環境投資戦略
サスティナブル投資(CSR/ESG/SRI投資)って、さすがに聞いたことありますよね?
簡単に言えば、CSR活動や情報開示が進んでいる会社に投資をするぜ!って話です。
もう何年も前から「日本にもこの流れがくる!」と“クルクル詐欺”にあっていた方には朗報ですが、本当にトレンドになってきそうな気配がしますよ。
というわけで、本記事では、特に環境関連のサスティナブル投資ニュースをまとめます。
投資家の環境投資に関わるニュース7選
GPIFのPRI署名
なおこの署名はGPIFの運用を変えるだけではない。GPIFは運用受託機関に対してPRI署名とその活動について報告を求め、署名していない場合はその理由を求めるとしている。
つまりGPIFの運用受託機関は、正当な理由が無い限りPRIに署名しESG投資を手掛けざるを得ない。更にGPIFは他の公的年金や企業年金のベンチマークでもある。同様の動きは他の年金基金にも早晩広がると予想され、ESG調査がどの運用機関でも標準装備になる日も近いはずだ。
ESG投資の世界シェアが1%にも満たない日本では実感できないが、GPIFによるPRI署名が世界にもたらす波及効果は計り知れない。安倍首相は9月27日NYの国連サミットのスピーチの中で、貧困撲滅や気候変動問題への積極的関与とともにGPIFがPRIに署名し、そしてそれが持続可能な開発の実現に貢献する、と表明した。
GPIFの国連責任投資原則(PRI)署名のインパクト
大和総研・河口さんの記事ですが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のPRI署名のニュースは、CSR界隈では大ニュースでしたね。投資サイドにはあまり詳しくなくても、このニュースのインパクトには驚きを隠せません。
ノルウェー政府の投資引き揚げ
2015年5月28日、ノルウェー国会のトップページにおいて、「ノルウェー政府年金基金―グローバル(GPFG)」の運用を巡って、石炭関連企業への投資からの撤退を与野党含め全会一致で決定したことが発表されました。
GPFGの管理運営に関する財務省からの国会報告の中で、温室効果ガス排出に関係の深い企業からの投資の引き揚げに向けた基準作りを行う旨が報告されたことを受けて、国会がその大枠についてゴーサインを出したことを意味しています。
過熱化する「脱石炭投資」
ノルウェーではこんなことがあったそうです。政府に言われたら、企業はとりあえず従うしかないですね。こういう事例がノルウェーだけではなく、もし世界中に広がってきたら…。石炭火力発電や石炭採掘に関係する事業をしている企業は、大変っすね…。
報告書『隠された石炭支援』
地球温暖化を引き起こす化石燃料で、最もCO2(二酸化炭素)排出量の多い石炭。しかし、過去8年の間に、世界では約730億ドル(約8兆円)ものお金が、石炭に使われてきました。中でも、その支援に200億ドルを投じているのが日本です。WWFは2015年6月、石炭産業を支援する国々と国際機関が、いかにしてその巨額支援を隠しているかを追求した報告書『隠された石炭支援』を発表。
地球温暖化を促進する石炭支援の現状:報告書『隠された石炭支援』を発表
WWFの報告書の話です。また記事では『世界銀行、欧州投資銀行といった国際機関や、アメリカ、北欧諸国、イギリスなどが、海外の石炭への支援を段階的に停止し、「脱石炭」へ向けた動きを見せ始める一方で、いまだに石炭事業に多額の資金を投じ続ける国もあります。』としており、今後も環境系NGOはこういう所にツッコミを入れてくるんでしょうね。
投資におけるカーボンリスク
欧米の機関投資家の間で、気候変動問題に関する動きが拡大している。背景には、気候変動対策が投資先企業の業績に影響を与えるリスク(カーボン・リスク)の認識がある。カーボン・プライシングの導入に伴い、温室効果ガス排出量は企業にとっては事業リスクに、機関投資家にとっては投資判断のファクターになりつつある。
「2050年までに2010年比で40~70%削減」という大幅な温室効果ガス排出削減が求められるなかでは、特にカーボン・リスクが高いセクターにおける排出量の算定・開示は、リスク評価の観点から極めて重要である。適切なカーボン・リスク評価のために、温室効果ガス排出量の開示のグローバルな進展が期待される。
温室効果ガスに関する投資家動向と開示状況
こういう投資ファクターの話を聞くと、そもそもESGの情報開示を行なっていない日本の上場会社とかどうなるんでしょうね。「日本のマーケットは欧米ほどではないから、一旦放置」な企業が多いと思いますが、結局数年後に痛い目に合う気がしてなりません。
CO2排出とROEの関係性
2013年度の売上高当たりCO2排出量とROEの関係を調べると、ほとんどの企業で2013年度が該当する1期前実績ROEが上場企業全体では6.0%であったのに対し、売上高当たりCO2排出量が小さいグループは8.8%、大きいグループは5.9%となった。また、実績ROEや予想ROEも売上高当たりCO2排出量が小さいグループの方が高い。
COP21に向けて、「日本の約束草案要綱(案)」で温室効果ガス排出量の削減目標が示され、企業もさまざまな対策・施策を実施することになろう。今後、環境効率性の向上を視野に入れながら温室効果ガスの排出削減を進めることで、経済成長と環境保護を両立させる「グリーン経済」の実現に寄与することが期待される。
CO2排出量の動向と企業パフォーマンス
こういう「CO2排出 × ROE」みたいな調査レポート増え始めてますよね。女性活用とかも欧米では投資に対してプラスに働くことが多いようだけど、“結局日本ってとりあえず欧米の後追いだよね”的な観点からすれば、今後も関連項目のレポートは増えていくんでしょう。興味深いです。
情報開示を求めるプレッシャー
日本でも今年2月、日本版スチュワードシップ・コードが制定された。これを受け入れる機関投資家は100を超える。「機関投資家は投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである」という文言が掲げられている。把握する内容には投資先企業のガバナンス、企業戦略、業績、資本構造、社会・環境問題に関連するリスクへの対応などが挙げられている。日本も「炭素資産リスク」を評価する動きは避けられなくなりそうだ。
日経新聞によれば、脱石炭の動きがあるとのこと。これは以前から言われているところであり、特に不思議な話ではありません。ただしそれらは世界での話題であり、日本の一般誌が取り上げるほどではなかった現実もあります。
米国では企業が投資家に事業リスクを開示する際、温暖化の影響や気候変動を抑制する取り組みを考慮する必要があるとの指針を10年1月、証券取引委員会が公表した。国際協定や温暖化ガス排出関連の影響、海面上昇による沿岸地域の保険金支払い請求の増加などを列挙し、開示が必要になる場合を示した。
証券取引所がESGに関する情報開示を求めるというのはトレンドなんですかね?世界中の証券取引所で同様の話を聞きますので、2020年ごろまでには日本の証券取引所でもこういう話が出てくるのかしら。どうなんでしょうか。
まとめ
リスクマネジメントとしても、戦略的な環境対策が企業に求められています。
実際、環境対策したからといって、本当に気候変動の変数が落ち着くとか、実際の結果につながるのかはわかりませんが、少なからず負荷を減らすことはコスト削減につながることも大きいため、企業は積極的に取り組むべきでしょうね。
環境配慮企業の株価が上がり、成果につながると実感できた企業から、より積極的に投資するようになる。そんな社会、ステキやん。
関連記事
・国の環境戦略と、企業からみる環境問題対策8事例
・CSRマネジメントにおけるレピュテーションリスクと環境リスク
・消費者視点の評価基準となるランキング、日経BP社「環境ブランド調査」(2015)
・企業の環境経営とCSR活動の実態2事例
・環境経営の必ず役に立つ12の事例と調査データ