ESG情報開示のプレッシャー
世界のルールたちは、今後、より企業の情報開示にプレッシャーをかけ続けるようです。
ESG情報の開示について、色々な動きがあったようで、まとめます。ESGとは、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の総称です。投資関連ではCSRよりESGというワードがよく使われます。
これは、CSR関係者には共通認識であると、僕は思っているのですが、世界的なガイドラインやルールは、ESGなどの非財務情報の開示を強く要求するようになってきました。
この流れは加速する一方でもう不可逆のものと認識したほうがいいでしょうね。
ESG情報開示の流れ
EUの非財務情報開示指令
EUの動きについてです。今回の非財務情報開示義務指令は「従業員500人以上」のEU域内の約6,000社が対象となる、としています。情報開示の透明性は今後もどんどん求められていくのでしょうね。
欧州委員会の積極的なCSR領域への関与を日本も見習って欲しいですね。日本の大企業はCSR報告書すら発行していない所も多いし、情報開示をもっと促してもいいと思うですが…。ただ企業の負荷は増えるので、経済団体とかが反対するのかも。
ドイツ証券取引所のGRI活用
次はドイツの話。今年に入って、ドイツだけではなく、世界中の証券取引所がESGまわりで情報開示を求めるような動きをしており、日本でも近々大きな動きがあるかもしれませんね。
もう上場するのに、CSRしてないとか、ESG情報開示してないとかありえないという状況になるのでしょうか。日本では、上場企業でもCSR報告書すら発行していない企業もあるので、もしかしたら、近い未来、制作会社で新規CSR報告書制作ブームが起きるのかもね。
データ活用
ほかにはCSR領域のデータ計測も進んでいるようです。「測定」、「データ管理」、「定量マネジメント」、「レポーティング」が欧米ではホットなテーマになっていると。なるほど。日本でもホットなテーマですね。この「非財務情報の定量化」は大きなCSRのテーマです。特にこの記事は興味深いデータがたくさんあるので、欧米の最新データを知りたい方はチェックしてみて下さい。
SROIみたいな考え方とかで測定できなくはないんだけど、レポーティングを含め、その数字の文脈も含めてどのような形にしていくかがポイントになりそう。もちろん、トレンドとしては統合報告になるんだろうけどね。
専門性の高いNPOなんかは、こういう“ビックデータ”的な領域に入ってくれば、結構なビジネスできそう。CSR活動まわりでも、ビックデータを中心としたビジネスがほとんどないから、今からここに参入すれば面白いと思うなぁ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ESGの情報開示は統合報告であれ、CSR報告であれ、今後も重要な要素となっていくのは間違いありません。
しかし、まぁ、透明性が重要っていっても、CSR活動よりCSR報告ばっかり熱心な企業が増えてしまって、肝心の社会的なインパクトまでCSR担当者の意識がまわらなくなっている気がしないでもないですけどね。
CSR担当者は、1年うちの数十%はCSR報告書作成に奔走していますし。中には「CSR報告書制作だけではなく、CSRそのものについても議論したい」という希有な企業担当者もいなくはないのですが…。
加えて、日本ではSRIは伸びていくと予想されつつも、まだまだ業界関係者やアナリスト、リサーチャーなどだけの内輪感は否めません。CSR関係者からは話題に出ることが時々ある、という程度の印象。SRIに対する企業のアプローチは厳密に言えばCSRではないから、ということもあるのかもしれません。
今後は、財務情報(IR)と非財務情報(CSR)の相互性が重要になっていくので、統合報告書制作を必ずすべきとまでは言いませんが、CSRのウェブ・コンテンツを含めて、より「読者のニーズに応える」情報発信が必要になってるのかもしれません。
CSR関係者としては、マーケットの盛り上がりは喜ばしいのですが、CSR担当者の方々は、来年も悩ましい課題がいくつも降ってきて頭が痛い所かもしれません。来年もがんばりましょう。応援しております。