統合報告書制作

さよなら統合報告書

衝撃的なタイトルの本を読みました。『さよなら統合報告書(宣伝会議)』です。文字通り統合報告書の解説書なのですが、概念や方向性の話ではなく、制作プロセスの解説がメインでした。

言い方はさておき、私が10年以上前から言っている「統合的コミュニケーション」の話だと思いました。統合的コミュニケーションとは、統合報告書やサステナビリティレポートだけではなく、コーポレートサイト(サステナビリティサイト)やIRサイト、有価証券報告書など、メディアの棲み分けを明確にし、(部分最適ではない)全体最適の情報開示をしましょうよ、というものです。

ページ数も少ないので、さっと読めました。逆にいうと、ページ数が少なく統合報告書制作の実務的な話が多いので、結局“さよなら”はしておらず、やはり統合報告書は重要ですよねという結論になってしまい、もう少し理論的な解説もあった方が、もっとよかったかなと思いました。コラムは面白かった。古木謙太郎さん、最近色々なところでお見かけしますね。(ある学会で同じ研究部会メンバーです)

最初から最後まで、どうやって統合報告書を制作するのかという話なのですが、統合報告書制作の話は、ほぼ見聞きする話だったのに対して、後半のAIをいかに制作に組み込むか、という超実践編の話の方が興味深かったです。私自身は統合報告書制作支援会社の人間ではないので、今後どうやって制作現場でAI対応をしてくのか興味津々なわけですが、その一端は垣間見れた気がします。

制作会社やAIを統合報告書制作に組み込みたいサステナビリティ推進担当者の方などにおすすめかと思いました。

書籍概要

著者:ウィルズ、パンハウス
出版社:宣伝会議
発売日:2026年6月1日

第1章 企業報告の意義と役割
—1.1 企業報告とは何か
—1.2 企業報告の中核をなす「統合報告」
—1.3 制作上の課題点
—COLUMN 1:統合報告書の課題と、あるべき企業報告の姿

第2章 統合報告書に付きまとう構造的課題
—2.1 統合思考で書くから統合報告書
—2.2 こんなに大変!統合報告書の制作プロセス
—2.3 制作現場に横たわるトレードオフの問題
—2.4 求められるツールとしての進化
—COLUMN 2:「統合」という名の呪縛からの解放

第3章 変わり始めた統合報告書
—3.1 技術で乗り越えられること
—3.2 価値創造ストーリーだって、オーディエンスを求めている
—3.3 AIと育てる企業報告のカタチ
—COLUMN 3:多様な情報ニーズに応える共創プラットフォームの可能性とスポンサード・リサーチへの展開

第4章 未来の企業報告を実装するという挑戦
—4.1 共創プラットフォームプロジェクトは、社内のAI研修から始まった
—4.2 3つのフェーズで変革へのロードマップを描く
—4.3 プロダクト・ドキュメンタリー:AIはいかにして「IR-port」となったか
—4.4 AIの限界から見えた普遍的課題と進化への道筋
—COLUMN 4:AI時代の統合報告は、自分で作る統合報告に

第5章 AIとの“共進化”が拓く新たな可能性
—5.1 リスクと機会――AI活用に立ちはだかる普遍的課題
—5.2 技術の全体像――実現可能性の証明
—5.3 コーポレートインターフェース――Being(存在)の設計
—5.4 歴史は繰り返す――適応か淘汰か
—対談:未来の企業報告を考える

第6章 RX (Reporting Transformation) 3.0
—6.1 統合報告の進化論
—6.2 成立させるための条件
—6.3 実現のための手段
—6.4 AIが果たす役割
—6.5 インパクト評価を実装する
—6.6 レポーティングを超えた世界

出所:Amazon商品ページより