サステナビリティ意識調査

サステナビリティ意識調査

ある企業の役員研修の資料を作っていて、最近のサステナビリティ関連意識調査を盛り込もうかと、情報のストックをみたら、かなりメモが溜まっていたので共有(放出)します。

民間もホワイトペーパーという形で、サステナビリティ関連の調査を結構しているわけです。しかし、質問項目や方法論でかなり情報操作しているような調査もあって、いわゆるピンキリな情報です。でも、そんな質が高いか低いかすらわからないような調査でも、まとめてみると明確な方向性が見えてきたります。

というわけで本記事では、20以上の評価をまとめて紹介します。あなたの活動のヒントになれば幸いです。

サステナビリティ意識調査

アイディール・リーダーズ

・会社のパーパスが自分の思考や行動に影響を与えていると回答した人 約55%
・パーパスを理解・自分事化する取り組みには改善の余地あり
・一般的な言葉のパーパスでは社員の違和感が大きい。「ワクワクを感じない」
パーパス(存在意義)を有する企業で働くビジネスパーソンを対象にした調査レポートを公開/「会社のパーパスが働く理由になっている」6割超える

インフォバーングループ

Q「サステナビリティ」を意識して、自分は行動できていると思いますか?
「意識して行動している」「やや意識して行動している」の割合が、一般層では約32%。エクストリーム層では約60%、とサステナビリティに対する意識が行動まで結びついているという点で大きな差異がうかがえます。
【Z世代の意識調査#004】「サステナビリティ」に関する価値観と行動の実態調査

デファクトスタンダード・楽天

・「サステナビリティ」の認知率は約7割
・7割以上が「サステナビリティ」を生活に取り入れたい
「ブランディア」と楽天「ラクマ」、両サービスのユーザーを対象に「サステナビリティ」に関する初の共同意識調査を実施

電通

・「カーボンニュートラル」自体の認知は約4割にとどまる一方、日本の「2030年度の温室効果ガス46%削減目標」の認知は5割超。
・カーボンニュートラルに関心が高い個人投資家は、投資判断において、企業の情報開示・PRを前提として、開発から販売に至るまでサプライチェーン全体での企業の取り組みを重視。
電通、第2回「カーボンニュートラルに関する生活者調査」を実施

日本経済新聞

東南アジアでESG(環境・社会・企業統治)への意識が高まっている。米ベイン・アンド・カンパニーと米フェイスブックが5月に実施した調査では、持続可能性や社会的責任に配慮した商品に「余分にお金を払いたい」とした人は東南アジアで92%に達した。
余分に払える額は「最大10%」とした人がもっとも多く、80%だった。国別でESG商品にお金を出してもいいと思う割合が最も高いのはベトナム(97%)で、もっとも低いのはシンガポール(75%)。購入ブランドを切り替える理由でも価格や品質に次いでESG対応が3位に入っている。企業の対応の重要性もますます高まりそうだ。
東南ア、ESG商品「多く払う」

フィデリティ投信

・コロナをきかっけに3割以上がより良い世界を築くために貢献したいと回答
・4人に1人が自分の価値観を反映していない会社には資金を投じないと考えている
・サステナブルな投資に関しては、全体の約半数が自分の財務状況等を見直すと回答
・日本の金融商品の保有者の4人に1人はESGを重視しない企業が衰退していくと予測
フィデリティ、コロナ禍とESG投資に関する意識調査結果を発表

JPX

・日常生活で環境問題や持続可能性に多少なりとも配慮している会社員は全体の67.3%を占め、環境意識は会社員にかなり根付いているようだ。
・投資を行っている会社員のうち、33.7%は実際に環境や持続可能性を重視する企業への投資を行っていた。投資はしていないが魅力を感じている人も30.6%おり、投資を行う人の環境意識の高さがうかがえる。
環境問題や持続可能性は意識している?

経済広報センター

・企業評価の際、「企業からの発信」「メディアからの発信」を信頼
・社会課題の解決に取り組む企業の商品・サービスは、半数以上が「価格が高くても購入」
第24回 生活者の”企業観”に関するアンケート 企業に対する信頼度は、2018年度以降上昇傾向~ウィズコロナ、ポストコロナの企業対応で「ワクチンや治療薬の開発」に期待~

SAP

・環境問題への投資を行う根本的な理由として、業界の規制を挙げた回答者の割合が最も高くなりました(29%)。一方で、社会的評価の向上(27%)や会社の評判に対するリスク(26%)を主な理由として挙げた回答者の割合も高くなりました。
・取り組みを推進する最も大きな要因としては、CEOおよび取締役会のコミットメントと、政府の規制が並んで第1位となりました。収益と利益の向上が僅差の第2位となっており、社内および社外からの圧力が環境アクションに影響することが示されました。
SAP、企業のサステナビリティアクションを阻む課題を新たな調査で明らかに

LINE

・全体で「まったく知らない」と回答した人がもっとも多く、45%と半数近くでした。次に多かったのは「聞いたことがある程度」という人で3割弱。「詳しい内容まで知っている(8% )」と「ある程度内容を知っている(19%)」を合わせた、「内容を知っている」という人も3割弱という結果でした。
LINEリサーチ|最近よく聞く「サスティナブル」って知ってる?

企業メセナ協議会

・メセナ活動の取り組みは「地域」と「企業価値創造」を重視。芸術文化振興を基本としつつも、5年前と比べて企業のブランディングへメセナを活用しようとする意識が高まっている。
・メセナ活動の成果として、「地域」への効果に加え、社内への効果をあげる声が増加。ブランドの向上や宣伝効果などに加え、社員の啓発や一体感の醸成など社内への効果をあげる声が増えている。
2020年度メセナ活動実態調査 結果

KPMG

・コロナ禍において再定義が必要なものとして、「中長期戦略」との回答が最も高く46%だが、それを支える「マテリアリティ(重要課題)」を選択した割合は21%にとどまる
・脱炭素の観点で気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応は規模の大きい企業を中心に進むが、規制が自社に与える複数シナリオ分析までは進んでいない
・業界ごとに事業戦略は大きく異なるが、消費者により近い業界ではESGに対応した「コア事業の高度化」に注力
・ESGを踏まえた企業価値を高めるための今後の課題として、52%は「社会的責任と経済的成果の調和」をより重視
・企業価値を大きく左右させるステークホルダーは、「従業員」が84%と最も高い回答
「KPMGジャパン CFOサーベイ COVID-19特別版」を発表  -コロナ禍における上場企業560社のCFOに意識調査を実施-

電通・電通総研

・企業のソーシャルグッド活動に対する評価5項目は、5カ国平均が全て60%以上とポジティブな反応。
・日本は他国に比べ反応が低めで、特に「社会をよくする企業・ブランドの商品を購入する」と「環境負荷の低い商品や、フェアトレード商品は多少高くても選ぶ」が低い。
遅れをとる日本のソーシャルグッド意識をけん引するのは、SNS投稿頻度が高い層

ニッセイ基礎研究所

・新型コロナウィルス感染症拡大によって企業のメセナ活動に「大いに影響がある」が54.8%、「やや影響がある」が17.9%で、影響がある(大いに影響がある+やや影響がある)回答は72.6%となっている。
・新型コロナウィルス感染症の拡大で、芸術文化活動にかかわる個人・組織への金銭的支援や活動再開に対する支援について「とても必要だと思う」が59.5%、「まあ必要だと思う」が36.9%で、必要だと思う(とても必要だと思う+まあ必要だと思う)回答は96.4%となっている。
・コロナ禍が過ぎた後、文化芸術の社会的な役割や存在価値がこれまで以上に高まると思うかを聞いたところ、「まあそう思う」が41.7%、「とてもそう思う」が34.5%で、肯定的な意見(とてもそう思う+まあそう思う)が76.2%となっている。
新型コロナウィルス感染症による企業メセナ活動への影響に関するアンケート調査結果

Unipos

・経営者・役員の91.9%が、コロナ危機を経て⻑期的に企業を成⻑させる社会貢献活動に取り組みたいと考えている
・経営者・役員の58.7%が新型コロナ対策に寄付・支援活動を行なっている
・新型コロナ対策に寄付・支援活動を行なっている企業・ブランドに「とても好感が持てる」「どちらかというと好感が持てる」と回答した一般社員は88.1%
新型コロナ対策への寄付・支援活動を行なった企業の 一般社員の87.4%がエンゲージメントが高い ーSDGsを認知する経営者200名に聞いた社会貢献活動⼀番のハードルは「従業員への理解浸透」ー

DISCO

・就職活動を終了した学生に、就職先企業に決めた理由を、30項目の選択肢の中から5つまで選んでもらった。最もポイントを集めたのは、「社会貢献度が高い」(30.0%)。学生が就職先企業を選ぶ上で、仕事を通じた社会貢献を重視していることが表れている。
・社会貢献度を判断する要素として最も多くの学生が挙げたのは「企業理念」で、52.9%と半数を超える。次いで「ビジネスモデル」(44.2%)、「従業員に対する姿勢」(39.6%)、「顧客/消費者に対する姿勢」(37.9%)、が、4割前後で続く。
・情報源(調べる手段)としては、「採用ホームページ・採用パンフレット」が7割強(72.3%)で最も多く、次いで「企業ホームページ」が6割強(62.1%)、「会社説明会・セミナー・インターンシップ」、「社員との会話」がそれぞれ 5 割弱で続く(48.9%、45.1%)。
就活生の企業選びとSDGs(持続可能な開発目標)に関する調査(2020年8月)

アイブリッジ

・『フェアトレード』という言葉を知っている人にフェアトレード商品の購入経験を聞いたところ、『はい(36.6%)』より『いいえ(63.4%)』の方が多い
・買いものをする時に重視していることを3つ聞いたところ、『価格(72.7%)』が最も多く、『品質・味など(71.4%)』『国産であること(36.3%)』『メーカー・ブランド(28.8%)』『評判・口コミなど(23.6%)』と続く結果となりました。
・どのような企業に対して好感を持つかについて聞いてみると、『消費者に良質な製品/サービスを提供している企業(48.4%)』と回答した人が最も多く、『消費者に安い製品/サービスを提供している企業(39.9%)』『従業員を大切にしている企業(35.2%)』『生産者や労働者の生活に配慮している企業(34.3%)』『環境に配慮している企業(31.3%)』と続く結果となりました。
【倫理的(エシカル)消費に関するアンケート】20代が最も「倫理的(エシカル)消費」の認知率が高い!

WWD(1)

アパレルブランドのエシカル度(倫理的かどうか)の比較サイトを運営するコンペア・エシックス(COMPARE ETHICS)の調査によれば、“サステナブルな商品を扱っている”というブランドの説明を信頼すると答えたのは、回答者の20%にすぎなかったという。
「サステナに取り組んでいる」という企業の説明を信じる人はたった20% 英比較サイトの調査

WWD(2)

・86%の人が「誰もがサステナビリティに取り組むべきだ」と回答。一方で、48%が「サステナブルな服をどこで買えばいいのか分からない」と答え、42%が「どういう服がサステナブルなのかが分からない」としている。
・55%の人はアパレル企業に対して「自社製品が他社と比べてよりサステナブルな理由を分かりやすく説明してほしい」と考えており、38%は「より分かりやすい情報があればサステナブルな服を買う」としている。
アパレルブランドは信用できない? サステナに関する米消費者アンケート

ブランド総合研究所

「社会貢献活動をしている企業ランキング」1位には、トヨタ自動車が選ばれた。同社に「社会貢献活動をしている」というイメージを持つ人は、全体の13.9%に上っている。2位はクボタ(13.4%)、3位はサントリー(12.6%)、4位はイオン(12.6%)、5位は日本マクドナルド(12.6%)となった。
社会貢献活動に熱心なイメージが強い企業ランキング!2位クボタ、1位は?

旭硝子財団

・新型コロナ流行後「環境問題への意識や行動に前向きな変化」約4割。食品ロス削減や省エネなど、生活全般で意識や行動が高まった。一方、自粛生活により家庭ごみや電力量は増加傾向に。
・日本国内の環境問題で危機的だと思うのは、1位「気候変動」、2位「環境汚染」、3位「社会、経済と環境、政策、施策」。1位の主な理由は、豪雨災害や気温上昇など異常気象を実感するから。
2020年(第1回) 日本人の環境危機意識調査 結果発表

豊島

・約74%の消費者が、サステナブルファッションを取り入れたいと感じている。
・ファッションに関する社会課題のなかで最も重要視されているのは「労働環境・賃金問題」。
・ファッション製品におけるトレーサビリティの取り組みには約90%とほとんどの人が共感。
ファッション製品におけるトレーサビリティーに約90%が共感!70%以上の人がサステナブルファッションを取り入れたい。社会貢献を意識する20‐30代男女の割合は1年間で約10%上昇

リクルート

・コロナ禍での飲食店への「応援消費」経験者は30.7%、生産者への「応援消費」 経験者は23.3%
・きっかけは「テレビ等マスメディアから情報を得た」48.7% 、動機は「消費者にもメリットのある価格」42.0%
飲食店や生産者の支援が目的「応援消費」の意識・実態を調査

雑感

去年後半から今年前半くらいの意識調査です。関係者ではあれば「まぁそうだろうね」という数値も多かったのではないでしょうか。2020年の最初からコロナ禍となったわけですが、社会も企業も大きな影響を受けており、苦しい思いをしている人たちをサポートしようという気持ちから、支援行動をしている消費者も一定数いますが、首都圏では緊急事態宣言にも慣れてしまい、少し“中だるみ”のフェーズに入ったようにも思います。本当に、みなさん、支援のモチベーションを保ち続けられるのでしょうか。ちなみに東日本大震災も、社会貢献的な行動は確か2年ぐらいでかなり下火になっていた気がします。

他にはZ世代や若者(就活生)を対象とした調査もありました。確かに若者は気候変動とか社会的なイシューに関して興味ある人は他の世代より多いです。(とはいえそこまで興味がない人が過半数なのはどの世代も同じ)これは年配者でも同じで、結局、自分が関わる課題(身近な問題)には関心高いのですね。そのため10代の活動家の方はほとんどが環境関連です。

こうやっていくつかの調査を見てみると、企業経営でも個人行動でも「昔はOKでも今はNG」というものは想像していた以上に多く、何が正解かは時代によって変わることを理解できます。“常識”を常にアップデートし続けていくことの必要性を痛感しました。

あと、なぜ、今の若い人はサステナビリティやSDGsを知っているか。これは「学校で教わった」という例が多いと聞きます。今の40歳以上より、10代のほうが認知度高いでしょうね。今は義務教育でも教える時代ですから。私の子どもも幼稚園や塾からのお手紙にSDGsのコンテンツが入るくらい。3歳からSDGsとはビビります。幼稚園児向け雑誌でも、キティちゃんがSDGsを語る時代ですからね。ほんとすごい時代になったものです。

まとめ

20以上のサステナビリティ関連の意識調査を紹介しました。企業行動より個人のものが多かったですが、あなたのイメージ通りでしたでしょうか、それともイメージと違う実態を確認できたでしょうか。

企業担当者は社内向けの企画書のネタに、コンサルタントは業務提案書のネタに、これらの意識調査を使ってみてください。

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