CSR健康経営

「健康経営」で企業価値向上へ

昨今、CSR領域でもステークホルダーとしての従業員に配慮しようという動きがでています。その中でも今注目されているのが「健康経営」です。

健康経営とは、経営者が従業員とコミュニケーションを密に図り、従業員の健康に配慮した企業を戦略的に創造することによって、組織の健康と健全な経営を維持していくこと、です。

不健康な従業員より、健康的な従業員のほうが、業務パフォーマンスが高く業績貢献度が高いことに、反論がある人はいないでしょう。というわけで、最新の動向と事例をまとめます。

※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

健康経営の実質的効果

健康管理アドバイザー制度

政府は来年度、経営的視点から従業員の健康管理を実践する「健康経営」を中小企業に普及させるため、「健康管理アドバイザー制度」を創設する。このほど経済産業省や厚生労働省、東京商工会議所などによる協議会を設置し、制度内容の検討を開始した。東商において、講座を修了した社会保険労務士などを同アドバイザーの有資格者として認証する方向だ。
健康経営推進にアドバイザー制創設へ――経産省などが協議会

資格制はメリットもデメリットもあると思いますが、まずは政府が本気で動き始めたよアピールにはいいのかもしれません。ただ、認定がどこまで企業に影響を与えるか未知数すぎるので、あたたかく見守っていきましょう。

KENKO企業会

テルモやNTTドコモなどの企業14社が6月22日に、「KENKO企業会」を設立したことを発表した。同会は、社員だけでなく、その家族も含めた約30万人の健康増進を目指すヴァーチャル健康コミュニティだとしている。同会は、会員各企業がボランティアベースで集い、それぞれの健康管理プログラムやノウハウの共有を行ったり、新しいアイディアを出し合うなど、相互のベンチマーキングを通じてレベルアップを図ることを目的としている。
テルモなど14社が、社員と家族の健康増進を目指す「KENKO企業会」設立

KENKO企業会 設立趣意書」によれば、設立メンバー企業は、ABC Cooking Studio、NTTドコモ、オムロンヘルスケア、協和発酵キリン株式会社、グリーンハウス、第一生命保険、大日本印刷
、タニタ、帝人、テルモ、ニトリホールディングス、三越伊勢丹ホールディングス、LIXILグループ、ルネサンス、の14社。

参加企業が増えていけば、それなりのインパクトを出せていけそうですね。

ストレスチェックの運用方法

結果は、組織の特徴として、性別、部門、職種、役職、勤務形態から比較できるようにしておけば結果を効果的に活用することができます。組織には特有の組織風土というものが存在しますが、ストレスチェックのデータを活用することで、実態に即した組織の傾向やパターンを明らかにすることができます。
厚労省が定めたストレスチェックとは一体なんなのか

健康経営の流れの1つは義務化された「ストレスチェック」でしょう。ただ義務化されたからイヤイヤ対応するのではなく、せっかくなら経営効果のある取組みにしたもの。KPIやPDCAなどの設定がポイントなのかもしれませんね。

健康経営による企業価値向上は?

健康の定量的評価

企業の方々と健康経営について議論をする機会も増えているが、その中でたびたび話題に出るのが、施策の成果が具体的に数字で明らかにできないと経営戦略として取り組みづらい、という定量的評価の問題である。
分析結果から言えることは、社員のメンタルヘルス不調の顕在化も、働き方改善施策の成果も、いずれも単年度での影響というより、2年以上のラグを持って業績や生産性に影響が表れており、企業は中長期的なスタンスで取り組んでいくことが重要である。
「健康経営」は企業価値向上に繋がるのか?

大和総研のレポートです。たしかに、単年ですべての影響は計測しにくいですね。女性活躍推進のプランニングみたいに、ある程度長期的な戦略がどうやら必要になるようです。まだ始まったばかりで、初年度の情報開示は難しいですね…。

健康が企業に与える影響

世界的にも注目度が高まっている健康経営の導入効果。こうした動きをいち早くとらえ、日本でもユニークな制度が続々と誕生し、運用されている。一例をあげると、2012年に日本政策投資銀行がスタートした「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付」。これは、「従業員の健康配慮への取り組みに優れた企業を評価・選定し、その評価に応じて融資条件を設定する」もので、健康経営格付の専門手法を導入した融資メニューとしては、世界で初めての試みである。
健やかに働ける企業が長期的に安定した業績を維持できる理由

CSRでも従業員(女性活用含む)への企業姿勢で、評価がでる部分もあるので、別に不思議な事例はありません。従業員のパフォーマンスアップも成果ですが、わかりやすい所でいえば、こういうIR的な視点も社内浸透のポイントかもしれません。

「健康宣言」に見る企業の健康戦略

社員一人ひとりの健康の維持・増進に取り組む際、どのような姿を目指し、何を重視して取り組むか、といった経営方針を示すことは、取り組みの効率化につながるだけでなく、成果を検証する上でも不可欠といえる。担当者の目はつい個別の施策内容やリソース探しに向いてしまいがちだが、まず優先したいのは、健康増進の戦略的位置づけであり、経営トップのコミットメントであると考える。
大和総研が2014年に実施した「健康経営度調査」において、健康増進に対して経営側の意識が高い企業では、社員の健康増進への意識も高く、また健康関連情報を共有して生産性向上に役立てている割合が高い傾向がみられた。
「健康経営」における経営者のコミットメントの重要性 「健康宣言」に見る企業の健康戦略

他には『取り組みのPDCAを後押しするには、「健康宣言」等による明文化にとどまらず、継続的な経営トップからの働きかけも望まれる。』ともされており、CSRと同じく、トップがどこまでコミットメントするかで大きく潮流が変わりますよ、と。

まとめ

CSRにも大きな影響が出ると思われるガイドラインやルール(法律含む)が、続々と登場しているここ数年。

今回ご紹介した「健康経営」まわりの話も最低限理解し、自社のCSR活動をブラッシュアップしていきましょう。

といいますか、そもそも従業員への配慮が足りない企業は「ブラック企業」のラベリングをすぐされるので、まず出来る所からでいいので、動き出していきましょう。

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