サステナビリティサイト

サステナビリティサイト事例

定期購読をしている「広報会議2022年12月号」(宣伝会議、11月1日発売)の第2特集が「サステナビリティサイトと広報成果」というテーマだったので、ちょっとブログでも紹介させていただきます。

広報会議では、昨年私がサステナビリティサイト制作のポイントの記事を寄稿(2021年8月号)しています。今年も特集やるやん、いいね!と思いました。今回はケーススタディということで、ライオン、スターバックスコーヒージャパン、東京海上ホールディングス、ダイセルの4社がピックアップされていました。

そこで本記事では“事例紹介の紹介”と、いくつかサステナビリティサイト制作のコツを紹介します。これらをもとにサステナビリティサイトの制作会社(現在のウェブサイト制作会社)の方とディスカションしてください。詳細を知りたい方は書籍をぜひ購入してください。

※サステナビリティサイト:サステナビリティページ、サステナビリティコンテンツ、サステナビリティ・ウェブサイトなどの表現を含む、コーポレートサイトのサステナビリティ・ウェブコンテンツの総称とします

サイトの成果指標とポイント

1.ライオン

・サステナビリティ関連発行物のダウンロード数
・関連動画の再生回数
・出前授業などの依頼数
・サステナビリティの話もファン作りの一環でもある
https://www.lion.co.jp/ja/sustainability/

本文にいきなり、我々の格付け「サステナビリティサイト・アワード」がでてきて、いや誰も知らないアワードだから書き出しおかしくない?と思ったのですが、内心紹介いただいて検索流入増えるだろうなぁ、とニヤニヤしていました。あと、サステナビリティサイトはコミュニケーションのツールなので、サイト内ですべての成果が完結しないというか、小学校での講演や出前授業も指標というのは、なるほど、と思いました。

2.スターバックス

・スターバックスの行動に共感してくれる人を増やす
・お客様の信頼や共感が深まるような記事を展開
・企業理念がコンテンツにも反映している
・プレスリリースに載せにくいストーリーも展開
https://www.starbucks.co.jp/socialimpact/

外資系企業の日本語サイトのほとんどは、組織のサステナビリティ情報があまり載ってません。なぜ、そこまで日本語ローカライズをしてくれないのかわかりませんが。そういう場合は、本国の意向もあるでしょうから、スターバックスのように、サステナビリティ関連情報の多いブログに近いオウンドメディアを作るというのはアリですね。コンテンツがあれば、社内報など他のコンテンツにも流用できますし。あと企業理念を重視する姿勢も素晴らしいです。

3.東京海上ホールディングス

・パーパスを重視したコンテンツ展開
・情報量が多いのでメリハリをつけて掲載
・社内アンケートを取りコンテンツを改善
・社内副業制度で有志のサイト運営メンバーがいる
・サステナビリティ表彰を実施し結果を掲載している
https://www.tokiomarinehd.com/sustainability/

社内アンケートを定期的に実施しコンテンツへのフィードバックを得る、というのは素晴らしいですね。サステナビリティの社内浸透にもつながります。別にフィードバックは社内・社外どちらの人でもいいのですが、絶対していただきたいです。実はコンテンツの質を高める唯一絶対の方法は「フィードバックを得る」なんです。作りっぱなしのコンテンツが良いわけないですから。

4.ダイセル

・ESG評価のエビデンスとなる数値を開示
・読者ターゲットを明確にする(投資家とESG評価機関)
・サイトはファクト重視、レポートはストーリー重視
・評価機関のアンケートはサイトURLを掲載するのでサイト情報充実がかかせない
https://www.daicel.com/sustainability/

ダイセルは、BtoB企業の手本みたいなサイト構成ですね。IR部門が管理してよりIR視点を強めたサイトとして、明確なメッセージングができているのがよいです。想定読者が明確だからか、サイトのインデックス(目次作り)もよいですね。今の時代に求められる要素が色々詰め込まれています。個人的にはサイトでもファクトだけではなく、特にBtoB企業は事業内容の理解難しい場合も多いので、ストーリーのコンテンツ展開もあるとよりダイセルを理解しやすくなるかな。

サステナビリティサイトの成果は何か

本書のテーマが「サステナビリティサイトと広報効果」で、各社各様の指標や成果を測定していて興味深かかったです。最近思うのは、サステナビリティサイトは商品/サービスの紹介ページではないので、この中だけで完結する必要ないのかなと。ライオンのように「サステナビリティの講演回数」もサイトのリアクションとして成立しますよね。

ですので、ステークホルダーごと(投資家・従業員・顧客・取引先・評価機関など)に、サイトでどのようにエンゲージメントするのか、そしてその成果をどこにおき、どのように測定するのか、をちゃんと決めましょうと。投資家の場合はIRのウェブコンテンツがありますので、サステナビリティサイトのみのリアクション設計でなくてもいいですけど、他のステークホルダーの場合は、サステナビリティのみが想定読者になる場合もあるので、ちゃんとエンゲージメント設計しましょう。

この10年、私がたくさんの企業をヒアリングし続けて感じていますが、著名企業であっても多くの企業がいまだにサステナビリティサイト運営のKGI/KPIを決めていません。まずはゴール(KGI)を決めましょう。ゴールがない活動ほど無意味なものはありませんから。

あと、ライオンとスターバックスは、オウンドメディア(ブログ)で積極的にサステナビリティ関連情報を発信しています。私はBtoC企業の場合はコーポレートサイトから離れてのコンテンツ展開もアリだと考えています。

まとめ

サステナビリティサイトは重要です。すでに開示の主軸を「統合報告書 + サステナビリティサイト」というスタイルにしている企業も増えてます。今回紹介した4事例と、我々のサイト格付けである「サステナビリティサイト・アワード」の上位企業を、きちんとケースとして勉強しておいてください!

ちなみに2023年1月発表予定の「サステナビリティサイト・アワード2023」ですが、現在は調査の後半戦です。今回から評価基準をグローバルより大幅変更したので順位が結構入れ替わるかも!?

広報会議はAmazon等でバックナンバーも1冊単位で買えますし、ある程度の規模の書店であればどこでも入手できます。詳細を知りたい人は買ってください。ここ数年は、わりとサステナビリティ情報開示のネタも増えてきています。

ちなみに、我々はウェブコンテンツ「第三者評価」を安価でやっていますので、リニューアルやエンゲージメント強化を検討されている方はご相談ください。世界で一番、日本企業のサステナビリティサイトをチェックしている私(毎年、目視で4,000社チェックしてます)が色々とアドバイスさせていただいてます。

>>第三者評価

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