富裕層の寄付
今回は、CSRというか、世界の寄付事情の話。いくつか、興味深いニュースがあったので、それを含めシェアさせていただきます。
今や、日本でも寄付は一つの市場と捉えられており、1兆数千億の市場規模となっております。
アメリカ・約30兆円(2,984億ドル、2012)、イギリス約2.3兆円(147億ポンド、2012)が寄付先進国と言われてますが、色々な指標でみたら、イギリスも日本も大きく変わらないとう話もあります。(※2013年発表の「Giving USA 2012」、「Giving UK 2012」参照)
それは、どうあれ、最近の寄付事情について、少しご紹介いたします。
アメリカの寄付事情
金持ちは一般層よりもなぜ寄付が少ないのか、その答えが米国で明らかになった。「U.S. Trust」がこのたび発表した資料によると、寄付に熱心でなかった富裕層の4割が「寄付するだけの十分なお金を持っていない」と考えていることが判明した。
(米富裕層の寄付が少ない理由「金持ちではない」)
アメリカの富裕層(人口の上位1%程度)の資産はめっちゃすげー!と言われてますが、そんな感じなんですね。
寄付の目的としては、 「次世代のため」30%、「宗教的または精神的なもの」23%、「富める者の義務」22%という順番となった。そして、「節税」目的はわずかに10%であった。逆に、寄付に積極的ではない理由としては、「寄付するだけの十分なお金を持っていない」41%、「自分自身に十分なお金が残らない」34%というものだった。両方合わせて75%と実に4分の3を占めた。
(米富裕層の寄付が少ない理由「金持ちではない」)
節税目的(もちろん、慈善心理もあると思いますが)がもう少し多いと思っていましたが、そうでもないんですね。まー、調査に「節税目的です!キリっ!」ってドヤ顔しにくいというのもあると思いますけど。
また面白いのですが、「一度を寄付をすると、さらなる寄付の要求をされたりすることを恐れてもいる」という意見もあるようで…。流石、寄付大国アメリカです。金鉱に対してまっしぐらですね。
韓国・中国
年末が近づくにつれ寄付やボランティアなどの慈善活動が活発になっているが、韓国企業トップ500社の寄付金は増えていないことが29日、分かった。企業情報などを提供するウェブサイト「CEOスコア」によると、500社の2008~2012年の寄付金を調査した結果、同期間の追跡が可能な381社の昨年の寄付金は1兆8,136億ウォン(約1,668億円)で、2008年に比べ1.4%減少した。
寄付金の金額が最も高かったのはサムスン電子で、昨年は2,353億ウォンを寄付した。2位の現代重工業(1,329億ウォン)に比べ約2倍多い。3位はサムスン重工業(1,105億ウォン)だった。
(韓国大企業 売上高は増えても寄付は増えず)
売上は30%近く伸びているのに、寄付は1%の減少。ふむふむ。で、企業寄付の1位はサムスンさんのようです。さすがですね。
中国大手検索サイト百度の尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題について話し合う掲示板にこのほど、「わが国民は釣魚島を守るために喜んで毎月1元(約15.9円)を払うだろうか?」というスレッドが立てられた。
スレ主は 尖閣諸島問題で日本に圧力をかけるために「全面的に日本製品をボイコットする」と主張し、中国にある日本企業の閉鎖、日本との貿易禁止、日本への旅行禁止を主張。さらに、「同胞14億が毎月1元(約16円)出せば軍事施設をねん出できる」とし、祖国のために1元を支払う気持ちがあるかを尋ねている。
スレ主の質問に対して、「喜んでカネを払う」というユーザーも少数ながら存在したが、「1元も出さない」という意見が圧倒的多数だった。理由は「金を出すということは汚職官僚を養うこと。これは人民に対する一種の犯罪だ」などが挙げられ、中国における腐敗問題がいかに広がっているかがよく分かるコメントだ。
(【中国BBS】祖国のために寄付できるか…「絶対に寄付しない」)
中国のBBSには詳しくないのですが、ネットの中にいる人たちは、トレンドに敏感だし、結構本音を語ったりするので、一つの寄付に対する意見として考えると興味深いものがあります。ただし、ソースは掲示板のようなので、まー、参考までにという所です。
そういや、中国での個人寄付や企業寄付ってどれくらいの市場規模なのだろうか。ちょっと調べてみようかな。そもそも、統計があるのだろうか。シンガポールの友人に聞いてみようかしらね。
まとめ
海外寄付事情に精通しているわけではありませんが、寄付の市場規模が数十兆円規模だろうとしない人・企業はそもそもしない、というごく当たり前の調査結果でしたね。
何か、社会貢献とかCSRと言っている人たちは、右肩上がりの寄付に万歳みたいな人も多くて(僕ですけど)、そのまわりのことが見なくなっている事も多いのかもしれません。
今回は、アメリカ、韓国、中国のとあるシチュエーションによる寄付事情の話題でしたが、恒常的な寄付として、今後世界のトレンドはどこに向かうのかが気になります。僕としては、スマートフォンなどのアプリや、ウェブサービスなどのウェブにおけるプラットフォームが今後のトレンドになると思ってます。
プラットフォームでの課金等も含めて、どの企業が台頭するのか、もしくはTwitterやFacebook、LINEといったSNSのプラットフォーマー達が、システムの一部を寄付を含めた公益性の高いビジネスに貸し出すのか。
世界の寄付事情を見ていて、今後の寄付プラットフォームを妄想してみました。素人の妄想なので、何でもいいちゃいいのですが、1兆数千億という日本おける市場規模を考えると、ビジネス・セクターの人たちはここの市場を、今のウチに囲い込む体制に入った方がよいのかなとも思いましたとさ。ちゃんちゃん。
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追記:2013年11月1日
@Mitsunobu3 05年のクーグルのレポート、Table 9を参照ください。世帯数の2.3%に過ぎない年収20万ドル以上世帯が、寄付総額の56%の貢献がみてとれますよ。資産ベースにすると、高資産層への偏りがより明らかだと思います
— Gen Shibayama (@gshibayama) October 31, 2013
@Mitsunobu3 あと、総世帯の9割を占める10万ドル以下世帯の場合寄付総額$90Bnのうち$60Bn(約66%)が宗教への寄付というのも、アメリカの寄付事情を理解する重要な点ですね。
— Gen Shibayama (@gshibayama) October 31, 2013
@Mitsunobu3 そして、世帯年収100万ドル以上世帯の寄付は教育と健康医療関連がそれぞれ$13Bnづづで、層寄付額$51Bnの約半数を占める点でしょうか。
— Gen Shibayama (@gshibayama) October 31, 2013
@Mitsunobu3 安藤さんのブログに関連するネタだと、こちらでは、Squareが、チャリティ・イベント時の課金マシンとして大活躍してますよ。明日の口約束より、今日の現金ということで。
— Gen Shibayama (@gshibayama) October 31, 2013
Twitterで寄付に関して更なる情報提供をいただいたので追記。Gen Shibayamaさん、情報提供ありがとうございました!