なでしこ銘柄

なでしこ銘柄2015

先日、経済産業省と東京証券取引所が共同で「平成26年度 なでしこ銘柄」の発表を行なっていたのでシェアします。

女性の活躍で企業を視る「なでしこ銘柄」|経済産業省

なでしこ銘柄とは、経済産業省が東京証券取引所と共同で、女性活躍推進に優れた企業を選定・発表する事業(ポートフォリオ)のこと。

2012年度より開始されたこの取組は、安倍政権が「成長戦略の中核」とする「女性活躍推進」の取組の一つであり、「女性活躍推進」に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて、そうした企業への投資を促進し、各社の取組を加速化していくことを狙いとしています。

『「平成26年度 なでしこ銘柄」発表資料』は、各選定企業の評価ポイントも公開しているので、競合他社が選出されていたらチェックしてみるのもよいかもしれません。

平成26年度・選定企業40社

大和ハウス工業、積水ハウス、カルビー、サントリー食品インターナショナル、東レ、大王製紙、花王、メック、中外製薬、JXホールディングス

ブリヂストン、TOTO、ジェイエフイーホールディングス、住友金属鉱山、LIXILグループ、小松製作所、ダイキン工業、日立製作所、東芝、川崎重工業

日産自動車、ニコン、トッパン・フォームズ、大阪ガス、東京急行電鉄、日本郵船、日本航空、KDDI、SCSK、丸紅

三井物産、ローソン、ユナイテッドアローズ、りそなホールディングス、三井住友フィナンシャルグループ、大和証券グループ本社、第一生命保険、エヌ・ティ・ティ都市開発、ノバレーゼ、JPホールディングス

ちなみに、3年連続で選出されているのは、東レ、住友金属鉱山、日産自動車、ニコン、東京急行電鉄、KDDI、という6社だけです。今回の選定企業が素晴らしいのはもちろんのこと、連続で選出されている“マグレ”ではない企業の評価は相当なものだと思います。

なんか、様々なCSRランキングでもよく見かける企業が多いですね。「女性活躍推進企業は、CSR全体も進んでいる」とか相関関係があったりして。調べる気ないけど。

スコアリング

スコアリングは、調査期間に開示されていた最新のCSR報告書等、コーポレートガバナ ンス報告書、その他自社のホームページにおいて開示されている情報に基づいて実施しています(ただし、自社以外のホームページや新聞・雑誌等において掲載されている情報については、自社のホームページにおいて内容の紹介またはリンクが張られている場合に限りスコアリングの対象としています。)
(「平成26年度 なでしこ銘柄」発表資料より)

個人的に、一番注目したのは選出企業よりも、その選定基準・選定方法です。これは最早当然なのですが、各種報告書や自社サイトで情報開示をされていない場合はそもそも評価しませんよ、という点。

世の中にある多くの企業評価は“開示されている情報”で評価する、ということです。情報開示はしていないけど、実態としてはしっかりした活動を行なっていても評価されません。黙って良いことをしていても誰も評価してくれない、という訳です。企業にとってネガティブな情報でも、開示すること自体が評価されることは多々ありますからね。

とはいえ、開示してない企業も多いと思ったのか、今回は一応アンケートを実施して補完情報として扱ったようです。東証1部の全上場企業(約1,800社)にアンケートをしたようですが、回答率が17.4%だったそうで…。この数字はどう見たらいいのでしょうかね?

なでしこ銘柄の投資パフォーマンス

なでしこ銘柄・ポートフォリオ

直近5年間のなでしこ銘柄のリターンをみると、2012年度なでしこ銘柄は15.6%と高かったが、2013年度なでしこ銘柄は10.8%にとどまっている。また、各年度のなでしこ銘柄が発表されてからの事後リターンは、いずれも配当込みTOPIXと同程度であった。
女性取締役比率0%超10%未満の企業は、女性取締役が1人というケースが多いと考えられるが、このような企業には女性の活躍推進が進行途上にあり、企業の成長にまでつながっていない可能性や、株式市場からポジティブな評価を得るには至っていない可能性があろう。
ESGポートフォリオのリターン分析-女性活躍関連のポートフォリオ

ESG投資が日本でも広がりつつあると言われているものの、海外とは異なりたいしたインパクトを出せていなかったようです。女性が多いとか女性が活躍しているって、相関関係はあっても因果関係はなさそうなイメージがある(そういうデータも多い)のですが、今後に期待、という所なのかもしれませんね。

現実的にいえば、ESGでは「ガバナンス(G)」は2015年6月施行の「コーポレートガバナンス・コード」の絡みもあり、大いに投資領域で盛り上がるのはわかりますけどね。

東京証券取引所・ESG銘柄

東京証券取引所には2,200社以上の企業が上場していますが、個人投資家の皆様に株式投資を考える一つのきっかけや関心材料としていただくため、特定のテーマや指標をベースに銘柄(テーマ銘柄)を抽出、公表してまいります。テーマ銘柄の第一回目は、”ESG”をテーマとし、SRI(社会的責任投資)調査会社(株式会社グッドバンカー)とともに銘柄の選定を実施しています。企業がESGの課題に適切に配慮・対応すると同時に、投資家が、そうした企業の取組みを評価して投資を行うことが、地球環境問題や社会的な課題の解決・改善、さらに、資本市場の健全な育成・発展につながると考えられています。
テーマ銘柄を公表しました|東京証券取引所

東証ESG銘柄(テーマ銘柄)という形で、東証は企業のESG的な側面を考慮した銘柄を2012年に発表していました。今回のなでしこ銘柄はESGの中でも「女性活躍」に特化したもの。

ちなみに、当時の選定銘柄は、アサヒグループホールディングス、出光興産、東レ、ツムラ、日産自動車、アサヒホールディングス、小松製作所、日本電産、KDDI、大阪瓦斯、東京急行電鉄、伊藤忠商事、ファーストリテイリング、三菱UFJフィナンシャル・グループ、リコーリース、です。

今回のなでしこ銘柄選出企業と比べると…なんと、東レ、日産自動車、小松製作所、KDDI、大阪ガス、の5社が重複してるじゃないですか。ESG意識の高い5社は素晴らしいですな。

まとめ

色々なデータやレポートを引用してたら盛りだくさんの内容になってしまいましたが、色々興味深いものだったと勝手に思っております。

ESG投資は専門ではないのですが、個人投資家とかは、このあたりのデータを参考に投資するってのもありかもしれませんね。以下のまとめ記事も参考にどうぞ。

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