CSR投資

「いい会社」の基準とは何か

先日「社会的投資から企業評価を見直せる本『投資は「きれいごと」で成功する』」という読書メモを書きましたが、“いい会社”としてピックアップされていた企業が気になったのでまとめてみます。

世界的なSRI/ESG投資につながる企業評価でピックアップされる企業とは違い、日本の投資信託を運営する会社がピックアップしているので、かなり現実的なラインナップなのかなと。

SRI/ESG/CSR投資が気になる個人投資は必見です。あー、でもそういう人はもう知っているか。企業担当者の方は「ウチはなぜインデックスされないんだぁ!」とキレることなく、鎌倉投信のウェブサイトを隅から隅まで確認することをオススメします。

鎌倉投信「結い2101」

『結い 2101』は、これからの社会にほんとうに必要とされる会社、 皆さまがファンとなって応援したくなるようないい会社に投資する投資信託です。 『結い 2101』には、次なる世紀“2101年”に向けて、人と人、世代と世代 を “結ぶ”豊かな社会を、 皆さまと共に創造したいという想いが込められています。 “結い”という言葉には、人と人が信頼し合い、共に何かを創造する共創の意味があり、その心(思想)を表しています。
結い2101への想いより抜粋し引用)

ストーリーテリング全開の投資信託。いくつかの証券会社も似たようなサービスを展開しているのですが、よく聞くのは鎌倉投信とコモンズ投信ですね。

共通点があるとしたら、ソーシャルベンチャーを応援する姿勢でしょうか。証券会社は、中の人によるんでしょうけど、NPOやソーシャルベンチャーに詳しい人を見た事がありません。(僕が知らないだけということもありますが…)

CSR関係の方は、普段ベンチマークしているCSRランキングだけではなく、こういう投信会社がピックアップする企業を調べてみるというのも、多面的なCSR企業評価として良いかもしれませんね。

いい会社(順不同)

オイシックス、アニコムホールディングス、トレジャー・ファクトリー、エフピコ、ツムラ、亀田製菓、綜合臨床ホールディングス、ライフネット生命保険、SHOEI、タムロン

エー・ピーカンパニー、IKEUCHI ORGANIC、マニー、ユニオンツール、サクセスホールディングス、ベルグアース、フェリシモ、第一稀元素化学工業、小林製薬、エーワン精密

養命酒製造、アミタホールディングス、アイ・ケイ・ケイ、アメニティ、NDソフトウェア、ヤマトホールディングス、ユーシン精機、和井田製作所、ピジョン、リブセンス

ハーツユナイテッドグループ、サンエー、KOA、コタ、HASUNA、ウチヤマホールディングス、瑞光、ホクト、トビムシ、ニッポン高度紙工業、日本空調サービス、ナカニシ、日本環境設計、未来工業、三洋化成工業、カゴメ

The Company Finderより引用)

企業評価に影響するCSR活動

CSR界隈でよく見聞きする企業がいくつかあるのですが、CSR関連ランキングやCSR報告書の評判などではまったく聞いた事がない企業もあります。

評価機関(日経とか東洋経済など)のCSR評価が高くなくても、こういうインデックスで評価される企業もあるのは非常に良い事です。逆にDJSIやCDP、フィッチ・フォー・グッドなどの投資要素の強い所で評価される企業がここにないのが気になります。

まぁ、そもそも海外のCSR関連インデックスは、そもそも日本企業が少ないので必然的に入りにくいというのはあると思いますが。全体的なイメージでは、いわゆるソーシャルベンチャーと呼ばれる事業そのもの社会性が高い企業が選出されていますね。

以下のCSR/SRI/ESG投資関連のまとめ記事もあわせてご参照ください。

投資家目線の情報開示とは–投資にCSR/ESG情報は必要か
SRI(社会的責任投資)の浸透で広がりつつあるCSR/ESG情報開示要求
CSR/ESG情報開示によって、ESG投資は日本でも普及するのか
日本のSRI(社会的責任投資)は、CSR報告をどう変えるのか
非財務情報(CSR情報)開示動向からみるCSR報告と投資評価

世界を良くする金融

あなたのお金は何に使われている? 途上国支援につながる個人投資が日本で伸びている背景

投資と社会貢献という、正反対ともいえる要素が融合した「ワクチン債」などの商品化に尽力した、証券マンの山本聡氏によるスピーチ。途上国支援とビジネスは両立可能だと語り、そのためには「一人ひとりが自分のお金の行き先を考えることが大切だ」と訴えております。

鎌倉投信の話はちょっと違いますが「世界を良くしよう」と活動をする人たちに投資する視点は同じです。

利益のためだけに投資活動をすることは別に問題のあることでもありません。ですが、せっかく投資をするなら、企業でもどこでも、社会が良くなる人たちを応援するくらいの気持ちがあってもいいでしょう。ちゃんと経済的リターンもあるわけだし。

「スチュワードシップ・コード」や「コーポレートガバナンス・コード」などで、投資家や企業の社会性も試されているわけだし、非常に注目されるジャンルではあります。

まとめ

まとめてみて改めて思うのは「事業プロセスにおける経済合理性と社会性」の重要さです。

各種CSRランキングだと、ソーシャルベンチャーは規模も含めて評価されにくいし、大企業の“後付け”の社会性が目立ったりします。

そもそもの創業者のソーシャルマインドがビジネスに反映されるのが一番ですが、そうではない企業が大部分だと思うので、今一度上記の企業の情報開示やビジネスモデルを研究し、御社のCSR活動および、既存事業の社会性向上に役立てていただければと思います。

僕は投資やIRにおけるCSRにはあまり詳しくないでのすが、CSR投資、ESG投資、SRI投資、共感投資、コミュニティ投資、エコファンド、環境ファンド、コミュニティファンドなど、色々な社会性を重視する投資の視点があるのだなと再確認しました。

こういう投資は、CSRにおける企業評価の最もわかりやすいエビデンスだったりもするので、CSR担当とIR担当の連携が今後、より重要になってくるのかもしれませんね。