CSRの課題を見極める
自社のCSR推進活動はなぜ難しいのか、あなたは理解していますか?
先日、CSRの社内浸透(インナーコミュニケーション)についての記事「バリュー・エンゲージメントでCSRの社内浸透が進む理由とは」を書きました。
そこで結論は「そもそも従業員の文脈で語りなさい!」というものでした。
CSRコンサルタントの下田屋氏の考察「CSRの推進に不可欠な社内浸透教育の重要性(その3)」が非常に重要な示唆をしているかと思うので、参考にさせていただき、僕なりにまとめたいと思います。
今回は、昨今、僕が見聞きしたものをまとめ、網羅してみます。
CSR推進の阻害する18の要因
組織体制
1、CSR推進役となるべきミドルマネジメントがいない。
2、CSR担当部門が権限を持っていないか、組織図上関係のない位置にある。
3、組織が縦割りで従業員が追加の役割を担うことが難しい。
4、従業員が、自分の領域だけに固執し、他部門と連携を取ろうとしない。
5、組織内において、CSRに関する価値を見出せない環境・状況がある。
6、部門長やマネージャーなどの管理者が、従業員のCSR活動をサポートしない。
7、そもそも経営陣がCSRを理解していない。
スキル・マインドセット
8、CSRの特定の分野に詳しい従業員、または、興味を持っている従業員が、その分野の推進者・リーダーとなる仕組みがない。
9、従業員がCSRに興味がない。
10、短期的なリターンのみを考えたプロジェクトや支出をしている。
11、はっきりとしたCSR戦略がない、あるいはCSR戦略が弱く機能していない。
12、CSRのメリットとデメリットを整理し把握していない。
13、そもそもCSR教育が整備されていないので、CSRが何かわからない。
14、ビジネスに直結したCSR戦略(事業プロセスのCSR化戦略)を持っていない。
類似する課題
15、投資に対するリターンを証明できない。
16、CSRに関する予算を得られない。
17、役員の個人的なコミットの域をでない。
18、効果測定ができない。
参考記事
・CSRの課題・問題点を総ざらい!課題解決のための8のアイディア
・CSRの問題点(ボトルネック)を確認しよう! CSR推進を妨げる3つのパターン
・CSR部こそCSR以外のことにも目を向けるべき!?CSR部の問題点と未来の形
まとめ
いかがでしたでしょうか。
逆に考えれば、上記で挙げた18項目を取り除く事ができれば、CSR推進が一気に進む可能性があります。
それで、あなたが知りたいのは「では、上記の課題解決の具体的で効果的な対策は何か」ということだと思います。
しかし……そんなものはありません!それはなぜか。
企業の規模・社風・トップの理解など、考慮すべき要因が多岐にわたるからです。万能薬は存在しません。
だからこそ、僕みたいな第三者が多角的に調査し、具体的な対策を立てる支援をしているのですが、この課題解決のための「考える価値」をご理解いただけてない企業も多く、CSRコンサルティングという業務は日本にほとんど存在しえないのかもしれません。
まー、それらはいいとして、まずは、「自社のCSR推進において何が課題か」を徹底的に調べ、その本質的な課題を見つける事ができれば、解決法は簡単に見つかるでしょう。例えば、
「効果測定ができない」 →「そもそも測定できないプロセスしか実行していないから」 →「なぜ測定できない(管理できない)目標を立てざるを得ないのか」 →「役員が勝手に目標を決めちゃうから」
となれば、「CSR活動の効果測定ができない、という課題」は、表面化した事象でしかなく、本質的な課題は「役員が勝手に目標を決めちゃうから」なのです。これが、現場ではなかなか見えなかったりします。
というわけで「CSRにおける課題の、本質的な問題」をどうやって見つけるかについて、またどこかで解説していきたいと思います。では。