女性活用(女性活躍推進)について

ここ数ヶ月の動きですが、安倍内閣(アベノミクス)の中で、女性活用(女性活躍推進)施策としての法制化の準備が、進んでいるようです。

この手の話は方々で聞いているので、CSR担当者も、だいたいは把握していると思うのですが、厄介な問題となっているようでもあります。

去年から、CSRとして女性活用というカテゴリーがありましたが、人材戦略としての色が濃くなり、今更ながら、CSR部より、人事・総務の方々がこの懸案事項を扱うようで、CSR担当者として何をすればわからない、なんて話も現場ではあったりなかったり。

まぁ、CSR関係者でも女性活用は非財務情報としてCSR報告書には載るけど、CSRそのものではないという話もあります。人事戦略は社内的な話であり、社外(社会)にインパクトを出せるかは別の話だからです。

というわけで、女性活用に関しても色々な方面から、今一度確認していきましょう。

従業員の働き方

いろんな話題がありますが、様々な識者の方の意見としては、女性はもちろん企業の全従業員が働きやすくするために、「長時間労働の是正」、「多様な働き方を作る」という2点に集約されます。

女性を無理矢理どうこうしても、何も変わらないので、組織としてまずは、残業を減らし、短時間勤務やテレワークなどの柔軟な働き方を制度化すべきなのです。

僕の考えとしては、正しいかどうか別として、男性だけの職場のほうが根性論も通るし、YESマンも多いし、競争力自体は女性や障害者、外国人というマイノリティの方々はいないほうが絶対上ですよね。瞬間的には。

ただ新しい考えもでないし、変化に弱いということもあるからCSRでは「ダイバーシティ(多様性)」という概念が出てくるわけです。根性論だったら、日本人男性オンリーの組織最強でしょ。

ただし、ドラクエ3で全員戦士みたいなもんです。物理攻撃効かない敵に出会ったら全滅するという(笑)多様性マジ大事(笑)

女性活躍推進と女子大生

9割近い女子学生は、結婚後も同じ会社で働くことを望んでいるが、そのうち7人に1人程度は結婚を期に雇用形態を変更して働きたいと考えている。また出産後においては、文理ともに7割以上が同じ会社で働くことを希望しているが、そのうち4分の1以上は雇用形態の変更を希望している。
女子学生の働き方についての考え方と就職活動

では、働き方ということで、女子大学生はどのように考えているのでしょうか。上記のように、やっぱり、結婚がキャリアにおいて壁になっている様子がわかります。逆に、柔軟な雇用制度があれば、教育などにかけたコストをムダにすることなく、継続して働いてもらえそうな感じです。

今までの、女性の働き方を急に「これから活用するからよろしく!」と言われても、なかなか変えることができません。

だったら、今の大学生などの今後働き出す人たちにきちんと伝えればいいんじゃない?的な動きもあります。企業のCSR担当者は、人事の採用担当者ときちんと話をしないと、CSRや女性活用できない会社には入りたくない!なんて言われちゃうかもですよ?

女性起業家育成

妄想力に欠ける女性には大きな企業は作れない?安倍政権のかけ声空しく、男性優位が変わらない本当の理由

上記の記事では、企業側の仕組み云々ではなく、起業家精神のある女性が少ないということを指摘している。女性が「働きやすさ」ばかりを求めるのではなく、起業家としてやっていくぞ!世界を変えるのは私だ!みたいな考えも必要なんじゃない、というお話です。

僕もこれは実感していて、中小零細の女性起業家は、スピリチュアル、コーチング、スキル系(生け花とか)、コンサル系(ソーシャルメディアコンサルタント)とか、BtoCビジネスを目指し、さらにスケールできないモデルを採用している人が多い。

それらがダメというわけではなく、差別化が難しくスケールできないから、みんな鳴かず飛ばず。美人で話のうまい(ノリがいい)人から売れるという市場も現実問題としてありますよね。難しいですね。

サンプルが少ないですが、僕のまわりでは士業(行政書士、社労士など)の女性が結婚されても、お子さんいても、うまく仕事をまわしている印象があります。

女性活用のマイナス面

だが、女性登用の成功例として取り上げられている一方、副作用のほうが大きかったという指摘もなされている。米・南カリフォルニア大学のケネス・アハーン助教と米ミシガン大学のエイミー・ディットマー準教授は、ノルウェーの40%割当制について実証分析を行った。対象は01~09年の上場企業248社。

まず、03年に40%割当制の導入が決定すると、対象企業の株価は大幅に下落し、その後、数年間で女性役員比率が10%増加したことで時価総額は12.4%下落したという。負債等も大きくなり、営業成績にも悪化が見られたという。さらに、同制度の対象となるのを避けるため、09年の上場企業数は、01年から約3割減った、つまり非上場企業に転換した会社が約3割増えたという。
女性登用先進国ノルウェーが払った代償 業績悪化&上場廃止企業続出、モラル低下横行

先日「CSR・人事担当者必見! 女性活用に関する調査データ19選[2014年上半期]」、「社長が理解すべき、女性活用“負の側面”の3つのポイント」という記事も書きましたが、女性登用が進めばいいってわけじゃないんだよ、ということもあります。

正負両面からの徹底的な議論と、企業トップの行動力がポイントになるのでしょうね。

基本的に多くの「女性活用」論は、非常に肯定的なものが多いのですが、主張ばかりしてそれだけのメリットを生み出せなければ、企業としては女性活用が負荷(マイナス)にしかならないと。

極端な話、女性にコストをかけて教育・採用などを追加したコスト分以上をその女性が稼げなかったら、もう男性だけやったほうが(一時的にでも)業績が上がるんじゃない?みたいなこともあるわけです。

だからといって、僕が女性が活躍することを嫌っているというわけではありませんよ。CSRでも社会貢献でも何でも、様々な側面があります。一方的な考え方はリスクですよっていいたいだけです。経済的な側面ばかりを強調するより、女性従業員の自己実現みたいな捉え方のほうが、僕は自然だと思いますけどね。

企業の労働環境が変わっていないのに、女性を労働市場に拘束することで、男性も女性も長時間労働となり、今より悪化する状況を作りかねない、と思います。つまり、Aという課題を解決しようと思ったら、Bという新しい課題が生まれてしまった、みたいな。

女性活用を叫ぶ人は、自分の環境をコントロールできる人が多く、99%のコントロールがしにくい“普通の人”はどうでもいいと思っている、という側面もあるのかもしれません。それ、あんただからできるのであって、普通の人をあんたの枠で決めるなっての。

少子化問題と、女性の労働問題は別に語られるべきですが、リンクしている部分も多いので、ますます大きな問題となっていく気がします。今後どうなってしまうのでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ちょっと、色々言い過ぎた感じがありますが、女性活用(女性活躍推進)は現政権の重要なテーマですし、日頃から様々な情報収集をしておくことをオススメします。中期経営計画に、CSRと一緒にぶっ込んじゃって下さい。

来年以降は、CSR報告書に女性活用関連の情報が載るようになるんですかね?なんか、年々、CSR担当者の業務範囲が広がっている気がするのですが、多分気のせいでしょうね。頑張って下さい(他人事ですみません)

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