CSRランキング2019

本日発売された『週刊東洋経済 2019年2/16号』で、東洋経済新報社の最新版「CSR企業ランキング2019」が発表されたのでシェアさせていただきます。

「CSR企業ランキング」とは、東洋経済新報社が2007年から行っている「CSR企業調査」のデータを元に財務・非財務の両面を評価した、国内唯一のCSR/ESG総合評価企業ランキングです。調査自体は2005年から実施されています。この東洋経済の調査データは様々なCSR/ESG評価機関等でも活用されており、直接的な影響力もさることながら、間接的にも大きな影響力のある国内最大の調査・ランキングの一つとなっています。

雑誌では詳しいランキングが載ってますので急ぎで確認したい方はそちらでどうぞ。例年通りだと数ヶ月後にウェブサイトでも開示されると思います。

※2019年6月17日追記:東洋経済オンラインでも発表されました → 最新版!「CSR企業ランキング」トップ500社

CSR企業ランキング2019


1、NTTドコモ(2018年の順位、1位)
2、KDDI(2)
3、花王(5)
4、ブリヂストン(3)
5、富士フィルムホールディングス(6)
6、コマツ(4)
7、富士ゼロックス(8)
8、ダイキン工業(8)
9、デンソー(7)
10、旭化成(15)
11、日本電信電話(17)
12、クボタ(11)
13、キヤノン(10)
14、積水ハウス(12)
14、セイコーエプソン(16)
16、三菱電機(25)
17、セブン&アイ・ホールディングス(22)
17、JT(56)
19、トヨタ自動車(33)
20、村田製作所(18)
21、大阪ガス(20)
21、マツダ(28)
23、富士通(39)
24、NEC(13)
25、オムロン(23)
26、東京ガス(24)
27、リコー(21)
28、ヤフー(99)
29、アサヒグループホールディングス(18)
30、帝人(52)

所感

1位は、NTTドコモ。2年連続3回目のトップ。これはさすがですね。ここ数年の外部評価への対応も申し分なく国内トップです。ESGレーティングも高いですよね。2位は、KDDI。総合力は抜群に高いのですが、評価カテゴリでトップ3以内のものはなく2年連続の2位。しかし、国内ではトップオブトップであることには変わりありません。3位は、花王。2位のKDDIに0.3ポイントという僅差での3位。これは誤差レベルですよね。花王は国際的な評価も高いCSR/ESGトップクラスの企業。メディアでも去年は花王のCSR/ESGの話題を見ることが多く、当たり前ですが、全社的な取り組みが遅れて評価に現れた感じでしょうか。さすがです。

今年のランキング上位企業は上記の企業でした。東洋経済の評価は網羅的であり、そう簡単に順位の入れ替えはないのですが、ちゃんとリソースを投下して活動をしてきた企業が順当に上位にきている印象です。最近の傾向でいえば、東洋経済CSR調査で100位までに入ってくる企業は正真正銘のCSR先進企業とも言えます。この100位以内を目標としている企業も増えている印象ですが、5年前ならまだしも100位圏外から一気にジャンプアップできるほど簡単な壁でなくなっています。つまり、リソース(ヒト・モノ・カネ)をそれなりにかけていかないと、ここまでは到達できないよ、と。

あと、この30社のほとんどはCSR/ESGの専任担当の方とお話をさせていただいたことがありまして、みなさん単純に勉強熱心というか、やっぱり担当者のリテラシーレベルや行動力で、会社の評価が変わってしまうこともありますよね。東洋経済の調査はアンケート形式なので、「担当者の開示スキル + 会社の活動レベル」が評価に現れている気がします。(財務評価もあるのでCSRだけの評価ではないですが)

他に気になったのは、カテゴリ別でSOMPOホールディングスが今年も圧倒的に強かったことでしょうか。財務抜きでは、1位SOMPOホールディングス、2位丸井グループ、3位イオン、というランキング。CSR側面だけのランキングなのである意味、よりCSR的な実質的順位ではあります。この個別のランキングは、例年通りであれば、4月発売の「CSR企業白書」に掲載されると思います。総合順位とは違う、ガチンコCSR対決を制したESGランキングはこれはこれで興味深いです。

関連データ

■2018年のランキング

1、NTTドコモ(2017年の順位、4位)
2、KDDI(3)
3、ブリヂストン(2)
4、コマツ(4)
5、花王(9)
6、富士フィルムホールディングス(1)
7、デンソー(8)
8、富士ゼロックス(7)
8、ダイキン工業(15)
10、キヤノン(4)
11、クボタ(18)
12、積水ハウス(19)
13、NEC(13)
14、コニカミノルタ(12)
15、旭化成(61)
16、セイコーエプソン(29)
17、日本電信電話(39)
18、村田製作所(16)
18、アサヒグループホールディングス(20)
20、大阪ガス(22)

■過去のランキング

東洋経済CSRランキング2018
東洋経済CSRランキング2017
東洋経済CSRランキング2016
東洋経済CSRランキング2015
東洋経済CSRランキング2014
東洋経済CSRランキング2013
東洋経済CSRランキング2012
東洋経済CSRランキング2011
※東洋経済オンラインの該当ページに飛びます。

■関連書籍

まとめ

東洋経済新報社のCSR調査および格付けは、日本国内では圧倒的な知名度を誇るCSRランキングでもあります。CSRに少しでも関わる人は必ずチェックしておきたいところです。これらのランキングは、自社の順位で一喜一憂するものではなく、ベンチマークすべき上位企業を知るためのもの、という立ち位置がよろしいかと思います。

ただし、CSR/ESG総合評価では国内随一の情報量なのですが、グローバルなESG評価(投資インデックスなど)とは評価項目に差があるため、このランキングで評価されている企業がグローバルでも評価されるとは限りません。このあたりは、総合的な評価・ランキング対応戦略の元で管理されると良いでしょう。

当然、我々の勉強会「サステナビリティ評価研究会」でも、重要ベンチマークの一つとして、最新版調査の研究・分析をしていきます。その意図や対応する具体的なCSR活動についてなど、実務的な点で議論を進める予定です。ご興味がありましたらどうぞ。

>>サステナビリティ評価研究会