CSR報告書の品質向上

今回の記事は、永久保存版です。(ちょっと言い過ぎ)

今回は、CSRにおけるコミュニケーションを明確化するためのフレームワーク「3C」のご紹介です。

僕は毎年、何十社(以前は毎年100社)というCSR報告書を読んで、また5年間ですがCSRに特化したブログを運営してきて、さらに大手ビジネス系メディアや書籍で執筆活動をして導き出したフレームワークです。

すべての場面に適応できるとは思いませんが、膨大な試行錯誤の末にまとめたものなので、間違ってはいないと思います。

特に、CSR報告書製作の時に全体のトーン(雰囲気)を俯瞰してみることで、過不足を明確にできるかと思います。

CSRコミュニケーションの3C

・コンテクスト(Context、文脈)
・コンテンツ(Contents、内容)
・コラボレーション(Collaboration、共創)

まぁ、コーポレート・コミュニケーション全般でも使えるフレームワークですが、特にCSRコミュニケーションに使えると思います。以下で解説させていただきます。

コンテクスト

・「ハイコンテクスト → ローコンテクスト」
日本のコミュニケーションは“空気を読め”というハイコンテクストな雰囲気がありますが、それではダメです。誰もがわかりやすい言葉に変える、背景を省かずに説明する、など心がけましょう。

・「他人事 → ジブンごと」
“腹落ちする”には、自分がイメージしやすくなければなりません。カタカナ語や馴染みのない単語は避けましょう。

・読者が“自社のことを何も知らない”という前提のもと作成できているか?
御社のCSR報告書は高校生でも理解できるないようですか?

・企業のCSR情報は一般生活者に必要とされていない。
そもそも、日本人の多くは、御社をどうとも思っていません。興味のない人に、興味を持ってもらえる内容になってますか?

・自社を主語にするな。
極論、御社の話はどうでもいんです。御社がCSR活動した結果、社会がどれだけよくなったか知りたいだけなんです。

コンテンツ

・「定量的情報集(データ) → 定性的情報集(ストーリー)」
数字そのものに色はありません。データ“だけ”のCSR報告ほどつまらないものはありません。あなたも実感あるでしょ?

・数字に文脈はついていない。
「木を“1万本”植える」ことが偉いのではない。「木を“1万本”植えた」ことで社会の何が変わって、読者にどれだけ価値を提供できたのか、が重要。アウトプットではなく、アウトカムで語れ。つまり、「活動報告書 → 成果報告書」へ、ってことです。

・誰に何をしてもらうための報告書なのか。
読者にどんな行動を期待するものなのですか?それがわからないのに、アクセスがないとか、広がらないとか、読者をなめすぎです。

・シンボリックなアイコンを作る。
通常の書籍と同様で、「要するに」何なのか?を明示しましょう。読み終わって、印象にも残らないし、学びもないし、結局何を言いたかったのかわからない、ではしょうがないですもんね。

コラボレーション

・読者のインセンティブを、いつ、どのように仕向けるか。
読者のメリットってなんですか?

・コミュニティを作り、体験共有を生み出せ。
読者が何かしらの行動をしたい、と思った時の受け皿はありますか?自発性を引き出しましょう。

・本音を引き出せ。読者に感想を委ねよ。
御社のCSR報告書を読んで、読者にどんなリアクション(感想)をしてもらいたいのですか?

・「最初の1人」の心を動かせ。
ペルソナ。たった1人の心も動かせない、ワクワクさせられないのであれば、数千・数万の人の心を動かすことはできないでしょう。

・連帯感を習慣化させて、エバンジェリストを作れ。
つまり、ファンを作れってこと。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

こういう、戦略的なCSRコミュニケーションを支援する枠組みと運用は、普段お金をもらってしているので、本当は公開したくなかったのですが、一人でも多くのCSR報告書製作に関わる人(CSR担当者、制作会社)の方に知ってもらおうと思い、今回まとめました。

もちろん、僕が考えたフレームワークなので、本質的な部分はまだ頭の中にある状態です。相談したいという方は、【お問合せ】よりご連絡下さい。

その企業が考えるCSR報告書の意義は、編集方針などを見ればわかります。また、CSR報告書の構成・内容・などは、CSR報告書の製作・作成をする制作会社に傾向があったりします。

問題点として、CSR報告書の評価はそもそも誰がするのか、みたいな作り方や書き方の話もありますが、過去のCSR報告書の傾向をふまえて、トレンドに左右されず“自社らしい”ものを作っていただければと思います。

でも、コンテクストの考え方は本当に重要だと思っています。まずは自社のCSR報告書、もしくは競合他社のCSR報告書、CSRコンテンツ(CSRウェブサイト)をこのフレームワークで切り取ると、必ず新しい発見があるでしょう。

以下、CSRのコンセプト・メイキングも含めてのフレームワークとなりますのでご参考までに。

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