幸せの実態と、その先

あなたは幸せですか?
そして、あなたの会社は、人々に幸せを提供できていますか?

消費者市民社会に向けた、消費者・生活者の役割と課題(PDF)|内閣府

豊かさと生活満足度には相関がない、
豊かさと幸福度には相関がない、
所得の格差と幸福度には相関がない、
ということが内閣府の調査で指摘されています。

つまり、幸せになりたいのであれば、
豊かさを求めてはいけないということです。

なんかそういうと何かの宗教みたいですが、そうではなく、
ロハスやオーガニックなどのライフスタイルはまさに、
幸福のパラドックスを回避するためのものにも思います。

今回は、「幸せのパラドックス」から、
幸せとは何か、CSRマーケティングにおける幸せは成立するのかを考えます。

幸福のパラドックス

まずは、幸福のパラドックスについて簡単に解説を。

経済成長が人々の幸せに結び付いていないという、
「幸福のパラドックス(paradoxes of happiness)」
が明示的に議論されるようになったのは、
1971年にブリックマンとキャンベル の二人の心理学者によって、
所得や富といった生活の客観的状況を良くすることは、
個人の幸福に何も影響していないという結論を示してから。

「イースターリンのパラドックス」と も言われているが、
イースターリンが1974年に所得との関係を詳細に分析し、
一国内では所得の高い人が幸福度が高いという相関が見られるにもかかわらず、
国際比較では少なくとも先進国間では一国の所得水準と幸福度の平均値に相関がないことを示した。

その後、このパラドックスを解く「幸福の経済学」という分野が生まれ、
年齢、失業、家族形態、ソーシャ ルキャピタルといった要因について実証分析が行われてきた。

所得についても、絶対的な所得よりもむしろ他人の所得との相対関係が、
幸福度に影響しているとの報告がされている。

また行動経済学でノーベル賞を得たカーネマンは、
脳の活動で幸福度を測る実験や生活の質、満足度と健康との相関関係を研究している、
とのことです。

幸せの3大要因

では、本題の幸福とはどんなものなのか解説します。

心理学者のソニア・リュボミラスキー著書の“幸せでいるための12の行動習慣”の中で、
人の幸福に貢献する3つの要因は、
「遺伝(50%)」「置かれた状況(10%)」
「意図的な活動(40%)」だとしています。

遺伝。
一人ひとりの中には、生まれつき備わっている幸福感があります。
これは、何もしない時に感じる幸福感と言ってもいいかもしれません。

状況。
置かれた状況とは、財産がある、結婚している、社会的地位があるなど、
記録として残る客観的な事実のことです。
これらは一般的に、その人の幸福度に大いに貢献するものであると考えられがちです。
しかし、これらが人の幸福に貢献する割合は、わずか10%です。

意図的な活動。
「意図的な活動」とは、「行う必要はないけど行う(行っている)活動」と言い換えてもいいかもしれません。
皆さんも、趣味やレクリエーションやボランティア活動などを通して、
誰かに強制されているわけではないけれど、自分から積極的に何かの活動を行っているかと思います。

つまり、何が言いたいかというと、
幸福は自らの意思で作れるものであるということです。
場合によっては、たった数分で1円もかけずに、です。

マーケティングとするならば、現状のライフスタイルに訴求しても、
ほとんど効果を上げられないでしょう。

それより、社会貢献活動などに、どこまで顧客・従業員を始めとする、
ステークホルダーを巻き込めるかが重要になってきますね。

「意図的な活動」を引き出す仕組みができれば、
ステークホルダーにより幸福感を与える=満足感が与えられるでしょう。

共感マーケティング(CSRマーケティング)としては、モノを売るのではなく、
コミュニティを作っていく、というイメージなのかもしれません。

幸福論的CSRマーケティングの5つの特徴

個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する、
ポジティブ心理学の生みの親とも言われるマーティン・セグリマン氏。

彼は、幸せで意義ある人生を送っている人の特徴を5つ挙げています。

1、自分の過去、現在、未来をポジティブに捉えている
2、自分の中で完結しない人生の大きな目的や意味を認識している
3、身近な人(家族、友達、恋人・配偶者など)との信頼関係がある
4、社会的・人間的なつながりが豊か
5、社会・人間との関わりや、様々な活動に参加することを楽しんでいる

なんとなく、わかりますね。
最近の幸福論では、「人生の意義(大義)を持つ事」が幸福感をもたらす、
最も大事な事の一つという主張もあります。

前置きが長くなりましたが(笑)、CSRマーケティングって、
幸福論そのものなのではないか、と考えています。

つまり上記の5つの項目を与えられるようなマーケティング施策をすればいいだけ。

A、ポジティブな情報をつきつめるコミュニケーションをする
B、ストーリーを語り、未来に夢を描くマーケティング・プランを作る
C、情報開示を積極的に進め、信頼獲得を目指す
D、ネットワーキングを進められる、コミュニティ・ベースを作る
E、CSR(社会貢献関連)のイベントを行う

A〜Eまでの大枠がマーケティング施策のヒントです。
このように進めれば、
ステークホルダーにより幸福感を与える=満足感が与えられるでしょう。

リピーターを増やすには、商品・サービス提供時の満足感が重要。
満足感≒幸福感でありますので、ここらのポイントを一度整理し、
マーケティング・プランを構築していって下さい。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

共感マーケティングとか、感情マーケティングというものは、
CSRマーケティングと重なる部分も多いと考えています。

世界が大きく変化している中で、マーケティングの方法論も大きく変わろうとしてます。

共感、感情、その先にある“幸福感”を一つのティッピングポイントとして、
企業も顧客も社会も幸福になれる事業展開をしてくれる会社が、
一社でも増えてくれれば僕の幸福感(達成感)がMAXになりますけどね。

[平成20年 国民生活白書(内閣府)]

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