SDGs事例
SDGsを経営戦略に組み込もうという企業も徐々に増えており、それらの情報が各種レポーティングで開示されるようになってきました。
「SDGsを戦略に組み込む」というフェーズまでは、意味があるかないか別として、CSRに力を入れているそこそこの企業は対応してきています。しかし、CSVの時もありましたが問題は「成果」です。昨今のCSRは戦略が重視されがちですが、成果がなければ意味がありません。戦略の有無ではなく“その戦略が正しいのかどうか”が問われているのです。
日本は、情報開示/レポーティングだけうまい企業が多くて困ったものです。高いレベルで実行できているのは、国内では数十社程度でしょうか。
さて、というわけで本記事では、一例としてSDGsからのCSR活動でこういう点にフォーカスすると成果・価値の創出がスムーズに行える可能性が高いですよ、という視点をまとめます。基礎中の基礎ではありますが、ご参考までに。エビデンスは、ここ数年の各種調査と私自身のヒアリング結果です。
具体的な6つのCSR活動事例
1、目標を明確にする
SDGsへの貢献は、すべてのステークホルダーの間で共有される国際的な価値観です。SDGsを推進することは、ビジネスモデルが内包する社会課題への対応を意味し、中長期にわたるビジネスリスクから企業を守りうるのです。SDGs達成に向けたCSR活動を最終的に実践するには、対応の目的を基幹事業と関連づける必要があります。逆にいえば、ビジネスモデルとSDGsの接点が見つけられない限り、SDGsに貢献する意義や意味は見出せないでしょう。
2、バウンダリ特定
企業にとって重要な行動は、SDGs達成を直接的および間接的に基幹事業とどのように関連づけるかを特定することです。いわゆる「バウンダリ特定(事業影響範囲の特定)」です。ステークホルダーとより良い形でエンゲージメントをするには、企業が戦略的なSDGsへのアプローチを実行し企業の優先順位と関連するSDGsを合致させる必要があります。極論、マテリアリティ項目のターゲットやKPIが、SDGsと合致している必要があるということです。
3、リスクと機会の特定
「リスクと機会」の両面から、基幹事業において中長期的に最大のインパクトを持つSDGs項目を特定します。そして、企業がその目標に向けて貢献できる最大の成果創出ができる箇所を特定するのです。ここが見つけれなければ、そもそも御社は“社会に必要ない存在(あってもなくてもどちらでも良い)”になってしまいます。バリューチェーンにおける関係性を調査するのが、良い方法の一つでしょう。
4、マテリアリティとKPIの策定
SDGsには具体的でグローバルなターゲットがあります。企業が自社でマテリアリティを定め、SDGsとの整合性のある戦略について検討し始めるには、目標とKPIと必要です。CSR活動においては、マテリアリティ設定とKPI設定は本来はセットでまとめるべきものなので、違和感がある人はいないと思いますが…実際はできていない企業が多いので注意が必要です。特に、中には2020年がゴールになっているターゲットもあるので、早めに確認したほうがいいでしょう。マネジメントするためにPDCAをまわし、実践と検証を繰り返しながら、バウンダリやマテリアリティ、そしてSDGsに関連づけられた目標への取り組みの進捗について、説明責任を果たしていきましょう。
5、コミュニティでの連携
非営利組織、政府、自治体、同業他社、顧客、サプライヤー、学界、など異なる業界やセクターであっても、共同でSDGs達成に向けたメリットや機会を見いだすことも重要です。SDGsは企業が1社で解決できるようなものではないからです。自社のメリットだけ動く企業ではSDGsに貢献することは不可能です。SDGsの達成へ向けた取り組みや、実際の成果(アウトカム、インパクト)を創出するために、様々なステークホルダーとのパートナーシップは重要な選択となるでしょう。
6、成果の評価方法
SDGs達成に向けた自社の成果を評価するため、経営戦略やCSR関連の情報開示内容をSDGsの用語や考え方に合わせる必要があります。国内外のステークホルダー間での共通言語によるエンゲージメントを促すために、日々の意思決定にSDGの考え方を組み入れることで、すべてのビジネスモデルがSDGsに貢献することになります。そうすれば、日々のビジネスのPDCAが自ずとSDGsへの貢献となっていきます。
まとめ
制度が社会を変えるのではなく、ひとつひとつの企業の考え方が変化した結果、社会構造が変化しそれに合わせて制度が整備されるのだと考えています。社会を良くしたいのであれば、法律になったら対応するとか後手後手の発想はそもそも生まれないはずです。
今企業に求められているのは、戦略ではなく行動です。戦略構築はアウトソースできますが、行動自体はアウトソースできません。(してもいいけどすると組織の存在意義がなくるよ)
上記の6つの視点を参考にしてください。御社のSDGs推進のヒントに幸いです。
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