CSRは企業利益となるのか?
先月「Profits & CSR Closely Linked – Report」という、CSRに関するフォーチュン1000企業エグゼクティブの、アンケートの記事を読んだのでメモと雑感を。
結論、CSRはコストではない!CSRは利益と連動している、と。CSRは企業利益や株主利益につながる。これはいわゆる「儲かるCSR」的な話ですね。
詳細は原文を読んでいただくとして、僕が気になった3項目について考察と雑感を。CSRの概念が随分かたまってきてる印象。そしてそのコミュニケーションツールも。
Profits & CSR Closely Linked
1、the CSR function may disappear
CSR部はなくなるんじゃないかな?ってこと。
The report by corporate and investor relations firm Adam Friedman Associates also found that some executives believe the CSR function may disappear altogether as corporations begin to absorb CSR into all aspects of their business and make it a part of every employee’s responsibilities.
アダム·フリードマンアソシエイツ社による報告書において、企業幹部の何人かはこう言ってます。「企業が自社のビジネスのすべての側面にCSRを吸収し、それをすべての従業員の責任の一部とし始めるとCSRの機能が完全に消えるかもしれない」と。
僕も以前、CSR部の未来の形についての考察記事を書きました。
参照:CSR部こそCSR以外のことにも目を向けるべき!?CSR部の問題点と未来の形
CSRが企業内に浸透すれば、CSR部の存在意義はなくなる、というのが結論です。いろんな人たちも同様に思っているのであれば、僕の考え方は間違いなかったのかなぁ、と。
2、Motivations behind CSR policy
CSR方針の実施背景について。
The report findings revealed that CSR initiatives contribute to the company’s bottom line. When evaluating motivations behind CSR policy, results signal that the primary motivation behind CSR initiatives lies in the company’s reputation (88%), followed by the company’s competitive positioning and social consciousness (71%). Significantly, profitability (38%) and pending or existing legislation (32%) were determined to be motivating factors.
調査結果は、CSRの取り組みが企業の収益に貢献することを明らかにした。 CSR方針、結果の示唆の背後にある動機、つまり、CSRへの取り組みの背後にある主な動機は次の通り。会社の評判・信頼に影響するから(88%)、競争力のあるポジショニングと社会意識のため(71%)、収益性(38%)、保留中または現行法律(32%)がCSR活動の背景にあるとした。
この収益性(38%)という数字は興味深いですね。高い割合とも言えますが、評判(88%)に比べて半分しかない。評判を落とさない為にCSR活動をするのは9割近く。しかし、収益につながると考えているのはその半分。
日本でも「評判を落とさない為に」が9割近くの理由になると思いますが、収益につながると考える企業は4割ないんじゃなかぁ…。
3、Communication channels
コミュニケーション・ツールは何か。
When evaluating communication channels corporations use to disseminate information about the organization’s CSR policies, respondents indicated that they most commonly use the company’s website (95%) and the annual report (72%) for CSR-related communication, but more than half of respondents also indicated that they disseminate information via social media (54%) including Facebook and Twitter.
組織のCSR方針に関する情報を広めるために使用するツール、つまり、企業活動の情報伝達手段は次の通り。回答者が最も一般的なのは同社のウェブサイト(95%)、次は、CSR関連の年次報告書(72%)、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディア(54%)を介して情報を広めることが示された。
CSRが利益に密接しているのはレポート全体でだいたい理解できました。僕はそのコミュニケーション・チャンネル(情報伝達手段)の割合に興味がありました。
コーポレートサイト、CSR報告書、ソーシャルメディア。CSR報告書もウェブへの以降が加速しています。実際去年、紙のCSR報告書を止める大手企業が何社もありましたよね。
結論、グローバルな世界でみても、日本でみても、CSRコミュニケーションの主戦場は、ウェブに移ってきている、ということ。これって非常に興味深い結果です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ちょっと論点がずれた所もありましたが(笑)、「CSRはコストではない!」という数字、大手企業担当役員のインタビューなど、CSRが企業利益と近い所にあるのはご理解いただけると思います。日本語訳のところは、僕の意訳なのでテキトーに読んで下さい。
英語が苦手な方もぜひ原文を読んでみて下さい。CSR関連の企画書・プレゼン資料にも使えるデータもあると思いますよ。
Profits & CSR Closely Linked – Report
関連記事
・社会性を認証する「Bコーポレーション(ベネフィットコーポレーション)」
・CSVとCSRとマーケティングの絶妙な関係について
・ダイバーシティ経営は企業に利益をもたらすが、従業員が幸せとは限らない