今年の健康経営銘柄は?

今年も発表された「健康経営銘柄」。東京証券取引所と経済産業省による、健康経営を実践する企業のインデックスです。

2015年のメンタルヘルス法制化、女性活躍推進法を含めて、従業員への非財務的アプローチ、つまりエンゲージメントとプロセス・マネジメントが重要になってきています。

特にCSR領域では注目度も高いところですので、概要くらいは確実におさえておきましょう。昨年のまとめ記事は以下からどうぞ。

社員が健康だと、企業も健康になれるのか!? 経産省・東証「健康経営銘柄」(2015)

健康経営銘柄2016

「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考えて、戦略的に実践することです。「健康経営銘柄」は、健康経営に取り組むことで、従業員の活力向上や生産性の向上等、組織の活性化、中長期的な業績・企業価値の向上を実現し、そこに投資家からの理解と評価が得られることを期待して実施するものです。
「健康経営銘柄2016」選定企業25社を発表しました!

「健康経営銘柄2016」選定企業は25銘柄となっております。今回のインデックスは以下の企業です。25社中、11社が初選出です。

住友林業、ネクスト、アサヒグループホールディングス、ローソン、ワコールホールディングス、花王、塩野義製薬、テルモ、コニカミノルタ、東燃ゼネラル石油、ブリヂストン、TOTO、神戸製鋼所、リンナイ、川崎重工業、IHI、トッパン・フォームズ、伊藤忠商事、リコーリース、大和証券グループ本社、東京海上ホールディングス、フジ住宅、東京急行電鉄、日本航空、SCSK

各種CSRランキングでも見かける企業が多いですね。ちなみに、今年残念ならがはずれてしまった企業は、東レ、ロート製薬、アシックス、広島ガス、丸紅、三菱UFJフィナンシャル・グループ、第一生命保険、リンクアンドモチベーションなどです。CSR的には実力がある企業が多いと思いますので、2017年はぜひリベンジしていただきたいと、第三者として勝手に思っております。

あと、健康家家銘柄は、1業種1社で特定業種の偏りがなくフェアなインデックスかと思われます。

従業員へのアプローチ具体例

ストレスチェック義務化に対応するにあたり、懸念している点を聞いたところ、「ストレスチェック実施後のフォロー体制」(42.3%)が最も多く、以下「規程の整備」(35.8%)、「高ストレス者への対応」(34.4%)、「担当者の業務負荷増大」(30.9%)、「医師面談の実施」(28.1%)が続いた。
義務化されたストレスチェック、実施はいつごろ? 企業は「実施後のフォロー体制」「高ストレス者への対応」などを懸念

記事によれば、2015年施行の労働安全衛生法改正により、企業は毎年1回ストレスチェック実施が義務づけられており、様々な懸念点が生まれているとのこと。健康経営の実施フェーズに関する課題というところでしょうか。人事・総務などの部門が対応するのでしょうが、情報開示項目としてはCSR担当者が色々考えなければいけない部分も多いと思います。

番組コメンテーターの熊谷亮丸氏が所属する大和証券グループも、2年連続で選定されている。熊谷氏によると、昨年から全社員の健康に責任を持つ最高健康責任者「CHO(チーフ・ヘルス・オフィサー)」を設け、45歳以上の社員には研修のプログラムを作っている。
社員の健康に投資する「健康経営銘柄」に注目集まる 最高健康責任者(CHO)を置く会社も登場

CHOの登場ですか。CSO(チーフ・サスティナビリティ・オフィサー)よりは流行りそうですね。非財務領域では、従業員の健康パフォーマンスは一番業績に反映されそうだし、最高責任者でなくても、担当役員くらいはつくるべきなのかもしれません。

まとめ

従業員のヘルスケアが経営戦略となる日が来ると思わなかった人のほうが多いでしょう。

しかし、CSRを少しでも知っていれば、企業にとって間違いなく重要な従業員というステークホルダーのマネジメントということで、ドラッカー風にいうところの“すでに起こった未来”であると理解できていたでしょう。

健康経営銘柄だから投資するよ!と、そこまで投資サイドへのアピールにはならないと思いますが、IR担当者は今後、より非財務情報の開示と改善アクションに関与せざるをえなくなるでしょう。

総合的な視点を持てるCSR担当者は、IR・広報・経営企画などの担当者と密接なコミュニケーションを取って、企業価値向上につながるCSR活動を進めていきくべきなのかもしれませんね。

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