実践的CSRとインプット・コストの妥当性

CSR活動はどこまで妥当でいられるのか

これまでのCSR企業評価は、その戦略性がポイントの一つでした。行き当たりばったりではないCSR活動をするには戦略が重要となるからです。

しかし、一般的なCSR(ESG含む)カテゴリの評価が高い企業であっても、現場でのオペレーションが“ヒドい”という会社もあります。情報開示が上手い会社は評価が高いのは当然なのですが、現場をないがしろにしてはいけません。「CSRは会議室で起きてるんじゃない、現場で起きているんだ!」ですよ。

戦略は実行されてはじめて成果を生みだせます。そんな当たり前のことが、多くの企業で実行できていないのは、何か課題があるはず。なぜ、日本企業は実践的なCSRができていないのか。

本記事では、阻害要因やら課題・問題点、そしてそのインプット・コストの妥当性についてまとめます。やや独り言よりです。

CSRマネジメントの限界か?

戦略とコンセプト

2010年以降、SDGsを含めて世界ではCSRのコンセプトが多数生まれました。しかし、広まったのはいいですが、現場では短期的な成果を目指すあまり、5年以上のスパンをみて実施すべき重要なアプローチが避けられがちです。

2030年にどうこうするのではなく“今それやって儲かるのか”のほうが経営層は関心が高いです。あと、CSR部門の担当役員でマイクロマネジメント(ほぼすべての業務手順を監督し意志決定の一切を部下に任せない)をする方を見たことがありますが、あれは非常によろしくないです。権限もない現場が盛り上がるとは到底思えません。(そういう会社は実際に現場が盛り上がっていないことが多い)

こういう肌感覚や空気感は現場が把握していますが、マイクロマネジメントをする上司の下では、意思決定の“お伺い”が必要で現場に決定権がなく、当然、能動的な活動はほとんどなし。加えて上司がCSRを知っているかというと…では勉強しているかというと…。

CSRのコンセプトといえば、CSV、ESG、SDGsという枠組みから、人権・環境などのカテゴリまでさまざなコンセプトが日々生まれています。CSRの現場はコンセプトとの戦いでもあります。特にグローバルな企業は、世界の潮流にどこまでレジリエントに対応できるかで、評価機関の評価が変わるから大変です。

CSR活動の成果が最大化される時期は、ほとんどが中長期のものだと思います。特に環境活動などは、経済的・社会的な成果を明確に生み出すのに、数年〜数百年程度の時間軸が必要です。そうなると、企業は限られた予算・リソースの配分をしていかないといけないので、ほとんどの活動は“無駄(直近の利益にならない)”と判断されるでしょう。

ですので意思決定に必要なのは、最終的には「理念」が必要です。今、リソースを投下する意味が企業理念の実践と信じて意思決定をする。短期的にはコストでも、将来の自社に価値を生み出すと信じて実施し続けるしかありません。

実行フェーズ

たとえば成果が出ていないCSR活動の原因は、

・立てた計画がスケジュール通りに実行されず軌道修正もできていない(監督者の不在)
・成果が出ている実感がなくメンバーのモチベーションが下がってしまう(効果測定と設計ミス)
・やりたい施策はあるがノウハウがなく実行に移せていない(外注予算不足)

の3つ程度にまとめられます。自分たちのイメージする未来に対して自力で到達するのが難しいならば、外部のリソースを使うのがセオリーです。日本企業は専門家に頼るのが下手すぎます。中間管理職の方は社内リソースの扱いはうまくても外部リソースの扱い方がねぇ。

従業員だとコストがかかっていないように見えますが人件費かかってますからね。しかも、CSR実務の未経験者ではほぼ成果も出せないときた。アウトソースしたほうが、導入ノウハウが得られて、短い期間で実施でき、なおかつ総合コストも軽減できるのに。やるべきことやっていないのに、評価だけは上げたいという無茶を言っているうちに、競合さんがもう一歩先に行ってしまいますよ。

コスト

CSR活動のコストという視点でもう少し考えてみましょう。

CSR活動では、社外より社内のステークホルダーを納得させるのが難しいという担当者も多いです。社内の合意形成にもコストがかかります。CSRは一部が法制化されている以上、選択肢は「合意形成コストを先払いするか、後払いするか」の2択しかありません。

CSR関連部門で戦略から情報開示の方針まで決めるほうがスピードは速いですが、その後の社内浸透に思った以上に時間がかかりということも多々あります。そして後手後手となる後払いコストのほうが膨らむ傾向があるので、事前に各部門を巻き込んだほうがコストとしては良いですね。

CSR担当者自身のステークホルダーとして、社内の別部門長は最重要ステークホルダーの1人です。例外として、オーナー社長など絶対的な影響力がある場合は、社長に根回しして“鶴の一声”のトップダウンで合意形成を行うこともありますが。

何が言いたいかというと「コスト至上主義からバリュー至上主義へ」ということです。CSR活動にいくら予算を使う、という話ではなく、事業戦略としてブランディング効果としてどれだけ価値創出が必要で、広報PR的にここまでエンゲージメントを創出したいので…など目標とすべき価値(成果)が見えていて、CSR活動でどこまでコストとして使えるか考えましょうという点です。

両者はまるで違います。より短い期間でより高いバリューを生み出せるのであれば、実施のコスト(インプット)がかかろうと、価値創出(アウトカム)が高く、実施期間が短くなればその分の人件費(マネジメントコスト含む)が浮くのです。

まとめ

CSRも事業活動である以上コストがかかるため、リターンとして何かしらの成果を生み出さなければいけません。

実践があってはじめて価値が生まれます(その価値が“良い”かどうかはわかりませんが)。現時点の私のイメージをまとめたものの、まだまだ整理しきれていないのは恥ずかしいですが、このカテゴリのお悩みを持つ方のヒントになればととりあえず記事にしてみました。

言いたいことは「コンセプトは実践が何よりも重要」ということです。当たり前のことを当たり前にするには仕組みが必要でして、仕組みを考える上で大切なコストについて今回はまとめました。今回はふと思ったことを書き連ねたのであまりまとまっていないかもしれませんが、ご了承ください。

CSR活動のインプット・コストと実務的CSRは、PDCAをまわす上で非常に重要なファクターですので、引き続き調査を研究していきます。このあたりは次の書籍で一部を紹介できるかもしれません。

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