CSR活動の定義と意義
あなたは、CSRとはどんな意味・定義で、日本語になっているか知っていますか?
本記事は、CSRの定義について色々な事例と記事をまとめてみます。欧州委員会、ISO26000、グローバルコンパクト、経産省、経団連などはCSRをどう定義しているのか。
また、最新のCSR動向と考え方を学べるような記事もピックアップしています。各団体の定義を確認し、自社のCSR定義をブラッシュアップしていただければと思います。社内でCSRの意味を共有できるのは強いと思いますよ。
ちなみに、結論からいうと「信頼される企業になる」というのがポイントになりそうです。
(更新:2015年12月)
それぞれのCSRの定義
欧州委員会(EU)
企業が自らの事業活動により環境や社会に及ぼす影響への責任
2001年「企業が社会および環境についての問題意識を、自主的に自社の経営およびステークホルダーとの関係構築に組み入れること」→2011年「企業の社会への影響に対する責任」と変更されています。
欧州委員会の世界のCSRの定義がスタンダードとも言われています。
CSRは、“企業が社会に与える影響に責任を持つこと”と再定義され、環境、社会、経済へのマイナス影響を最小化し、良い影響を最大化するものとしています。つまりCSR=「企業が自らの事業活動により環境や社会に及ぼす影響への責任」というわけです。
ISO26000
事業活動が社会・環境に及ぼす影響に対して、透明かつ倫理的な行動を通じて組織が担う責任。持続可能な発展と、ステークホルダーの期待に対する配慮があり、関連法令を順守し国際行動規範と整合しており、企業全体に統合されその組織の関係性の中で実践されるもの。
書籍(日本語)から抜粋しまとめました。アメリカもヨーロッパの定義も一応、ISO26000の定義となるんでしょうね。
参照:ISO/SR国内委員会
グローバルコンパクト
企業が影響の及ぶ範囲内で「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」の分野における一連の本質的な価値観を容認し、支持し、実行に移すことを求めています。
規定範囲が狭いとは言えますが、グローバルコンパクトの10原則は、その他のCSR関連国際ガイドラインでも含まれる、非常に重要なものです。
経済産業省
CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)とは、企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指します。
僕はCSRは「信頼される企業になるため」にするとセミナー等で毎回言っています。経産省の定義みると、「信頼を得るための企業のあり方」としていてビビった。同じ考えやん。
日本経済団体連合会(経団連)
企業は、これまで以上に消費者の安全確保や環境に配慮した活動に取り組むなど、株主・投資家、消費者、取引先、従業員、地域社会をはじめとする企業を取り巻く幅広いステークホルダーとの対話を通じて、その期待に応え、信頼を得るよう努めるべきである。
あー、経団連も「期待に応え、信頼を得るよう努めるべき」としているんですね。改めて確認すると、色々学びがありますね。
参照:企業行動憲章
CSRの定義を再考するための10記事
・企業価値を向上させるためのCSR情報開示の記事10選(2015)
・CSR項目も含む日経・総合企業ランキング「NICES(ナイセス)」(2015)
・ステークホルダーエンゲージメントにおけるKPI設定とコミュニケーションのあり方
・企業価値向上とCSRの、相関関係と因果関係からKPIを考える
・働く女性の本音!? キャリアと社会貢献意識調査5選(2015)
・挑戦のマインドがなくなった日本企業のCSRとは–コストとリスクの天秤
まとめ
改めて振り返ると、CSRの定義とか考え方って本当に国・派閥・学派の色が出ますよね。善くも悪くも自分たちが正義みたいな解釈にも見えます。
「信頼を得るため」というCSRの意義は世界共通ですが、日本の団体はこういう表現をよくしますし、CSRにおいて大きな指標になるんでしょうね。
僕はCSRコンサルタントとして、CSRの社会的インパクト拡大が重要だと思っていますが、それもこれも「信頼される企業になるため」ですよね。というわけで、今一度、各団体の定義を確認し、自社のCSR定義をブラッシュアップしていただければと思います。