CSR経営の未来のチーム「The B Team」
先日[CSRの起爆剤となるか?未来を創造するためのイニシアティブ「The B Team」]という、B Teamに関しての記事を書きましたが、色々新しい話題が出てきたので再度まとめてみます。
「The B Team」とは、短期的な利益を求める「プランA」に代わる、「利益の追求と並んで、人々と地球を優先する」ことを目標によりよい資本主義社会を作ることを目指すビジネスリーダーチーム。
「The B Team」の目的は、社会環境や経済的利益のための原動力になること。未来を創造するためにグローバルなビジネスリーダー・グループによって形成された非営利イニシアチブなのです。
ソーシャルビジネスの父、ムハマド・ユヌス氏。ヴァージン・グループ創設者兼会長、リチャード・ブランソン氏。プーマ会長、ヨッヘン・ザイツ氏、ハフィントンポストのアリアナ・ハフィントン氏など。様々な分野のビジネス・リーダーたちが立ち上げに関わっているそうですよ。
ちなみに、近い“名前”として「B-Corps(Benefit corporations)」がありますが、まったく別の組織(法人認証)なのでお間違えのないように。考え方は似てるんですけどね。
The B Team の目指す未来とは
課題を具体的にいえば、エネルギー、企業活動、創造力を持続させることである。それらは資本主義を最良の状態へと形づけるものだ。同時に、他の破滅をもたらすような要素を排除するのも課題となる。
ビジネスにとって道徳的観点で一歩前に踏みだすことは正しいというだけではなく、経済にも良いことである。経営学者で元ミシガン大学ビジネススクール教授の故C.K.プラハラード氏をはじめ、いろいろな人が議論したように、今人々が「持続可能性」と呼ぶものの中には、膨大な成長と利益の機会がある。
(持続可能なビジネス:倫理基準と収益が合致するために必要なもの【The B-Team】)
ポール・ポルマン氏(ユニリーバCEO)のオピニオン記事からの抜粋です。ユニリーバは日本法人も含め、CSRに積極的な企業と有名です。言っていることがいちいち正義過ぎて、誰も何も言い返せないくらいです。
もしビジネスが社会の信頼を再び得たいなら、大きな社会的、環境の課題に取り組まないといけない。それらの問題は人間性と対極している。政府がますます短くなる選挙サイクルに嵌り、相互依存が進む世界で、地球規模の課題を感じ取りその対応に苦労している時期には特に必要である。
しかし我々だけが持続的な目標を達成しても、誰も後に続かなければそれは失敗に終わるだろう。我々が成功するためには他の人々と協業することが必要だ。政府、顧客、競合会社、原料供給国、そして一番重要なのがNPOである。
(持続可能なビジネス:倫理基準と収益が合致するために必要なもの【The B-Team】)
ユニリーバでは、2010年にスタートした「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」(ユニリーバ持続可能生活計画)が、CSR経営(サスティナビリティ)のポイントとなったとのこと。この計画をざっくりまとめれば「社会貢献して、お客様も自分たちも儲けようよ」という話です。
手洗いをする習慣がなかった地域で、衛生教育プログラムを実施しながら、ライフボーイ石鹸を売ることで、私達はお客さまの健康を促進しながら、以前よりも多くの売上げを計上しています。予防可能な病気とたたかうことによって、事業に新しい目的意識と方向性が与えられた。
家庭用浄水器ピュアイットの成功は、今まで清潔な飲料水を飲む機会を奪われていた数百万人の消費者に、安く清潔な飲料水を提供することができました。これは、今までとは異なる新しい事業区分を構築することが可能であることを示しています。結果として、ユニリーバも、お客様も利益を得た。
(サスティナビリティの良事例!ユニリーバのCSR「サスティナブル・リビング・プラン」)
いわゆる、寄付や慈善活動だけでは、企業側に損失を生むだけです。PR効果なんて微々たるものです。社会貢献活動にさくリソースをプロモーションにそのまま使った方がよっぽど結果につながるのは当たり前ですね。だから僕はPR目的のCSRや社会貢献ではもったいないと何度も言っているのです。
The B Teamの目指す未来
「我々は今日、ビジネスの 『The B Team』 について世界規模で対話を始めた」 とブランソンは述べている。「政府機関や民間部門、そしてビジネスリーダーたちと手を携え、困難に思える世界的課題の解決に貢献していきたい。人と地球にとって最も良いビジネスのあり方を実現するため、様々な声に耳を傾け、学び取り、それを皆と分かち合いたい。」
(「The B Team」発足: 利益よりも人と地球を守ることを優先し、より良い資本主義社会を形づくることを目指す)
CSR大好きな企業担当者や経営者の場合でも、こういった海外の有名なイニシアティブを知らなかったりしますよね。ISO26000(CSRの国際規格)やグローバルコンパクトなどがメジャーですけど、ビジネス・リーダーたちのイニシアティブとどちらが社会にインパクトを出せるかと考えると…ね。
2011年3月の東日本大震災以降、日本の社会貢献やCSRは大きく変わってきましたが、もっとダイナミックに、もっとビジネスライクにいってもいいのかなと個人的には感じています。
The B Teamのあり方
ビジネスを推し進める価値観を、四半期の所得や短期的な成長というステレオタイプを超え、「利益の追求と並んで、人々と地球を優先する」ものへと変えようとしています。
私たちは、「人々、地球、利益」に焦点を置いた未来は実現可能であり、地球、個人、地域にとって良いことは、ビジネスの純利益にとっても長期的に見て良いものであると信じています。
(人々、地球、利益――The B Teamのご紹介)
創設者の1人、アリアナ・ハフィントン氏のオピニオンです。
日本の環境経営とかCSR経営と呼ばれるもののスキームとイメージとはちょっと違いますよね。どちらが良いという話ではなく、この B Team の考え方は、いわゆるソーシャルビジネス(社会課題をビジネスで解決する手法)に近いんですよね。
ボランティアとか、社会貢献活動をCSRと思っている企業の担当者にこそ、この視点を学んで欲しいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本稿であなたに伝えたいのは The B Team に入りなさいとかではなく、世界はこういったソーシャルビジネスの流れがトレンドになってきてる事をまずは言って欲しいということです。
このトレンドを知らずしてソーシャルビジネスを語るのは論外です。あなたのCSRに関する知識コンテクスト(背景・文脈)理解のお役に立てば幸いです。
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