SDGs経営調査

日経|SDGs経営調査

昨日、日経から「SDGs経営調査」の結果が発表されていたのでシェアします。

SDGs経営調査とは、今回、初めて実施。事業を通じてSDGsに貢献し、企業価値向上につなげる取り組みをSDGs経営と定義。「SDGs戦略・経済価値」「環境価値」「社会価値」「ガバナンス」の4つの視点で評価。国内の上場企業と従業員100人以上の非上場企業が対象で回答は637社(うち上場企業601社)。

質問票をみると、東洋経済の調査みたいに、結構細かい質問も多く回答時間は結構かかりそうでした。実際に回答された方にも聞きましたが、結構大変だったとのこと。以下では、上位企業と、回答の一部が公開されていたので、まとめます。

総合格付け上位34社

■偏差値70以上
キリンホールディングス(HD)、コニカミノルタ、リコー

■偏差値65以上70未満
アサヒグループHD、アンリツ、イオン、エーザイ、MS&ADインシュアランスグループHD、小野薬品工業、オムロン、花王、コマツ、サントリーHD、資生堂、清水建設、セイコーエプソン、積水ハウス、セブン&アイHD、ソニー、SOMPO HD、第一三共、ダイキン工業、大日本印刷、大和ハウス工業、東京海上HD、東芝、TOTO、日本たばこ産業、パナソニック、富士フィルムHD、ブリヂストン、丸井グループ、三菱ケミカルHD、ユニ・チャーム

追記:2019年12月7日

■日経SDGs経営大賞2019
大賞:コニカミノルタ
SDGs戦略・経済価値賞:オムロン
社会価値賞:イオン
環境価値賞:リコー

調査解説

・SDGsと事業の関連については「新規事業の創出に組み込んでいる」が33.6%に上った。また6割の企業が中長期経営計画にSDGsを織り込んでいると回答した。
・中長期経営計画で掲げているSDGsの目標で最も多いのは「気候変動への対応」(53.4%)。「働きがいと経済成長」(50.4%)、「製造と消費の責任」(48%)が続いた。二酸化炭素(CO2)排出削減や働き方改革、サプライチェーン(供給網)を重視する姿勢が表れている。
・今回の調査ではSDGsへの貢献における課題についても聞いた。「経営層も一般社員もSDGsを理解し行動すること」が66.2%と最多。SDGs経営の社内への浸透が不十分だと考えている企業は多いようだ。
「課題解決力」収益けん引 SDGs、経営反映6割

昨今のグローバルな流れでも、ESG/SDGsは完全に気候変動問題がホットトピックスです。次は人権問題を含む労働問題(ワークライフバランス、ディーセントワーク)あたりなので、順当な結果ではあったかなと。「中長期経営計画で掲げているSDGsの目標」の上位2つは予想的中。3番目に「製造と消費の責任」がくるとは思いませんでした。まぁ、日頃から言っている通り、CSRはサプライチェーンマネジメントが本丸なので、まったく予想外というものでもないかもしれません。

また「SDGsの社内浸透」に課題を感じている企業が多かったようです。SDGsがなぜ社内に浸透しないかは、散々当ブログでお伝えしていますので、継続読者であればこちらも想定内の範囲と言えるでしょう。

所感

日本でのCSR/サステナビリティ総合評価は東洋経済新報社の調査だけでしたが、日経は「SDGs経営調査」で、SDGsに寄せる形でESGとCSRの中間みたいな総合調査を今回からスタートしています。今回は初回ということで600社程度の回答だったようで、まずまずというイメージです。大抵のCSR関連調査は母数が数百社ですからね。そんな数で日本企業の方向性がわかるわけないと思うのですが、さすが日経は初回から500社を超えてきました。上場企業の経営層は日経新聞を読んでいる人も多いだろうし、来年はトップダウン(鶴の一声ともいう)で回答数が増える可能性大です。

評価フレームワークを、ESGとトリプルボトムラインのマッシュアップ・スタイルできたのはよいですね。SDGsはトリプルボトムラインなので、ESG文脈だけだと総合的には評価できないので。

ESG情報開示(インデックス/イニシアティブ対応)のコンサル会社の多くは、日経と東洋経済の総合CSR調査を全面否定していますが(やる意味がないと)、国内ステークホルダー向けの総合評価ということで、もう少し評価してもいいと思いますけどね。これらの評価が高くても海外での評価は上がりませんが国内では影響力ありますので。

IR的には海外のESGインデックス(ESG評価)のほうが重要だと思いますが、最近のCSR活動は投資家目線が重要しされすぎて、従業員へのメリットのないCSR活動や情報開示が増えています。あなたたちはどこ向いて仕事してるのよ、と。社内浸透が進まないっていますが、SDGsを推進することでそもそも従業員にメリットはありますでしょうか。インセンティブもない、メリットもない、そんな状態で社内浸透できると思っていたのが衝撃ですよ。

まとめ

まだ1年目なので比較対象がないのでなんとも言えない側面もありますが、第2回は何の調査でも真価が問われるフェーズです。来年がここから一気に変わるのか、既定路線でいくのか、その動向すべてが注目でございます。回答しないとしても、CSR担当者は一応質問項目等を確認いただいたほうがよろしいかと思います。詳細の分析ができたらどこかで記事にしたいと思います。

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