CSR環境経営

企業の環境経営とCSR活動の実態

気候変動、異常気象などのグローバル・リスクに関心はあるものの、企業の環境活動意識は、そこまで熟成されていない気がします。

ただ、世界のトップ企業は、エコとか省エネというカジュアルなワードではなく、ガチな社会的インパクトを出せる取組みを徐々に始めています。

ということで本記事では、環境省の企業の環境活動(環境経営)調査データ、クールビズ、世界トップレベルの事例などの環境経営の最新動向をまとめます。

環境にやさしい企業行動調査

平成25年度 環境にやさしい企業行動調査 調査結果

環境省の「環境にやさしい企業行動調査」(2015年発表)によれば、回答企業の79.4%が環境活動は「企業の社会的責任としてやっている」というデータがありました。「重要な戦略である」や「ビジネスチャンスである」といった回答は1割程度です。能動的な対応ではなく、受動的な“社会貢献”としてやっている、ということなんでしょうね。

また「環境課題に対応する上で重視する事項」に対する質問項目では、「戦略的対応」(65.3%)がトップ、続いて「ステークホルダーへの対応」(54.4%)、「組織体制とガバナンス強化」(45.9%)となっています。

年々、「言われてるからやっている」から「やるからには戦略的に取り組む」という姿勢に移行してきているようにも感じます。

企業の環境関連部門やCSR部門の方はぜひ詳細をチェックしてみてください。

クールビズの取組み

クールビズとは、夏期に過ごしやすい服装で仕事をするという衣料軽装化のキャンペーンです。環境省が中心に啓蒙活動を行い、2005年に当時の総理大臣・小泉氏によって提唱されました。名称は一般応募によって決まり、同年、流行語大賞にもノミネートされています。

環境省(2006)や内閣府(2007)の認知度調査でも9割を越える割合となっており、現在ではほぼ100%に近いのではないかと思います。(実践できているかは別として)

クールビズの実践が、直接的な環境活動といえるかは微妙ですが、その副次的効果としての、働きやすさ向上、省エネ、従業員の環境意識向上などがメインの効果かと思われます。

しかしながら、営業職の方は先方のドレスコードに合わせるのがセオリーであり、特にBtoB企業の新規営業の場合はスーパークールビズだからといって、「ノーネクタイ・ノージャケット・半袖ポロシャツ」とはいかないでしょう。政府がリーダーシップを取り“本気のトップダウン”をしなければ、元々の口実であったはずの「環境配慮にむけた省エネ対策」の社会的インパクトは見込めないでしょう。

ただ、環境経営という視点からみれば予算もかけずに取り組め、エネルギーコスト削減も可能な取組みであるため実施・推奨しない手はないと思われます。また、地方と首都圏での実行率の差も考慮する必要があるのかも。

クールビズに関しては、先日まとめた『クールビズを利用しCSRの社内啓発をしよう』もあわせてお読みいただければと思います。

参考:気候変動キャンペーン「Fun to Share」|環境省

環境経営事例:アップル

アースデイの取組み

アースデーを迎え、東京と大阪にあるアップル直営店「Apple Store」の店舗には、大きなアピールポイントでもあるおなじみのリンゴの葉が緑に染められた。同時に、アップルは環境配慮に関する情報を提供するためのウェブサイトとムービーを公開し、同社の取り組みを紹介している。世界最大のデジタル機器メーカーとして、これらの課題にどのように取り組んでいるのかを明らかにし、ユーザーである我々がどの様な基準で製品を選ぶべきか、という新しい尺度を作り出そうとしている。
アップルが緑色に!「環境経営」の本気度

4月22日のアースデイの時のアクションです。昨年の2014年4月22日のアースデイも同様の取組みがされました。これは日本だけの取組みではなく、世界の直営店のAppleストアで行なわれています。

また昨年は新聞の一面広告でも、アースデイの日にAppleの取組みが紹介されていました。キャッチコピーは「すべての企業に真似してほしいアイデアがあります。」です。ブラックジョークみたいですが、それなりの自信があってのこと。素晴らしいですよね。

参考:Apple|環境(日本語)

森林の購入

米Appleは5月11日(現地時間)、中国における再生可能エネルギーおよび環境保護に関するイニシアチブの拡大を発表した。同社は3週間前、中国西南部、四川省の紅原県にソーラーファーム(太陽光発電所)を建設中であることを発表している。この発電所では、中国にあるすべての自社施設とApple Storeが消費するエネルギーよりも多い量の再生可能エネルギーを生み出すとしている。
Apple、中国での環境保護の取り組みを発表──100万エーカーの森林を保護

先月の発表ですが、Appleは世界中で森林を保護目的で買っています。森林の購入からソーラーファーム(太陽光発電エリア)建設など、本業とはまったく別領域での社会貢献的な環境配慮施策のように見えますが、CSR経営の視点からいうと、現地で活動する環境系NGOと協業することで、ステークホルダーエンゲージメント(利害関係者の対話)としてリスクヘッジをしているのです。

後々、莫大な費用の環境訴訟をされるより、先手を打ってソーシャルセクターやパブリックセクターと良好な関係を築いていく。まさに戦略的CSRです。

環境経営事例:イケア

スウェーデンの家具大手イケアは4日、再生エネルギーの導入と貧困国の気候変動対策の支援に10億ユーロ(11億3000万ドル)を投じると発表した。地球温暖化の進行を遅らせる各国政府の努力のお株を奪うような企業の取り組みの最新例。
イケア、温暖化対策に10億ユーロの投資を公約

記事によれば、イケアの昨年の売上高は300億ユーロで、2020年までに店舗や工場で使用する全ての電力をクリーンなエネルギー源で賄う方針とのこと。確かにイケアはCSR推進企業としても有名で、エネルギー対策にも積極的に取り組んでいるのはしていましたが、まさかこのレベルなのか…。

気候変動への対応は、世界レベルの重大リスク対応であり、日本も国も企業も総力戦で関る姿勢が必要です。マネは絶対できないと思いますが、これぐらい本気の企業もあるよ、ということで紹介させていただきました。

まとめ

日本企業の上場企業や大企業のほとんどは、まだまだダイナミックな環境活動はできていません。

別に予算はさほどなくても社内のクールビズ浸透のようなライトな活動はできます。さらに、戦略的な環境投資を行なうと素晴らしいと思うのですが、簡単な話ではないのでまずはできる所から始めれば良いでしょう。

ちなみに、先週、環境省より「平成27年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書について」が発表されていましたのでこちらもぜひチェックしてみてください。

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