企業が理解すべき、女性活用“負の側面”

一昨日、3月8日は「国際女性デー」でした。というわけで、本稿のテーマは「女性活用」。

ちょっと、そっち系の関係者方に怒られそうなタイトルですか、何事にも負の側面はあります。いわゆる「女性活用」だって例外ではありません。

女性のキャリアサポートなどで出産・育児支援をすると、企業がコストを負担し特に何か新しい価値が生まれるわけでもないということが起きます。

福利厚生費がかさみ、企業の利益を圧迫するだけで、特にメリットがないこともあります。まぁ、仕組みを作らなければそうなるでしょう。

そうではなく、女性が企業を退職せずに残れる仕組みを構築し、さらに復帰後のキャリアプランを明示していき、イキイキと働いてもらう事で、辞めた場合に雇う新人の採用コスト・教育コストをなくすことができます。もちろん、慣れ親しんだ職場ですので、企業価値向上につながる業務をこなすことも比較的容易ですよね。

で、女性の役職者(主に課長職以上)を増やすというのは、またちょっと違う視点が必要なのですが、まず必要なのは、「仕組み」です。コストにしかならない女性活用は企業も女性スタッフもどちらも不幸になる可能性が大きいのです。

事例を見ながら、改善策のヒントを探っていきましょう。ちなみに、「女性活用」、「女性の活躍支援」などは“女子経済”とも言われ注目の経済領域であるとかいう人もいます。

女性活用“負の側面”の3つのポイント

1、育児休暇はただの押しつけ?

配置転換は、就業規則の条項に定めているときには、配置転換命令権を使用者が有していると考えられています。ただし、職種や勤務地を限定して採用したときは、労働者の配置転換の同意が必要となります。配置転換は、労働者の利益に配慮して行使されるべきものであり権限濫用はできません。
育児休業復帰後に配置転換をする場合は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第10条、第26条などに反する行為であってはなりません。
育児休業から復帰の社員をどこに配属する?

2年間、育児・出産・有給休暇などで休んでいる女性が、元いた部署に戻れるのか。そんな質問に人事労務の方が答えたのが上記の引用です。

2年か。ベンチャーでなくとも、組織再編があったり、大きな変化が起こりうる時代に、2年いない人を現場に復帰させることは、部署のパフォーマンスという視点においてどうなのか。

休暇のため、その変わりに転属してきた人を移動させてまで、元の部署に女性を戻さなければならないのか。

もちろん、答えはケースバイケースでしょうけど、当事者同士のコミュニケーションをしっかりとり、会社側も女性側もお互い納得した形で復帰したい所。女性がなっとくできないから辞めるとなれば、2年間の給与や保証はなんだったんだとなってしまいますよね。

2、女性の希望は昇進?それとも安定?

女性はそれほど昇進を望んでいないという調査結果もある。日本マンパワーの「女性のキャリア意識調査」によると、「できることなら昇進したい」かに対し、「あまりそう思わない」と「思わない」の合計は男性は13%だが、女性は29.6%。同様に「できることならリーダー・管理職になりたい」で「あまりそう思わない」と「思わない」の合計は、男性が20%に対し、女性は49.3%と半分近くに上った。
「甘やかすな」か「男の価値観押しつけるな」か――政府が押す「女性活用」とは

日本の管理職に占める女性の割合は10%未満と言われてます。政府の目標は欧米並みの30%。ただし、現実の女性側の意向として、そもそも昇進を望んでいるとかというのは別の話。

出産育児の課題もありますが、政府の動きと、現場の動きにズレがあるように思うのは気のせいでしょうか?

そもそも、多様な働き方を認めることが先なのに、多様性を受け入れるかとおもいきや「女性管理職30%」という枠に無理矢理あてはめるという、管理職数至上主義も存在するらしい。

出産育児休暇からの復帰部署に関してもそうなのですが、当事者としっかりコミュニケーションをとって、お互いの落としどころを探すことが大切できすね。当事者の関係ない所で企業の重要事項が決まる事も多いですが、気をつけたい所です。

3、ワークライフバランスの“罪”

現在一流と言われている人、活躍して自分の道を進んでいる人が、若い時に「ワークライフ・バランス」を考えていたでしょうか。 自分はプライベートも充実させたいから、といって仕事を早々に切り上げていたと思いますか?そんなことは、まずありません。その場所に至るまでは、がむしゃらに働き、がむしゃらに努力していたはずです。だからこそ、充実した「今」があるのです。
ワークライフ・バランスなんて言っている余裕、ありますか?

上記の記事では、20代前半で、ワークライフバランス、つまりプライベートの充実を求めすぎると、成長機会を逃す可能性があるよ、という話です。

それは誰もがプライベートの充実を求めて当たり前です。しかし、仕事よりプライベートを優先しすぎると、結果的に、効率のよい業務スキルが獲得できず、進歩のない人間になってしまうことも。

こういうとがむしゃらに働くのはブラック企業だとか言う人がいますが、ブラック企業の一般的な最大の課題は「サービス残業が多いこと」と言われています。ちなみに、「がむしゃらにはたらく=長時間労働」というわけでもないとも思ったりする。

トータルでのワークライフバランスの配慮は大切ですが、極端な優先順位づけは、ほどほどに。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

CSR活動の中でも、自社従業員へのアプローチは年々増えている印象があります。ブラック企業問題と並んで、女性活用問題も大きな労務問題のようです。

企業として、コストにしかならない女性活用ではなく、企業価値を高められるような仕組みと対策をとりたいところです。

僕も30代前半でいわゆる子育て世代です。当事者側なので、非常に注目しているCSR領域には間違いありません。

今後も企業CSRにおける女性活用については、情報をまとめていきたいと思います。

関連記事
女性の活躍が企業のCSRの争点となる3つの理由
若年女性の貧困問題解決はCSRなのか?
女性よ、立ち上がれ! 女性をエンパワメントする動画「One Billion Rising」