SDGs調査9事例と企業経営における戦略性とは

SDGsの戦略性と課題

様々なセクターからSDGsという単語を聞かない日はないくらい、SDGsは広く日本社会にも浸透し始めているようです。

しかし、私のように日々リサーチしている人間からすればそう見えるのですが、実際のところどこまで浸透しているか気になりますよね。そこで本記事では各種SDGs調査の事例を紹介したいと思います。

社内資料や企画書等のエビデンス、SDGsを含めた企業経営における戦略構築のヒント、の一つとしてどうぞ。

SDGs調査

1、メセナ活動実態調査

「“芸術文化による社会課題解決のため”で特に重視した点」について、今年度調査から「SDGs」という選択肢を 新たに設けたところ回答企業は10 社(5.7%)でしたが、「次世代育成・社会教育」(63.8%)、「まちづくり・地域活性化」(60.3%)、「社会福祉」(31.0%)など、いずれもSDGsの17Goalsにも貢献する項目が上位に挙げられています。
企業メセナ協議会「メセナ活動実態調査」

メセナ(フィランソロピー)においても、SDGsを意識したもの(もしくはゴールが共通するもの)が一定数あるということです。

2、SDGsに関する生活者調査

SDGsの認知度は14.8%。認知度自体はまだ低いものの、SDGsの17の目標テーマを提示した上での共感度の平均は73.1%と高く、理解が進めば今後のアクションにつながっていく可能性がある。
電通「SDGsに関する生活者調査」

認知度が低い、程度しか私は有意なデータはないようにも見えましたが、興味・関心の部分は参考になりました。

3、生活者の“企業観”に関する調査

・SDGs(持続可能な開発目標)の内容を「知っている」は19%
・SDGsの17の持続可能な開発目標で、日本企業が貢献している取り組みは「安全な水とトイレを世界中に」、日本企業に期待する取り組みは「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
経済広報センター「第21回 生活者の“企業観”に関する調査」

一般生活者の企業信頼度を定点観測しているもので、CSR関係者は必見の調査です。

4、社会的課題・SDGsに関する意識調査

・SDGsに対する一般消費者の認知度は低く、社会的課題の解決に向けて行動している一般消費者は、約25%程度にとどまった。
・社会的課題の解決に取り組む企業の製品・サービスを購入したいと考える一般消費者は50%を超えた。
損害保険ジャパン日本興亜「社会的課題・SDGsに関する意識調査」

こちらでも一般認知はまだ低いという調査結果が。

5、変化に求めることに関する意識調査

“SDGs”を「聞いたことはない」と答えた人は85.0%となり、「聞いたことはあるが意味は分からない」と答えた人は10.6%、「聞いたことがあり、よく知っている」と答えた人は4.4%と、認知度がまだまだ低いということが分かりました。
JXTGホールディングス「社会や自身の変化に求めることに関する意識調査」

こちらでも一般認知が低いとのこと。上記の調査をみると、現状では認知は10%台というこことなのでしょうね。残念ながら、この手の話ではよくあることなのでとても納得感があります。

6、グローバルコンパクト

グローバルコンパクトネットワークジャパン「未来につなげるSDGsとビジネス~日本における企業の取組み現場から~」(2017年度版)
グローバルコンパクトネットワークジャパン「動き出したSDGsとビジネス~日本企業の取組み現場から~」(2016年度版)

グローバルコンパクトネットワークジャパンは、企業関係者であれば絶対的なSDGs推進組織なので、ここは国連公式の調査ともいえるわけで、関係者は穴があくほど、しっかりと目を通しておきましょう。

7、社会課題(SDGs等)解決に向けた取り組み

日欧ともにCSR担当部署のSDGsに関する認知度は高いが、欧州企業ではCSR担当部署のみならず、経営陣でも高い認知度(65.4%)を示している。(日本企業:25.5%)
企業活力研究所「社会課題(SDGs等)解決に向けた取り組みと国際機関・政府・産業界の連携のあり方に関する調査研究報告書」

こちらは一般生活者ではなくビジネスライクなカテゴリの調査です。情報量はめっちゃありますが、こちらも関係者であれば、目を通しておきたいですね。

8、ビジネスとSDGs

・71%の企業がSDGsにどのように取り組むかをすでに計画し始めている。
・41%の企業が5年以内にSDGsを自社の戦略や事業運営に組み込む予定である。
PWC「ビジネスと持続可能な開発目標(SDGs)‐SDGs実現に向けて企業に何が求められているか」

2016年の調査データなので、現在ではもう少し色々な数字が上向いていると思いますが、その方向性はとても参考になります。

9、CSR実態調査

回答企業の約4割は「すでに対応している」、「近いうちに対応する予定である」と答える一方、2割強は「対応も検討もしていない」、「SDGsを知らない」と回答。
企業市民協議会「CSR実態調査」

SDGs以外も詳細な調査レポートとなっているので、こちらはCSR支援側の人は特に要チェックです。というか、これレベルならすでにチェックしていると思いますが。

所感

SDGsの認知度は1〜2割程度。これが上記以外の調査を含めてこのラインのものが多かったので、妥当な数字でしょう。この手の話は「キャズム」が10%後半ではなく、もう少し後ろになるので、まだまだ普及期ではない、というレベルですね。

加えて、グローバルコンパクトなどのデータは、そもそもCSR推進を本気でやろうとしている企業群のデータなので、一般論で扱うと因果関係を見失いそうですが、同じレベルの企業群にとっては有用なデータかもしれません。社内のCSR推進企画書とうにも色々使えそうなデータですよね。

そもそも「〇〇〇〇の意識調査」は母数が500社(人)いかなかったり、サンプル母集団の偏りがあったりで、なんとも言えない調査も多いので、それで一喜一憂していいてもしょうがないのですが、そもそもこういう民間を含めた調査が増えている(調査企業が認知レベルを確認したがっている)という事実は、非常に興味深いところです。

こういう調査で、SDGsに対応できているという会社は多いのですが、だったら、明日から世界から貧困はなくなり、環境問題もなくなのですよね?となるわけです。そんなわけないですよね。まだまだこれからだし、一つの企業ができる活動の小ささをきちんと開示すべきです。足るを知る、というやつです。そのレベルで「対応できている」と言ってしまうのは……厚顔無恥です。これ御社のことですよ?

当然、これらのエビデンスから私のような人間は未来予測をするわけですが(直近の予測は大抵あたるが長期は…)、やはり、今の現在から未来を予測しても大抵当たりません。数年後、数十年後には、誰もが現実には起きないだろうと考えていたことも起こります。ですので、現状の詳細分析によるサステナビリティ予測はあまり意味がないと思います。調査データはあくまで参考程度にして、数値に振り回されないようにしましょう。

まとめ

2012〜2013年ころのCSVの普及と、今のSDGsの普及は似ていますが決定的な差が一つあります。CSVの文脈はビジネスセクターでしかありませんでしたが、SDGsはソーシャルセクターもパブリックセクターもビジネスセクターも皆同じ共通言語であるということです。

CSVというワードを連呼するNPOはいなかったし、政府もCSVという単語をあまり使いませんでしたよね。そういう意味では、SDGsはまだまだ認知度が低いという結果になっていますが、これからの伸びしろがものすごいと感じています。

CSRコンサルティング会社も数年前までCSVと言っていた人たちが、いまや皆「SDGs推し」ですよね。CSV理論は重要だし、この考え方が廃れることはないでしょうが、アメリカの学者の経営理論と、国連と70億人との約束では、規模が違いますので、当然でしょう。

というわけで、企業に求められる次のステップは、SDGsへの表面上の対応ではなく、SDGs達成に向けた成果を生み出すことです。陰ながらCSR担当者の皆様の応援をする次第です。では今回はこのへんで。

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csr

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