CSR株価

CSR活動と株価の関係

GPIFのPRI署名によって、色々な人がザワザワしている最近ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

100兆円を超える運用資金の1%がESG投資に流れてくるだけで1兆数千億円ですから、CSRの情報開示を積極的に行ない、積極的な投資マネーを引っ張ってきたいという気持ちはわかります。

以前から、一部ではCSR経営は株価の向上につながるというレポートがあったりなかったりしていたものの、GPIFの動きによって、それがかなり現実的なものになってきました。

というわけで本記事では、専門家の方々のオピニオンをまとめたいと思います。

CSRで株価は上がるのか?

ESG投資の盛り上がり

企業経営者も、本心では社会に喜ばれる環境に配慮した商品を扱い、女性活躍に熱心でワークライフバランスのとれた職場をつくり、従業員への倫理・コンプライアンス教育も徹底する、いわばCSR経営が望ましいと考えても、投資家からの利益成長を求めるプレッシャーが大きければ、なかなか力を入れにくい。

オーナー社長ならまだしも、何代目かの雇われ社長の場合は、求められるものは“企業の成長”でしょう。短期的に成長につながらないCSRは積極的に取り組みにくいのでしょうね。とはいえ、そもそもCSR活動“だけ”で株価が上がるわけじゃないんですけどね…。

いわゆる寄付や社員ボランティアなどの社会貢献活動をはじめ、社会に良いことなら何でも投資家が求めているわけではないということだ。投資家は、一見、売り上げに直結しない活動にみえても、広い意味での企業価値に結び付く経営戦略的な取り組みを求めている。

寄付が企業価値向上につながるのであればどんどんしていけばいいのですが、サンクコストになることもよくあるため難しい判断です。そのため「統合報告書」へのニーズが増えているのでしょうけど、結局、CSR活動の評価システム(効果測定)が確立されないと、議論だけで、先に進めない気がします。

引用:ESG投資の時代がやって来る~サステナブル化に向けた金融の地殻変動

投資家向けのメッセージ

経営者がESGに関連してどのようなメッセージを出しているのか、特に、投資家に向けた説明においてどのような言葉を選択して、企業の社会的責任やステークホルダーへの配慮に関する方針やコミットメントを表現しているのか、に着目している。
投資家向け経営者メッセージを読む

株価を上げるには、株を買ってもらわないといけません。で、今まで企業は投資家に対しESG情報の積極的開示やメッセージを送っていませんでした。もしくは“送っていた”と勘違いしていました。

これまでESG情報に関心を示していなかった投資家に振り向いてもらうには、それなりの強いトップメッセージが必要です。統合報告でもCSR報告でも今まで以上にトップメッセージが重要になってきそうですね。

ESG投資データベース

ESG投資の拡大は、ESG投資に向けたデータベースを拡充し、日本におけるESG投資のパフォーマンスについての実証研究を積み重ねることがカギとなろう。実証研究の蓄積によりESG要因を用いた企業評価の手法を確立し、ファンドの運用手法やパフォーマンスなどの合理的な説明を可能とすることがESG投資の拡大につながるのではなかろうか。
ESG投資は、何を目指すのか GPIFのPRI署名で期待される日本のESG投資の拡大と課題

企業情報データベースを手がける所は、すでに色々な情報を集めてますよね。今後、日本でも少なからずニーズが出てくるため、こういったデータ事業も盛り上がっていくんですかね。企業より先にESG調査会社の株が上がったりして。

ESG投資はすべきではない?

ESG投資の運用ルールとしては、仮にVWの株価が不祥事の影響を十分織り込んだ水準のはるか下にまで下落したとしても、同社の株式を買う事ができない。運用のあり方として、これはかなり不自由・不都合な制約だ。
ESG投資は、運用として最高の効率をなにがしか捨てて、投資資金による社会的影響力の行使を意図するものだが、これは百歩譲って自分のお金でやるならいいとしても、他人のお金をこのような方法で扱うことには問題がある。
公的年金、「必ず劣る」ESG投資を強いる安倍政権の「ベンチのアホさ」

ESG投資に対してネガティブな意見ももちろんあります。ESG投資は、投資として非効率だという意見です。僕はこの方の話ももっともだと思うし、どこの側面を投資判断とするかは人それぞれですね。勉強になります。

投資パフォーマンスの原則

根本的なことを確認しておきますが、「志の高潔さ」が投資のパフォーマンスに影響することはまったくありません。
これは志の高い人ほどなぜか忘れてしまう落とし穴で、「投資を通じて社会をよくしたい」と考えるあまり、よい会社に投資をする自分のパフォーマンスが劣後するはずがないとついつい考えてしまうというトラップに陥りがちです。
投資において「いい人」ほどうまくいかない理由 ~マネーハック心理学

この方も社会的インパクトを分けて考えています。投資リターンとパフォーマンスを考えれば、ESGは最優先の判断基準にはならないと。

関連記事

企業の環境戦略と、投資家の環境投資に関わるニュース7選
非財務情報開示がもたらす投資家へインパクトと現状
社員が健康だと、企業も健康になれるのか!? 経産省・東証「健康経営銘柄」(2015)
ESG/SRI投資動向と市場規模–2014年は21.5兆ドル(2015)
SRI投資の現状と社会貢献型株主優待

まとめ

ESG投資が世界ではメインストリームながら、日本では様々な議論を進めながらゆっくり浸透していくんでしょうね。

CSRで株価は上がるか?あなたはどう思いますか?