インドにおけるCSRの法律化問題

CSRが法律化されたら、CSR関係者やNPO関係者は手放しで喜べるのでしょうか?

今日の話題は、「インドの会社法改正によるCSRの義務化」についてです。

India mandates increase in charitable giving by corporations; critics fear government control

世界銀行によると、 インドの12億人の約3分の2は、1日2ドル未満で生活しています。その層に大企業の資本が投下できればいいなぁ、みたいな思惑が法制定にはあるようです。実際、日本でも労働関係法もうまくかいくぐっている、ブラック企業もありますし、法制定が必ずしもCSRの普及につながるとは限りませんよね。

会社法という枠組みの中で、CSRが義務化(法制化・法律化)されたというのは、本当に一大ニュースです。

The corporate responsibility law

CSRに関する法律が制定されて話題になったインドの会社法改正ですが、今度は、企業フィランソロピーを義務づける法律「The corporate responsibility law」を制定したそうです。報道によると、年間利潤が7800万ドルを超える企業は、少なくと収益の2%をコミュニティ開発(地域開発)に使うことを義務づけるとのこと。

違反に対する正当な理由がない場合、彼らは罰金または最高幹部の懲役刑に直面するかもしれない、と言われています。法律ですので、このあたりは厳密なんでしょうね。

インドの国内企業は、コスト増大、経済の発展阻害、腐敗・汚職の増大させと反発している所も多いとか。

記事によれば、スポーツイベントへのスポンサードはCSRではない、とか、時代遅れのCSR法であるとか、専門家の中でも、「なんじゃそりゃ?」的な受け止め方もされているようです。

現代社会におけるCSR経営(サスティナビリティ経営)とは、障がいのある人を雇用し、エネルギー効率の高い照明を導入し、オフィスでのリサイクル推進なども活動に含まれますが、新しいCSR法のルールに適合しないとしたら、グローバルレベルのCSR活動はすべて法に適用できくなる、という懸念もあるようで。

例えば、日本でも「コミュニティへの貢献」以外がCSRではないとされてしまったら、環境活動やコーズマーケティング、本業での社会的な役割の果たし方も否定的になりそうです。

どちらかというと、インドのCSR法のいい噂は聞きませんが、今後どうなるのでしょうかね。世界中のCSR・NPO関係者の注目の的となっている、今日この頃であります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

日本の場合は、すぐに会社法改正等によるCSRや、企業のフィランソロピー(社会貢献活動)の法整備が進むとは思えませんが、近い将来、法律化されることにはなるかもしれません。

今、やっと、日本でも「本業でCSR」的な機運も高まってますし、法によって一律にCSR活動が規定されるとなると、コストにしかならない気もします。

しかしながら法律で決まってしまえば、とりあえずは従うしかありません。(従わないのは“犯罪”ですから)企業経営が後手後手にならないよう、世界の動向を今後もウォッチしていきましょう。

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