ワークライフバランス

ワークライフバランス。何とも趣き深い単語でございます。

ワークとライフとバランスよく。仕事と私生活との調和。

企業経営者の立場になると、20代はまずがむしゃらに働け!みたいな意見が多く、僕もその気持ちはわかるのですが、ただがむしゃらに働きすぎると、いつの間にか30代になり、いわゆる晩婚化へとなるわけでして(可能性の話です)。

ワークライフバランスというと、その多くは「女性活用」につながります。男性のワークライフバランスの論調はほとんど見かけません。

というわけで、女性活用とほぼ同義語になりつつあるワークライフバランスについて、最近の最新データとオピニオンを見ながら、振り返ってみましょう。

CSRの将来(今後)の重要項目です。CSRでこれからトレンドになるものはなんですか?と聞かれたら、間違いなくこの領域をプッシュします。

ポイントは“ガラスの天井”改革?

・3人に2人が、女性の活躍を推進する企業の取り組みは「進んできている」と回答。理由の第1位は、「両立支援制度の充実」「周囲で活躍する女性が増えている」(共に52%)一方、進んでいないと感じる理由の第1位は「女性の経営層・管理職が少ない」
・女性の管理職登用を増やすための効果的な取り組みは「経営層・管理職層の意識改革」がトップ
・男性の育児休暇取得について「賛成(賛成/どちらかというと)」は9割
・9割近くが、高校・大学教育での理系女子学生の積極推進について「賛成(賛成/どちらかというと)」
・女性の活躍推進に積極的だと感じる企業の第1位は資生堂
女性の管理職登用に効果的な取り組みは経営層・管理職層の意識改革-「女性の活躍推進に関する意識調査」の結果について-

経済広報センターの調査です。「女性の活躍推進に関する意識調査」というレポートです。なるほど。意識はここ数年で一気に上がってきている印象があります。

意識が集まっているなら、なぜ解決できないのか。思うだけなら小学生でもできます。そうではなく、組織戦略として定着しないのは、現実的ではない社会背景があるからなのかもしれません。

経営に携わると、大都市圏で保育所が不足する理由は簡単にわかります。場所を食う割には儲からない、言い換えれば土地生産性が低すぎるのです。そもそも保育所には、国の基準を満たす認可保育所と、その基準を満たさない認可外保育所(無認可と呼ばれることもあります)の2種類があります。認可保育所の場合、0歳児(≒育休明け)には1人当たり3.3平方メートル、子ども3人に1人の保育士が必要です。これを確保しようと思うと、10階建ての保育所ができるならともかく、民間企業が参入しようと思っても採算がとれません。
保育所は、なぜ需要があるのに増えないのか?

僕は保育所経営をしたことがないのでわかりませんせんが、参入障壁が相当高いのも、業界の成長につながらないようです。女性を管理職にしようぜ!って言っても、小さな子どもがいれば、フルコミットメントしにくいという方もいるでしょう。さらに、居住地の保育園が入れなかったら?

実務的な制度でないと、「ガラスの天井」が壊せないでしょう。ちなみに、ガラスの天井とは、資質又は成果にかかわらずマイノリティ及び女性の企業内での昇進を妨げる見えないが打ち破れない障壁のこと。口だけでは打破できない壁もあるものです。

ガラスの天井(性差別は無くなったかのように見えるが、女性が高い社会的立場に上り詰めようとすると見えない障壁にぶち当たるということを表す言葉)はもちろん問題だが、多くの女性は天井じゃなくて周囲の壁を壊すために必死なのだメッセージはいいが、女性の多様性、特に階級の多様性が描かれていない。性差別について最も情報を必要としている人たちを置いてきぼりにして、教育を受けている女性のことだけを考えていたらエリート主義に見えてしまう。
「女性が活躍する会社」資生堂1位 キャリア支援多彩

日経新聞でもこんな記事が。キャリアの多様性も大切。これは男性も同様なような気もしますが。

ワーク・ライフ・バランス施策の推進に関する企業事例68例

経団連が先月データを出していたので共有します。その中で企業事例として、以下の68社の話がありました。大手企業の方は、自分の会社があるかチェックしてみて下さい。

旭化成株式会社
旭硝子株式会社
朝日生命保険相互会社
アサヒビール株式会社
味の素株式会社
株式会社アルテ サロン ホールディングス
イオン株式会社
株式会社イトーヨーカ堂
伊藤忠商事株式会社
王子ホールディングス株式会社
株式会社大垣共立銀行
キヤノン株式会社
国際石油開発帝石株式会社
株式会社小松製作所
株式会社資生堂
新日鐡住金株式会社
JXホールディングス株式会社
スタンレー電気株式会社
住友化学株式会社
住友商事株式会社
社団法人生命保険協会
積水ハウス株式会社
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
全日本空輸株式会社
ソニー株式会社
株式会社損害保険ジャパン
大成建設株式会社
株式会社髙島屋
株式会社竹中工務店
第一生命保険株式会社
株式会社大和証券グループ本社
東京海上日動火災保険株式会社
東京ガス株式会社
東京電力株式会社
株式会社東芝
東レ株式会社
凸版印刷株式会社
トヨタ自動車株式会社
豊田合成株式会社
株式会社ニコン
日産自動車株式会社
日清オイリオグループ株式会社
日本電気株式会社
日本電信電話株式会社
日本郵船株式会社
日本アイ・ビー・エム株式会社
日本化薬株式会社
日本生命保険相互会社
野村證券株式会社
パナソニック株式会社
東日本旅客鉄道株式会社
株式会社日立製作所
日野自動車株式会社
藤田観光株式会社
株式会社ベネッセコーポレーション
ホーチキ株式会社
丸紅株式会社
株式会社三井住友銀行
三井不動産株式会社
三井物産株式会社
株式会社三越伊勢丹
三菱商事株式会社
三菱重工業株式会社
三菱電機株式会社
株式会社三菱東京UFJ銀行
三菱マテリアル株式会社
株式会社明光ネットワークジャパン
ヤマト運輸株式会社

多くの企業において、従業員の生活事情に配慮した柔軟な働き方を実現するために、育児・介護諸制度の充実、社内周知・取得促進に注力している。今般寄せられた事例では、育児休業後の復職支援、出産や配偶者の転勤などの事由で退職した社員の再雇用制度など、経験を積んだ社員の継続雇用に注力する動きが見られた。また、介護支援の制度充実を図る企業が増え、子育て世代や女性に限定しない全世代的なワーク・ライフ・バランスの推進に力を入れる傾向が見られた。

参照:企業のワーク・ライフ・バランスへの取組み状況 -ワーク・ライフ・バランス施策の推進に関する企業事例集-|経団連

まとめ

いかがでしたでしょうか。

「“ガラスの天井”打破」と「キャリアの多様性」が、女性の活躍には重要なポイントなのかもしれません。

で、ふと思った事。男性も一緒やん、これ。キャリアプランっつうのは大きくわけ何個もないわけです。複数のパスを企業側が準備すること。重要ですね。

企業側だってメリットはあると思いますよ。多彩なキャリア・パスのおかげで、いわゆる「適材適所」の人材配置となり、男性も女性も能力を十二分に発揮できる。それって、業績に必ずでてきますよね。

女性活用が叫ばれる昨今ですが、“女性のキャリア”を深く考え実践していくことで、男性も働きやすい会社になればいいですね。

ただ、ワークライフバランスって、女性の有名な方何人かが著名で活動しているだけで、男性でワークライフバランスを主導しようとするアクターが少ない気がします。フローレンスの駒崎さんくらいかな。他にもいるんでしょうが、女性のほうがウェブでウケるせいか、僕まで情報が来てません。

女とか男とか関係なく、色んな人がそれぞれの立場でワークライフバランスを語る日が来るといいですね。

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