環境経営度調査
先日、日本経済新聞で「第22回環境経営度調査(2019)」が発表されましたのでシェアします。
「環境経営度調査」は企業の環境経営を総合的に分析し、温暖化ガスや廃棄物の低減などの環境対策と経営効率の向上をいかに両立しているか評価する調査です。環境対策と経営効率の向上の両立に取り組む企業を評価しランキングとして毎年発表されています。日本経済新聞社が1997年から年1回実施している、環境対策と経営効率の向上の両立に取り組む企業を評価する調査およびランキングであり、製造業と非製造業を分けて評価しています。
東洋経済新報社の「CSR企業調査」ほど、全方位な調査ではありませんが、老舗で日経ブランドの調査でもあり、環境部門だけではなく一部の企業にとってはCSR関係でも有名な調査および企業ランキングとなっています。
トップ10(2019年)
1、コニカミノルタ
2、キヤノン
3、豊田合成
4、大日本印刷
5、ホンダ
5、サントリーホールディングス
7、富士通
7、アサヒグループホールディングス
9、デンソー
9、YKK
9、パナソニック
9、ジェイテクト
トップ10(2018年)
1、キヤノン
2、コニカミノルタ
3、デンソー
4、ホンダ
5、トヨタ自動車
6、YKK
7、サントリーホールディングス
8、日産自動車
9、豊田自動織機
10、豊田合成
調査概要
企業が環境対策を経営と両立させる取り組みを評価する調査。日本経済新聞社が日経リサーチの協力を得て1997年に始めた。今回は上場と非上場の有力企業のうち、製造業1,731社、小売り・外食、電力・ガス業、建設業などの製造業以外の業種1,318社を対象に、2018年12月から19年3月に実施。599社から有効回答を得た。評価指標は製造業が(1)環境経営推進体制(2)汚染対策・生物多様性対応(3)資源循環(4)製品対策(5)温暖化対策――の5つ。スコア算出の際は、評価指標によって最高点が異なるため、最高を100、最低を10に変換。最高スコアを500とした。建設業は製造業に準じ5指標で評価し、非製造業、電力・ガス業は「製品対策」を除く4指標で評価している。
参考記事
・ランキング2018
・ランキング2017
・ランキング2016
・ランキング2015
所感
今年の1位はコニカミノルタということでおめでとうございます。昨年末のエコプロで、話を聞きましたが、日経新聞の記事でも触れられている「調達先の工場に出向き省エネを指南する」という、環境コンサル的なプログラムをかなりやっているようでした。
自社のCO2排出削減はある程度まで行えばそこから減らすのは困難です。しかし、社会全体でみれば、企業単体でどんなに環境効率が良くても、バリューチェーン全体ではどうしよもない環境対応具合であることもよくあります。そこで、取引先も顧客も巻き込んだ、理想的な環境の取り組みをしている、という話が増えてきています。その顕著な例がコニカミノルタです。エコプロではそれがグラフになってパネルに張り出されていました。
また、これもリリース記事でも触れられ、私も方々で発言していますが、数年前から同業者で資材共同運送も始まっており、人手不足解消や環境負荷低減など様々な成果が期待できるとか。社会問題解決という大義名分があっても、今までは競合との取り組みはほとんどありませんでしたが、言い訳している場合ではないくらい逼迫してきて、こういう動きが今後も様々な業界で進むと思われます。
テクノロジー云々がSDGsでも叫ばれますが、それ以前にちょっと勇気と根性があればできてしまう、しかも成果もそれなりに期待できるという、環境負荷低減プログラムはまだまだあります。今回の上位企業は、そういう意味では、より誠実に動き出した環境先進企業とも言えるのかもしれません。
環境経営度調査およびランキングの詳しい内容は日経新聞の該当記事をご覧いただきたいですが、回答企業(製造業360社)の49%(177社)がTCFDの財務影響分析に着手しているとのこと。TCFDの影響力は昨年と比較できないほど大きくなっていると感じていましたが、ここまでですか。未回答企業含めれば、まさにESG投資のメインターゲットとなる時価総額の高い300〜500社までは一気に広がっていきそうです。
まとめ
日経さんは書籍の名称が環境からESGに変わり、また例年1月ごろの発表だったので、この調査も時代の変化に合わせて終了もしくは改変するものだと思っていたら、このタイミングで発表されました。絶妙。
ただ、環境経営のアワードは数あれど、ランキングにする格付けって、この規模だと日経と東洋経済だけなんですよね。新規参入は今だにありませんし、将来的にもたぶんでてこないと思いますので、CSR担当者はこの調査をきちんとベンチマークしておきましょう。
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