク)としても時々紹介されています。統合報告制作のプロ?から見てもよい出来であるということなのかもしれません。さすが検索されるだけある。
追記:2017年6月
・IR界隈でCSR/ESGが注目され始めている件
・統合報告の現在地とは!? 宝印刷「統合報告書発行企業調査」(2016)
統合報告書発行企業15事例
・ローソン http://www.lawson.co.jp/company/ir/library/annual_report.html
・オムロン http://www.omron.co.jp/about/csr/pdf_inquiry/
・TOTO http://www.toto.co.jp/company/profile/library/
・リコー http://www.ricoh.com/ja/ecology/report/
・日本郵船 http://www.nyk.com/csr/report/
・武田薬品工業 http://www.takeda.co.jp/investor-information/annual/
・三菱商事 http://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/library/ar/
・昭和電機 http://www.showadenki.co.jp/news/report2014.pdf(PDF)
・資生堂 http://www.shiseidogroup.jp/ir/library/annual/
・ソニー http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/
・トヨタ http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/report/
・日東電工 http://www.nitto.com/jp/ja/about_us/sustainability/report/
・ファミリーマート http://www.family.co.jp/company/eco/annual_report/tool_download.html
・三菱重工 http://www.mhi.co.jp/csr/index.html
・エーザイ http://www.eisai.co.jp/ir/annual/index.html
企業ごとの統合報告書の特徴
厳密にいうと「なんちゃって統合報告書」も世の中には多かったりするわけですが、検索されている、つまり何かの情報を得て能動的に情報収集されている企業なだけあって、クオリティはさすが、といった所です。
昭和電機と武田薬品工業はパイロットプログラム(初期段階)から作っていたはず。スタートが早かった企業が結果的に検索流入が多い、ということもあるかもしれません。ソニーは今までアニュアルレポート(統合報告書)だったけど、2014年はCSR報告とIR情報を再度分割し、ウェブ中心の開示にしたようです。
トヨタは「統合報告書」で検索数は多いものの、統合報告書出してない……?ちなみに「サスティナビリティ・レポート2014」は、24MBの154ページの特大ボリュームで、全部に目を通すのが大変でした。かといって、分割されたレポートは逆に網羅性というか情報の連動がよくわからず…。
実は、各社とも呼び方が「コーポレート・レポート」、「アニュアルレポート」など異なっており、また、ダウンロードできるページも「IRコンテンツ」だったり「CSRコンテンツ」だったり、置き場所もバラバラ。
全体としては、投資家向けということもあり、IRコンテンツに置いてあるパターンが多いですね。できれば統合報告書は、IRとCSRと両方のコンテンツにリンクだけでいいから貼ってほしいものです。
いくつかの会社は「統合報告書(アニュアルレポート)」と「CSRレポート」を分けて発行しています。何が正しいか、というのはありませんが、CSR情報を誰にどういう形で提供するかという「ツール・マップ」があると、読者がどの冊子(PDF)を見ればいいかわかりやすいかと思います。
つーか、それぐらい作ってよ…。ユーザビリティ無視するのやめて…。担当制作会社の人は第三者としてアドバイスしなよ…。と愚痴ってみたり。ツールマップという形でなくてもいいですけど、誰に何を読んで欲しいのか考えて、ウェブサイトのコンテンツ・レイアウトを考えて行きましょう。
統合報告の全体感
この15社は、CSR関連の色々な賞・アワード・インデックスなどに入っていたり、各種CSRランキングのトップランカーだったりもします。ですので関係者の方は「あ〜、確かに〜!」という感じでしょう。
統合報告は2014年で100数十社程度発行したと言われていますし、2015年の統合報告書発行は200〜250社くらいになりそうですね。そうなると検索数のトータルも増えるだろうし、来年のランキング上位は一気に入れ替わる可能性もあります。楽しみですね。
しかしながら、僕は、統合報告書は、広がるのも早く頭打ちも早いのではと考えています。
CSR報告書が日本で千数百社しか発行していないと言われる現状を見れば、全社がCSR報告書を統合報告書にリプレースするとは考えにくいし、興味がない(予算やリソースがない)企業も含めれば、2020年ごろに500社程度が発行して頭打ちになる、と見るのが妥当なラインかと。
あと、最近議論に上がってきているのが「統合報告書を株主・投資家は歓迎しているのか?」というもの。統合報告書って本当に投資家に読まれてますか?統合報告をするようになって本当に株価は上がってますか?と。海外のCSR系インデックスも同じで、入っても入らなくても対して影響変わらなくないですか?
上記の議論・疑問はあるものの、これから普及していく仕組みだし、定性的な調査をして見てくしかないのかもしれません。
まとめ
というわけで、統合報告書に興味がある方は、少なくとも上記の15社の事例はダウンロードしてチェックしておきましょう。ベンチマークとして最高の教科書になると思います。
逆に、上記15社のCSR担当者の方。色々な人に見られてますよ。追われる立場は大変でしょうけど、CSR系インデックスやCSRランキング順位を下げないためにも、より適切な情報開示をしていきましょう!
統合報告の考え方や事例に関しては、以下の記事にもまとめていますので、ご参考までに。
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