DJSI(ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・インデックス)
CSR格付けインデックスでグローバルで知名度ナンバーワンといったらDJSI(ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・インデックス)がまず上がることが多いです。
DJSIは、世界52ヶ国約2,500社が対象となっており、全世界15ヶ国の投資信託、運用機関などがDJSIのインデックスを使用し、運用資産の合計は60億ドル(USD)以上と言われています。CSR関係者だったら、まずはおさえておくべき指標の一つです。大手以外関係ないと言えば関係ないのですが…。
■追記:2015年9月30日
2015年版の記事:今年の日本企業選定は20社–社会的投資指標「DJSI」(2015)
DJSIの3つのポイント
1、DJSIのフロー
まず4月に調査票が送られてきて締め切りは6月。約1か月の回答の延長願いを受けてもらえます。発表は9月上旬となっています。
調査票自体は(PDFにした場合)100ページ近くに及び、調査項目も難易度が高いものです。経済側面、環境側面、社会的側面について、詳細にかつ、取組みがきちんとされているか問われます。
調査票はもちろん英語。また、解答も英語の必要があるのでDJSI担当者は調査票を受け取った後和訳→担当部門に回答をお願い→英訳 という日本の調査の場合に比べ+αの仕事量が要求されます。ここは、しんどいですが我慢しどころです。
調査回答をしなくてはいけない担当部門は相当大変ですが、毎年似たような設問もあるので、何度も出しているところでしたら昨年のデータのアップデートということでそんなに労力は要らないのかもしれません。もちろん、大幅に変更がある項目もあります。
ただ、取組みの改善がされていないと毎年同じ設問に答えられないということになります。
DJSI担当者としては「取組みを改善してくれ」とまでは部門にお願いしづらいことから毎年、加点に繋がらないのを判りながら、回答することになります。このあたりの回答はどの指標でも同じ悩みがあると思います。
2、DJSIのメリット
それだけ大変なDJSIに選ばれるメリットはあるのでしょうか。
選定は業種毎です。日本に関して言えば、ワールドとアジア・パシフィックが該当するインデックスとなります。
ワールドはthe Standard and Poors Broad Market Indexで2500位、アジア・パシフィックは上記 Asia Pacificで600位以内であると調査票が送られます。各セクター(業界別)毎にワールドだと上位10%、アジア・パシフィックだと上位20%が選ばれます。
要は財務的にも優れている必要があるということです。認められた企業しか答えられないというのも格式なのかもしれません。回答には相当な労力が要るのですが、選ばれると会社のネームバリューが上がるというメリットがあります。
セクターによっては強豪揃いのところもあり、選出される企業の点数を見るからに、「選ばれないだろうな」と思った場合、それでも調査に回答するか、しないかと考えてしまうくらい悩ましいところです。また、セクターの会社数が少ないのも厳しいです。10社程度だとセクター中、1社か選ばれない・・・といった状況になります。どのセクターで回答すると有利か、など考えている会社もあると思います。
3、DJSIの設問
DJSIの設問自体は、企業のサスティナブルなアプローチに対するヒントとなり、答えられるように努力することで会社自体が良くなるしくみにはなっていると思います。フレームワークはCSR活動の過不足の発見におおいに役に立ちます。
ちなみに頑張って回答した会社には選出されない場合も結果のシートを貰うことができます。回答会社の各項目の点数、セクターの平均、セクター内でワールドやアジアに選ばれた会社の点数なども教えてもらえます。
そして無料の電話による調査会社のアナリストとのフィードバックも受けることができます。30分間。RobecoSAM(調査会社)のヘルプデスクからの予約が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
多くの企業は関係ないと思われるでしょうが、世界最先端のCSRフレームワークでもあるし、格式あるインデックスなので、まずはこういうのがあると覚えていただくと良いでしょう。
日本で使われるCSRのフレームワークは、「ISO26000」や「GRI」のようなものがありますが、どれを使うことになっても、やはり指標となるフレームがあると、CSRにおける課題や項目が整理しやすいというのはあります。
ぜひ以下の記事なども参考にしていただき、有意義なCSR活動につなげていただければ幸いです。
参考記事
・CSR報告書の最新ガイドラインが発表!GRI「THE G4 GUIDELINES」
・CSRコミュニケーションに戦略性をもたらすフレームワーク「SMART」と「SUCCESS」
・CSRの効果測定指標となるか?「DAC評価5原則」と「CSO開発効果8原則」
・自社のCSR進捗を見える化する!ステータスを計る、ISO26000の7つの質問
・企業のCSR活動における問題点を9個ピックアップしてみた。
[DJSI]
寄稿:kei