SRI(社会的責任投資)

あなたは、SRI(社会的責任投資)という考え方を知っていますか?

SRIとは、企業を社会的視点から評価し、投資活動を通じてこれを支援すること。ESG(環境、社会、ガバナンス)を企業評価指標とし判断をする投資活動。というわけで先日、SRIについての勉強会に参加してきたのでメモ。

NPO法人社会的責任投資フォーラムの荒井勝・会長、吉田喜貴・事務局長がメインスピーカーで、セミナーの後半では、ワークショップをして、「社会に良い投資」とはみたいな意見交換をしました。

CSR投資、ESG投資、SRI投資。語義の線引きって皆どうしてるんだろ?オーソリティーの先生の意見に従っている人が多いのか、そもそもCSR関係者でも話題にふれることがないのか。圧倒的に後者な気もしてきた…。

SRI(社会的責任投資)マーケットの概要

SRI市場は、2014年3月で約7,860億円(株式・債券の合計、JSIF調べ)2008年のリーマンショック以降、市場の上下はあまりないようです。

SRI残高(2012)は世界で「$13,568 Bn」。1ビリオンは10億だから、13,6兆ドル(1,360兆円)ってことか。細かく見ると、日本($10 Bn)、アフリカ($229 Bn)、日本を除いたアジア($64 Bn)、アメリカ($3,740 Bn)、カナダ($589 Bn)、ヨーロッパ($8,758 Bn)、オーストラリア($178 Bn)ですって。

日本と比べ、アジアは6倍以上、アフリカは22倍以上のマーケットとなっているとのこと。日本のSRI市場は世界でもワーストなんじゃないかくらいのレベル感だそうですよ。変わって、ESG投資において日本の規模は、世界のたった0.2%。ヨーロッパがメインが49%。日本、どんだけやねん。

で、このSRI領域で、有名なインデックスやレーティングは、「FTSE4Good Global Index」のほか、Dow Jones社(米国)が選定する「Dow Jones Sustainability Index」、Ethibel社(ベルギー)による「Ethibel Excellence」、モーニングスター社(日本)による「モーニングスター社会的責任投資株価指数」などがあります。

FTSE4Good(フツッイー・フォー・グッド)は今年、改訂?があるようで、楽しみにしていて下さいと荒井さんがおっしゃってました。

CSV(共通価値創造)の話もありましたが、CSRをフィランソロピー(慈善活動)として考える前提もあるので、色んな見方がありますよね、というお話でした。ケイパビリティの話にも触れて欲しかった気もしますが、時間もタイトでしたので、しょうがないっすね。

財務情報は過去の情報のまとめ。未来志向ではない。企業の将来的価値は非財務情報にあるのではないか、という視点も興味深かったです。

企業評価としてのSRI

個人的に興味があったのは、ESG評価において、数値化されにくい企業活動をどう見るか、という話題もありましたが、そこは、「PDCA」であると。

つまり、P(プラン)がなければ、その活動は評価できないと。どんなにCSR活動をしていても、最終的な目的・ゴールが設定(プラン)されていなければ、第三者として評価しようがないと。あとは実効性。プランやチェックの仕組みが素晴らしくとも、実行されなければ意味がない。そりゃそうだ。

またパネリストで、個人投資家でもある吉田さんがCSR報告書でチェックするのは、「社長メッセージ」、「目次」、「ネガティブな情報」としてました。

社長メッセージは、CSR活動の方向やマテリアリティなど、すべての要素が凝縮されている、会社からのメッセージ。ここが抽象的なCSR報告書は、制作会社のライターが書いたと想像できるし、目次が整理されていない、わかりにくいCSR報告書は、そもそもクオリティに問題がある。

また、投資家としては、ネガティブな情報も掲載され、その対応策などもきちんと掲載されている企業は評価が高い、とのことでした。荒井さんの紹介ですが、ローソンの統合報告書面白いと。

CSR報告書の発展形が、統合報告ということではないらしいです。実際に見に行ったら、ウェブのIRコンテンツの中にありました。統合報告はアニュアルレポートと表記されてますね。CSR報告書(環境報告)は「マチと共に生きる取組み報告書」として別に発行されています。

CSR報告書の情報がIR情報に盛り込まれていけば、CSR報告書って意義が薄くなりそうです。アニュアルレポート(CSR情報含む)みたいな。非常に興味深い事例です。

▶『ローソン統合報告書2013』が「第1回WICIジャパン『統合報告』表彰制度」で優秀企業賞を受賞

まとめ

SRI関係者は市場は右肩上がりで伸びていくというのですが、CSRの現場からすると、あまり話題にはならないのかなとも感じています。

なかなかCSRとSRIをつなげて、経営戦略に落とし込むというのもできないかな。あと、大手中の大手企業であれば、考慮に値するのかもしれませんが、中小企業とかにはSRIの概念はそのまま受け入れられにくい印象もあります。

ちなみに、SRIというワードは日本特有であり、欧米では「サスティナビリティ・インベストメント」(持続可能な投資)と表現されることが多くなっているとのこと。

CSRもサスティナビリティというワードのほうが使うという話も聞いた事があります。日本では、ソーシャルというワードの意味が強いですが、今後、サスティナビリティ〇〇みたいなワードが増えるかもしれません。

そうしたら、当ブログタイトルも「CSRのその先へ」→「サスティナビリティのその先へ」に変えなきゃですね。しかし、サスティナビリティを「持続可能性」と翻訳した人は誰っすか?あまりにも抽象的過ぎてねぇ…。

参考情報

社会的責任投資フォーラム
CSR投資は本格化するのか? CSR投資動向記事まとめ10選[2013年版]
企業報告ラボ|経済産業省
環境・社会・ガバナンス(ESG) 社会的責任投資(SRI)を学ぶ 「持続可能な社会」に向けて