コーズマーケティング戦略
あなたはファースフードはよく食べるほうですか?
2010年にKFCを運営するヤムブランズが実施した社会貢献キャンペーン、“Buckets for the Cure”の失敗から学んでいきましょう。
“Buckets for the Cure”とは、乳がんの啓発と850万円の寄付獲得を目的とし、スーザン G. コメン・フォー・ザ・キュア(Susan G. Komen for the Cure)に対して、フライドチキンの売上と連動して、1セット当たり50セントを寄付するというもの。
これが批判の対象になるとは、企画当初は思ってもいなかったのでしょう。以下詳細を解説いたします。
コーズマーケティング事例の3つの教訓
KFCの失敗から学ばせてもらいましょう。コーズマーケティング戦略の3つの教訓をまとめました。
1、コーズの選定
東日本大震災が起こる前からコーズは飽和してきたと言われています。
社会貢献、国際貢献においてもメガトレンドと呼ばれる流行があります。海外支援なら東南アジアより南アフリカのほうが人気といった具合。
しかし、流行のコーズに乗ったからといって良いとは限りません。今月は乳がん啓発のピンクリボン運動の強化月間。KFCのキャンペーン同様のコーズのキャンペーン期間ですね。
しかし、大きな流れだからといって、どの会社も賛同すべきとはいかないのです。KFCの高脂肪なフライドチキンが肥満を引き起こす原因の一つであり、さらにはその肥満が乳がんと関係性があると社会的に批判されたことがあるのです。
多くの人に賛同されないコーズでキャンペーンを訴求しても、コーズマーケティングはおろか、批判の対象となってしまうでしょう。
加えて、飲食系企業が、乳がん啓発をする理由はなんなのでしょうか?飲食系なのであれば、本業の領域である、食や農、飢餓撲滅などになぜフォーカスしなかったのでしょうか?
コーズの選定様々な意味でとても重要なことです。ゴール(目標)を間違えれば、結果も間違える(失敗する)可能性が高いですよね。
参照:ピンクリボン運動NPO法人J.POSH
2、協業するNPO側の認識
自社のメイン商品が訴求するコーズに対して、負の効果をもたらす可能性があるとしたら?
協業するNPOには責任がなかったのでしょうか?リサーチすればわかっていたであろうことです。
どのような経緯でこのキャンペーンが組まれたかは知りませんが、企業のコーズ選定にも協業するのであれば責任を持つべきです。
組んではいけない企業、もしくは業界というのも現実的に考えるべきです。NPOにとって、企業の善意の申し出を断るのは忍びないですが、ミッションを達成するために、キャンペーンの負の側面を今一度見直すべきなのかもしれません。
3、徹底した消費者調査
リサーチはとても重要です。
「これは社会の役に立つだろう!」という自分だけの“正義”が、自分以外の多くの人の“正義”であるかは別問題です。社会的課題を観察・分析することが大切で、日々の生活に困った人は、どこの、誰で、何を提供し、どれだけの課題解決ができるのか。
ロジックを整理し組み立てないと、今回のKFCのように、「良い事」をしたつもりが逆効果になったということも数多く起きてしまうのです。
まとめ
企業にとって、コーズ(解決すべき社会的課題)とは、世間で流行っているものだけではないはずです。
たしかにインパクトを考えれば、大きなキャンペーンに参画したほうがよいでしょう。難しいですが、上辺だけで消費者を騙せる時代は終わったのです。
KFCを運営する、ヤムブランズはこの一件より、毎年行う飢餓撲滅キャンペーンの寄付方法を変更したらしいです。ファーストフード業界は健康を訴える団体との戦いがよく話題になりますが、業界の企業のCSR活動には今後注目です。そういや、学生時代はよくKFCに行っていたなぁ…。
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必読:Susan G. Komen Buckets for the Cure program exposed: The buckets you buy make no differenceLearn more(英語)
参照:コーズ・マーケティングの失敗から学ぶKFCの寄付獲得戦略